劇場版 幼女戦記、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ【※ネタばれ全開注意!】

2019/05/01

※5/1現在、11回鑑賞しています。
( 現在、約1万文字、想定読破時間 : 20分 )
 

 
「劇場版 幼女戦記」 の公開から3ヶ月が経とうとしています。
 
TVシリーズの幼女戦記ももちろん好きではありました。
しかし劇場版が公開される前は、まさか自分がここまで幼女戦記
という作品に魅せられ、傾倒するとは想像していませんでした。
 
気がつけば毎週のように劇場に足を運び、3ヶ月で11回の鑑賞。
爆音上映から4DX、果ては応援上映まで、幼女まみれ の日々が
待っていたのであります。

 
2/9 イオンシネマ幕張新都心 ULTIRA 9.1ch
2/16 川崎チネチッタ LIVEZOUND
2/23 立川シネマシティ cスタジオ 特上音響上映
3/2 川崎チネチッタ LIVEZOUND ハードコア
3/9 立川シネマシティ aスタジオ 極上爆音上映
3/15 EJアニメシアター新宿 スタッフトークショー付き上映
3/22 立川シネマシティ aスタジオ 極上爆音上映
4/5 ユナイテッドシネマとしまえん 4DX
4/6 立川シネマシティaスタジオ 極上爆音上映 応援上映
4/12 ユナイテッドシネマ・アクアシティお台場 4DX
4/21 イオンシネマシアタス調布 4DX

「劇場版 幼女戦記」という作品は実に分かりやすく、考察の余地は
あまりありません。そのド迫力の戦闘シーン、粋な政治的駆け引き、
キャラの魅力、劇場という最高の環境を活かした極上のエンタテインメントを
十分に味わい尽くせばよい、それだけではあります。しかしネタばれに
触れなければどうしても語れないことが少しでもあるならば、
こうして筆を取ることに躊躇はありません。
 
 
ではここから先は ネタばれ100% です。くれぐれも、くれぐれも
まだご覧になっていない方は、ここから先はご覧にならないようご注意ください。
 
---------- 8< ---------- キリトリセン---------- 8< ----------
 
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
おや、ネタばれ禁止区域 だと教わりませんでしたか?
ここはひとつ本編未鑑賞の輩に話を聞いてみるのはいかがでしょう同志。
 
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 


 
よろしいでしょうか!!
 
例によって吐き出したいだけなので推敲とか一切しませんぞ。
 
 
・「劇場版 幼女戦記」について、確かに凄い作品で、何度も何度も
劇場に足を運んでその凄さを堪能して、そういう意味では自分でも
びっくりするほどのお気に入りの作品になりました。しかし一方で、
当初自分は長文の吐き出しメモを書くつもりまではありませんでした。
 
皆と同じようにこの極上のエンタテインメントを存分に楽しんでいる、
それ以上、幼女戦記について一家言あるわけではない、
そこまで幼女戦記を語れる素養も持ち合わせてはいない、と。
 
・しかし、私自身9回目の「劇場版 幼女戦記」鑑賞、4/6 立川シネマシティ
で行われた応援上映の反応を見て、私の中で急に内なるものが高まってきて、
その"感情"が私を突き動かしたのであります。曰く、
 
 
「どうして、どうしてメアリーの人気が無いんだ!!!」
 

 
・女性人気がびっくりするほど高い「幼女戦記」。オジサマキャラ
だらけという作品の性質上なのかと思っていたら、実は意外に
「デグちゃん」の女性人気が高い。「デグちゃん」だぞ、デグちゃん呼び!
ありえん! 実際彼女は可愛いが・・!(レルゲン談)
 
一方、劇場版幼女戦記のファンアートを探しても、メアリー・スーは
何処にも 見る影が無い といっても過言ではありません。
そんなにか、そんなに違うのか?!みんなあの悪魔に騙されてる!!!
・・・とまで言いたいわけではなくデグちゃんはもちろん可愛いのですが、
それはそれとして、メアリーに言及しないと私の気が治まらないのであります。
 
 
 
メアリー・スーという狂言回し(トリックスター)
 

 
・結果から先に書いてしまうと、わたし自身も、メアリーその人を凄く好き、
というわけではありません。もうちょっというとメアリーの生き方そのものは
現代人の感情からするとやはりシンパシーを感じにくいものがあります。
 
