SANYOが低価格でデジカメ再参入! PanasonicグループでSANYOが与えられた役割

2009/12/15

■三洋電機、国内デジカメ市場へ再参入 - ITmedia +D LifeStyle
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0912/16/news075.html
SANYOが国内でも自社ブランドのデジカメ販売に再参入するとのことです。
 
 Xacti はデジカメでは無かったのでしょうか?
 
というささやかな突っ込みはさて置くとして、SANYOは一般的な
タイプのコンデジについては自社ブランドでの販売をせず、
他社へのOEMというか生産協力という感じのポジションを取ってきました。
 
調べて見ると、SANYOのコンデジはどうやら2005年10月の「DSC-S6」
以来になるようです。代表作には2002年の 「DSC-MZ3」 などがあります。
 
1997年にコンパクトデジカメ“マルチーズ”「DSC-V1」を投入、「デジカメ」の商標を持つ同社は10年以上に渡ってOEM供給を続けているものの、日本国内においてはムービーデジカメ“Xacti”シリーズを展開するのみとなっていた。しかし、「国内需要が飽和状態を迎える中、ローエンドとハイエンドの2極化が拡大する」(同社)との判断から、低価格対象品の投入に踏み切った。
ということで、低価格路線に商機を見出して再参入した、という
お話のようですが、個人的にはちょっと穿った見方をしたくなる
ところではあります。というのも、
 
■パナソニック、三洋電機のTOBが終了。子会社化へ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091210_334897.html
買い付け価格は普通株式1株あたり131円。買い付け予定数の下限は30億7,098万5,000株で、応募数はそれを上回る30億8,230万 9,227株となり、応募された全ての株券の買い付けを行なう。決済の開始日は12月16日。同日付けでパナソニックは三洋電機の筆頭株主となり、株券等の所有割合は50.19%(議決権数308万2,309個)となる。
ご存知の通りPanasonicによる三洋電機買収は何度か交渉が難航したものの
結果的には話が付いてTOB自体も完了となりました。12/16付けでSANYOは
Panasonicのグループ子会社 になったというワケです。
 
元々Panasonicには LUMIXという虎の子のシリーズ があり、
この時点でSANYOはそれを邪魔するような戦略なは打ち立てられないような
立場を確定させられています。それを踏まえたうえで、この段階でなぜ
あえて今まで避けてきたデジカメ販売への再参入を決めたのか? むしろ
ブランドは統合縮小して減らしこそすれ、増やす理由はないのでは?
という疑問が湧いてきます。その疑問に無理やり答えを出すとすれば、
 
 低価格市場への「牽制役」として
 
SANYOが引っ張り出されてきたという邪推に行き着きます。
 
かつて、Sonyがaiwaを買収 したときにも、aiwaは元々同社のカラーで
あった低価格路線をさらに先鋭化し、Sonyそのものの競合にはならず、
他社への牽制役として振舞わせるということがありました。
(その後、結局aiwaは行き場をなくして解体状態となります)
 
あくまで勝手な邪推ではありますが、今回の構図はそのSonyとaiwaの
関係を思い出さずにはいられません。
 
少し前に和蓮さんがこんなことを書かれていたのを思い出します。
 
■日本の家電はどうして高機能化一辺倒なのか(北米と比べて) - キャズムを超えろ!
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20081114/p1
たまに中堅メーカーの誰かが浮気して、ロースペックな商品を市場投入したとする。例えば先のAIPTEK製ビデオカメラのような商品をF社なりが出したとしよう。そうすると、体力に余裕がある大手メーカー(PとかSとか)が、利益率無視でさらに安い(あるいは同価格でスペックが少し高い)商品を突っ込む。結果、体力のないF社は価格についていけず低価格商品から撤退。それをみて大手メーカーは低価格商品そのものをやめてしまう、あるいはモデルチェンジのタイミングでじわじわと高性能化させて価格を引き上げていくことで市場をもとの健全な「ハイスペック品ONLY」の状態に戻すことができるというわけだ。
製品の価格を高止まりさせたい意図を無視して、多くの企業が低価格帯に
参入してきて活路を見出そうとします。そのとき、大企業も一時期だけ
低価格帯にも足を伸ばしてブランド力で 相手を足止め し、勢いを殺した
ところでまた高価格帯中心に戻っていくというお話です。
 
ここで言われているようなことが現実にどこまでやられているのかは
わかりませんが、企業としてはまっとうな戦略といえなくもありません。
そしてその 「牽制役」 として、自社ブランドを使わず、グループ子会社を
使えるとしたら、自ら足を踏み込んでブランド価値を低価格帯に引きずり
込まれるリスクもなくすことができるでしょう。
 
ちょっと具体的な話をすれば、たとえば exemode という会社があります。
1万円台のデジカメ、2万円前後のムービーカメラなどを連発して勢いのあるメーカです。

LUMIXシリーズを持つPanasonicとしては、こういうメーカが大衆に受け入れられて、
「あれ? LUMIXを3万円で 買ってたのって何でだっけ??」という風潮になられては
困ります。そこでもしSANYOが1.2万円でこの市場に参入してきたらどうでしょう?
なまじSANYOに適度なブランド力があるために、似たような価格で並べられたら
exemodeは苦戦せざるをえません。低価格帯を一気に牛耳って力を付けてゆくゆくは
業界の勢力図をいつのまにか塗り替え・・・というストーリーは描けなくなるでしょう。
 
しかしSANYOはSANYOで 「LUMIXが売れなくなるような業界変革」 を担わせて
もらえるワケではありません。exemodeの代わりに低価格帯の普及を推し進めていく
ということではなく、牽制役としての役目を果たしたら、それ以上は踏み込まずに
静かに自重するというヒットアンドアウェイを繰り返すことになるでしょう。
 
そこまでどギツい話が中で行われているかどうかは誰も知る由はありません。
ここで考えていることも単なる邪推という話もあるでしょう。
ただ、私が文頭のニュースを見て最初に思ったのは、SANYOがPanasonic
グループ会社の中で 「そういう位置づけ」 に落ち着いたんだ、ということでした。
 
それは同時に、Xactiの今後 を占う1つの材料にもなります。前々からXactiの
HDシリーズは突き詰めるとハイエンドムービーカメラのほうに近づいていく
というのが見えていて、Sony、Canon、Panasonicなどがひしめく主戦場で
戦えるのかどうかというのは1つの争点になっていました。
 
しかしこのデジカメ2極化論の中でSANYOに与えられたポジションというのは、
高価格帯のPanasonicを邪魔せずに、低価格帯に牽制を入れるという
役割であることがどうやら見えてきています。これは要するに HDシリーズの
フェードアウトの可能性 が高まったことを意味しており、CGシリーズのみで
exemodeその他の更に低価格な製品相手の戦いに集中していくのが今後の
Xactiの位置づけになるのかもしれません。
 
元々Xactiは主力メーカの一歩下の価格帯で居場所を見つけた絶妙な商品であり、
その意味ではやることは変わらないといえなくもないのですが、ここがどんなに
進化して活気付いても 上の価格帯を撃ち落すシナリオを描いてはいけない
という枷が見えているということだけはちょっと残念ではあります。
 
もちろん、ここで述べたことが全て杞憂であり、毎年恒例の1月の PMA前の新製品
発表で小型でパワフルなフルHDのXactiの新製品がお目見えしたりすれば
それはそれで嬉しいサプライズなのですが、果たして結果はどうなるのか、
蓋を開けてみるまでは分かりません。今から不安と期待が入り混じります。


2009/12/15 [updated : 2009/12/15 23:59]


この記事を書いたのは・・・。
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Donca 2009/12/19
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