・「正義」を信じ、正義に仇為すものを許さない、それをまた、
父親の仇(かたき)という個人的感情を正義という名で置き換えて
固執しようとする、彼女の行動1つ1つに共感を覚えるかといえば
やはり違和感のほうが多く印象に残ることは否めません。
 
でも私はこの劇場版 幼女戦記を通じてずっと、
 
 
 あの「悪魔」に鉄槌を下してくれる存在を
 
 
待ちわびていたのです。
 
ターニャ・フォン・デグレチャフ。幼女の皮を被った化け物、戦場の妖精
という皮を被った、ラインの悪魔、あの悪魔だけは絶対に許さない。絶対にだ。
そのたった1つの想いが私のメアリーへの共感指数をウン百倍にも膨らませます。
そしてあの最終決戦の火蓋のシーンで、私は毎回涙が止まらなくなるのです。
 
司令部への攻撃を命じられたメアリーがターニャの存在に気づいて180度反転、
猛スピードで吶喊するこの猪武者を、ターニャは隊列を組んで一斉射撃で迎え撃つ、
 
 神(メアリー)と悪魔(ターニャ)のマッチアップ
 
ここから先は言葉は要らない。だって、ターニャが仕事を通じて生存と保身を図る
存在であるならば、そこに "感情"という異物 をぶつけるのが
人間・メアリーに与えられた仕事なのだから。
 
だからこそ、メアリーに肩入れする理由を語るなら、まずターニャを否定する理由
を語らねばなるまい。彼女は魅力的で、受け入れがたい、悪魔なのだという説明を。
 
 

 
・今回の劇場版幼女戦記でも、デグレチャフ少佐は前半はずっと楽勝ムードを
繰り返す存在になっています。作品シリーズ上で彼女が持つアドバンテージは
現世サラリーマンの知識と、魔導師として空を飛ぶ能力に恵まれたことにあります。
 
ターニャは航空戦力の重要性を誰よりも理解し先手を打って時代遅れの
戦術を取る敵勢力を打ち破ることでポジションを確立してきました。
そのデグレチャフ少佐が今回初めてと言ってよいほど組織的に
追い詰められる後半戦がこの劇場版の最大の見所といえます。
 
・一方で、これはターニャの生き方に対する アンチテーゼの発現 でもあります。
 
ターニャは劇中で盛んに「コミー」(共産主義者)を毛嫌いする発言を繰り返します。
それは個人の自由と尊厳を侵害するからだと。「全体主義者」は能力も
努力も成果も評価しない、それでいて平等は期するべくもなく、固定化された
権力・身分制度が確立して腐敗するような社会を彼女は許さないと。
 
・では、ターニャ自身が尊ぶ社会とは一体何なのか? 「共産主義」と対に
されるのは「資本主義」という言葉が多く使われますが、この場合の彼女の
思想に見合う言葉はどちらかといえば 「能力主義」 「実力主義」「成果主義」
といった言葉でしょう。自分は努力して実力を付けたのだから、優遇されて
当たり前なのだ、実力を付けることもしなかった無能どもは自分の養分として
良いように使われても文句は言えまい。
 
・「能力主義」を純粋すぎるほど煮詰めた 「シュギシャ」 としての化身が
ターニャ・フォン・デグレチャフ。帝国もまた合理性を突き詰めた国家であり、
TVシリーズではターニャ自身により「合理的すぎるが故に感情を甘く見すぎている」
とたしなめられるに至ります。
 
しかし彼女は、感情という愚かな装置が、彼女のいう「無能」が
「合理的でない」反抗を繰り返すことについて、
 
 根絶やしにすることで解決を図る
 
という本心を隠しません。ターニャにとって合理的なこと、彼女にとって自らの
力で自らの人生を勝ち取ることは、他の誰かの人生を摘み取っていることにも
つながりかねない。あの線路に突き飛ばされた「人生」で彼女(彼)はそれを
学ばなかった? 否。彼女(彼)はもしあのときに戻れるとしたら今でも、
 
「ああいう目に遭わせたヤツは俺の命を狙ってくるかもしれない
 という『脅威』への備えを万全にしておくべきだった」
 
という反省の仕方をするに違いありません。無能はどんな目に遭っても
自業自得である、そうした思想の先鋭化こそがまた、ターニャという悪魔が
純粋であり魅力的な一因でもあります。キャラクターとしてターニャが
好きだという人も、この行き過ぎた能力至上主義に100%首肯する人は
また多くはないはずです。
 

 
・メアリー・スーという人物は、自身や家族の成り立ちはどうあれ、この
「コミー」とは対極に位置するもう1つの「シュギシャ」に鉄槌を下すための
 
 
 パニッシャー(神罰砲)
 
 
といえます。レーザービームとして放たれる光学系術式の過剰な威力も、
ほとんど自我を失って半狂乱で突撃を繰り返す様子も、力無き者が上げる
声なき声 をすくい取って生み出された神の御業のいち表現にすぎません。
 
メアリーが泣き叫ぶたびに、スクリーンの前の我々も一緒になって叫ぶのです。
俺たちを無視するな!能力が無いものの存在を否定するな!喰いものにされて
当たり前だと偉ぶるな!と。
 
・ティゲンホーフ防衛戦の開戦前にデグレチャフ少佐が演説をかますとき、
私はいつも心の中で叫んでいます。『何よりも自由を尊ぶ』だと?
『我々は何もしていない』だと? どの口が言うか!
 
3/15にEJアニメシアター新宿で行われたスタッフトークショー付き上映で、
上村監督とスタッフの方はこんなお話をされていました。
 
 
「あのマリア様の前にターニャを引きずっていくのは監督のアイデアでしたね」
 
「あれだけ飛び回って砲撃戦をしたあとに、殴り合いして引きずって。
一見、不自然だと思うけど、(獣と化した)メアリーならやりかねない、
という雰囲気を作れたらなと。
だってあいつ(ターニャ)やっぱり殴っとかなきゃいかんでしょ!w
 
「監督はずっと『戦争をカッコいい話にしたくない』って言い続けてますよね」
 
 
そうですよ、あいつは殴っとかなきゃいかん。
理屈じゃないのです、"感情"なのです。
 
ターニャはこれからも、合理性を尊ぶことで愚かな感情に殴られ続ける、
メアリー・スーという狂言回しはそのために生み出された感情思念体であり、
味方にまで「無能な働き者」と最低の称号で呼ばれ厄介者扱いされた彼女が
能力至上主義の悪魔に鉄槌を下す姿を、何度でも期待してしまうのです。

 
 
・それはそうと、デグちゃん可愛い(おい)

ターニャは中身はおっさんなので、しかもそのおっさん、TVシリーズの
最初にちゃんとおっさん姿も出てくるので中身をイメージしやすい
のもあり、正直その内面については幼女らしさも少女らしさも何も
感じることができません。そのギャップが良いという話は別として・・。
 
しかし一方でその外見は、戦場では凛々しく、日常では可憐、
そこからひねり出されるお得意の顔芸がまた、彼女の戦闘狂という
キャラクター付けを損なわない不思議な雰囲気を見事に表現しています。
 
これが「幼女だから可愛く、でも戦争で強い」というだけのキャラだと
そうはいかないというか、幼女戦記のシビアな世界観とフィット
しなかったことでしょう。彼女の造形そのものが幼女戦記という
世界観から生まれたバランスの産物といえます。
 
・個人的に今回の劇場版幼女戦記で一番大好きなターニャシーン(?)は、
祝勝会から離脱して1人部屋に戻り、
 
 上着を脱いでベッドにうつぶせで横たわる シーンです。
 
あのシーンは毎回ドキッとします。何にって、その身体の華奢さ具合にです。
 
その姿は本当に歳相応の幼女、というか子供です。何故ことさらに
そのシーンなのかというと、軍服を身にまとっていないから、というのと、
あのふてぶてしい表情が見えないから、というのが相まって、ターニャの
おっさん成分が全部抜け落ちた瞬間だからということなのかもしれません。
あれはおっさんの皮を脱ぎ捨てた幼女だ!
 
・そのあとちょっと間が飛んで、ティゲンホーフに着いたあとの
ベッドシーン(言い方)も良いですね。ヴィーシャが起こしに来るシーン。
「うぅ~ん、なんだ~?(むにゃむにゃ)」みたいな。
そこだけ見ると本当に子供みたいなのですが、そのあと秒で元通りですわ。
 
・最初の偵察に飛ばされるときの「はぅ!」みたいな声も大好きです。
相変わらず悠木碧さん何処から声を出してるんですか、みたいな。
 
 
・ターニャは人格的にはいろいろ問題ありではありますが、指揮官としての
有能さは折り紙つきです。それを象徴するアクションが2つあります。
 
・1つは 「必ず先陣を切る」 こと。
 
画づら的にも、ということもあるかもしれませんが、ターニャはどんな時でも
びっくりするほど部下を先行させず自分が最初に飛び出します。偵察時の
降下作戦でもそうですし、「私に続け!」といって飛び立つときもそうです。
 
当然ながら自分の戦闘能力に圧倒的な自信があるからこそではあります。
それでも、自分が誰よりも真っ先に身体を張っている、という姿を見せることは
自身のカリスマ性を増大させます。副官として特別なポジションにいる
セレブリャコーフ中尉はともかくとして、ヴァイス大尉も、ケーニッヒ中尉も、
ノイマン中尉も、グランツ中尉も、少佐殿の無茶な指示に応えざるを得ないのは、
その少佐殿が誰よりも無茶をして目の前で戦火を潜り抜けているからです。
 
ティゲンホーフでも第2、第3、第4中隊に戦爆混合編隊の「入国審査」という
無茶を命じて、自身の第1中隊は司令部狙いの敵魔導中隊を追いますが、
結果として戦闘機よりも爆撃機よりも厄介な メアリー砲という神の兵器
を1人で背負い込むことになります。最前線で誰よりも危険な任務に真っ先に
身を投じるその姿には、多くの部下に尊敬と畏怖を植えつけるのに十分な
効果があります。
 
ただ、このやり方が今後 「サラマンダー戦闘団」の規模で
同じように通用するのかどうかは分かりませんが。203大隊は
閣下も言っていた通り「虎の子」のターニャ・ファミリーであり、
全員が航空魔導師という均質性も持っていました。機甲師団で同じことが
できるかどうかはまた別の問題をはらんでいるといえるでしょう。
 
 
・もう1つは 「指示の即応性」 です。
 
「少佐殿、ご指示を!」 と言われるのがターニャの日常ですが、そのとき彼女は
ほとんどの場合迷わずその場で「Aは○○、Bは△△、Cは××だ」と即断即決を
して具体的な指示を出します。戦場に於いて最も大切なことは100点満点の答えを
出すことではなく、90点でも80点でもできるだけ迷い無く指示を出し続けることです。
 
指揮官が迷えば、その下に付いた数十人の部下が時間を捨てることになります。
時間を失うことは、それがたとえ一瞬であっても敗北に直結することもあります。
逆に言えば、部下に絶え間なくタスクを与え続けられる指揮官というのは、
それだけで敵に対するアドバンテージを得られるという側面を持っています。
 
特徴的なセリフの1つ、「単なる主軍援護など破滅の先延ばしだ」
これを言える指揮官はなかなかいません。やられてる! → 援護しなきゃ!
と結びつけてしまうのが普通の人、事態の好転を望むなら好転に結びつく
可能性のある選択しかすべきでない、迷いのない決断を、一瞬でさばく。
 
・同じような即断即決の隊長を別の作品で見たことがあります。
それが ガルパンの西住みほ です。ガルパン劇場版のさおりんが発する
「どうする、みぽりん?」も、ダー様が発する「みほさん、指示を。」も
まさに幼女戦記の「少佐殿、ご指示を!」と同じです。そして西住みほが
そのあと必ず即断即決で具体的な指示を各車に出しているのを確認してみてください。
実は姉の西住まほも同じように即断即決のリーダーとして描かれます。
 
・デグレチャフ少佐は 「道を示す者」 として部下の前に立ちます。
これはリーダーとして最も重要な素養です。あの人に聞けば進むべき道を
教えてもらえる、あの人には分からないことは無い、部下にそう信じさせて
その命運を預けて貰えるようになるには、いかなるときも具体的な指示を
即断即決できるほど普段からシミュレーションを繰り返していなければなりません、
また想定外の事態に遭遇したときに判断できる知識・経験が備わっていなければいけません。
 
リーダーに必要な能力とは 「決断」 すること。これがまたなかなかどうして、
並の人間には出来ないもの。自分自身の損得だけでも迷うのに、
部下全員の命運を握ったうえで「決断」をすることは知識も経験もそうですが
加えて相当な「度胸」を要します。ターニャがいかに世界大戦の知識を持って
巻き戻ってきたチート主人公であったとしても、それだけでこのリーダー性を
説明することは到底できません。
 
・どれだけ人間性に問題があったとしても、ターニャ自身は指揮官、リーダー
として重要な資質をしっかりと備えています。実際に部下になるのは御免だ、
と言いたいところですが、無能な指揮官の下に付いてあっという間に世界から
退場するのとどちらが良いか?と訊かれると微妙なところですね。

 
 
 
銀翼章持ちの妖精の懐刀(ふところがたな)
 

 
・ヴィーシャ、こと、セレブリャコーフ中尉の一番好きなシーンは、
実はこの空戦中のポジショニングだったりします。囲まれて乱戦になるときの
位置取りがだいたいターニャと背中合わせなんですよ。これはつまり、
 
 ターニャが背中を預けられるのがヴィーシャ
 
だということですよ。それだけでもご飯が進むというものです。(何)
 
ヴィーシャはポワンとしたつかみどころのない弱気なキャラ、という感じで
描かれるイメージがあるのですが、実際には少佐に相対するときは
そういう表情も見せつつも、他の部下に対するときには想像も付かないくらい
キリッとしたヴィーシャが出てくるのがまた印象的です。
「補給は各自速やかに行え!」と指示しているときとか特にそうですね。
 
・そのヴィーシャがドレイク中佐とマッチアップするときに 「ネームド!?」
と言います。ネームドとはエースとして個体識別される魔導師のこと。
魔導波形によって観測で特定されるらしいのですが、ヴィーシャは特に
観測したわけではなくネームド級の強さだ!と言っているのでしょうか。
 
そもそも本来ドレイク中佐vsデグレチャフ少佐でマッチアップすべきところを
デグレチャフ少佐に「神の鉄槌」メアリーがぶつけられてしまっているため、
ネームドの相手をネームドではないヴィーシャがすることになったのは
いかにも苦しい、のですが、そこで善戦してしまうあたりが203大隊の精鋭の
恐ろしいところです。ただターニャとメアリーのキャットファイトに先に割って
入ってきたのがドレイク中佐であったことを見てもヴィーシャの苦戦は見て取れます。
 
・ヴァイス、ケーニッヒ、ノイマン、グランツの四従士たちは少佐に全く頭が
上がりませんが、副官であり同性でもあるヴィーシャは時に少佐にも強く出る
ことがあります。ティゲンホーフでは寝ている少佐を叩き起こす役になりますし、
モスコーではメアリーの硬さに唖然としているターニャに「少佐殿!少佐殿!?」
と強い口調で撤退を促します。
 
TVシリーズ11話ではさらに特徴的なシーンがあります。アンソン・スー大佐と
ターニャが絡んでいるとき、ヴァイスはターニャに当たることを懸念して
援護射撃を躊躇します。しかしヴィーシャはターニャを捉まえたアンソンを
ターニャの腕ごと撃ち抜く というとんでもない行為に出ます。
こうすることが少佐の為、ならばこうしなければ少佐に叱られる、
誰よりも少佐を理解しているからこそ、少佐を傷つけることを厭わない。
 
ある意味ターニャがこの世界で唯一気を許せる存在がヴィーシャなのであり、
ヴィーシャもそれを分かってターニャとの距離を詰めるときは詰めるという動きを
してくれます。繰り返すけどターニャのほうは 中身おっさんやぞ、わかっとるんか?
 
・ヴィーシャの見せ場といえば何といっても地図を見ているターニャに
踏み台を黙って差し出すシーン。言われずとも必要と思えば台を出し、
ターニャもそれを当然とばかりに受け入れる。いわば阿吽の呼吸。
 
それから祝勝会で暇しているターニャのところに唯一寄ってきてフルーツポンチ
まで作ってくれるのがヴィーシャ。しかし食べてもらえない。可哀想かわいい。
デグレチャフ少佐はいつでも無慈悲な悪魔みたいな振る舞いを崩しませんが、
もしヴィーシャにもしものことがあったらどうなってしまうのだろう?
なんて想像をしないでもありません。


・小ネタ
 
・「幼女戦記」は全体的に出てくる言葉遣いがいろいろ特殊で、TVシリーズを
見ていれば分かることも多いのですが、劇場版をいきなり観た人だとどこまで伝わって
いるのだろう?みたいなものも多いですね。固有名詞ではなくあくまで言葉遣い。
 
上で出てきた「ネームド」とか「戦・爆混合編隊」(戦闘機と爆撃機)なんかも
その類ですが、「剣林弾雨 (けんりんだんう)を潜り抜け」とかきょうび
言わねーな(スバル)、とか、「遅滞戦闘中」(要するに劣勢だけど少しでも
侵攻を遅らせろ)とか、「鎧袖一触」とか、「緊要地」とか、「ラーゲリ送り」とか、、、。
 
「彼らは涙を信じない」は「モスクワは涙を信じない」というロシアの格言。
「泣いても誰も助けてはくれない(だから泣いて同情を誘うなんて無意味だ)」
というのが本来の意味ですが、帝国はこれをもじって「モスコー市民は首都襲撃
という悲しい事実をまだ受け入れられないほどショックを受けている」という
意味で使ったと。そりゃあ憎しみの連鎖は止まりませんわ・・。
 
「マルニ秘蔵のボトル」 という言葉が出てきてヴァイス大尉がボトルを奢る
ことになりますが、「マルニ」というのはヴァイス大尉率いる第2中隊のことかと
思ったら、同じ第2中隊に所属するグランツ中尉がこれを喜んでいて、
実際に祝勝会では奢られる側に立っている。
 
よくよく考えてみると「マルニ」(02)というのは各隊員に付けられたナンバーのこと
ですね。途中で「ヒトナナ(17)被弾!離脱します!」といったセリフが出てくるのも
自分に振られた番号のこと。軍隊のコミュニケーションルールは難しいな・・。
 
・最後のCパートは、初週は本当に大爆笑の嵐で楽しかったですね。
みんなあの「・・・ん?」「・・・へっ?」で吹き出すのですが、
ああいうのも心置きなく吹き出すことができるのはやっぱり初週。
映画は初週に万難を排して行くべし。先延ばしにすればするほどお楽しみは
減っていくのである。
 
その後方勤務で中佐に昇進してご満悦のデグちゃん。チョコレートと
コーヒーという組み合わせはTVシリーズ4話で出てきているのですね。
 

 
このあとすぐデグちゃんは大学から203大隊の隊長となり中尉から少佐へ
二階級特進(死んでない)。言ってみれば チョコレートはフラグアイテム
このチョコには硝煙の香りがするぜ。コーヒーにミルクは必要ないぜ。
 
この「戦場の妖精」「ラインの悪魔」が時々窮地に陥るも大体は俺ツエー
している本作が違和感なく受け入れられるのは、彼女に振り回される
オジサマたちがいるのと同じくして彼女を手のひらの上で振り回す
オジサマたちがいるからなのであります。
 
「劇場版 幼女戦記」はアンソンからメアリーに続く悪魔討伐の物語として
これ以上ない完成度で我々を魅了してくれました。この続きは2期かはたまた
劇場版2か、サラマンダー戦闘団を率いるターニャをこの目で見るまでは
一歩も引きませんよ。最初に壊れるのは レルゲン大佐の胃 かもしれませんがね。


2019/05/01 [updated : 2019/05/01 12:39]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




« [tw:2019/04/28] ミッドランドスクエアシネマ「響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ」舞台挨拶、八十亀ちゃんゲーマーズ展示ほか

トップに戻る

GSR初音ミクAMGは好位の予選6番手、明日の長丁場で逆転を狙う!SUPER GT 2019第2戦富士予選 »


▼ はてなブックマークのコメント ▼

ckom 2019/05/01
公開からだいぶ経ってしまいましたが、いつもの感想吐き出しメモです。
FRS_MAG 2019/05/01
今からでも立川いって見てくるかなあ
はてなブックマークで
コメントしましょう


【※ネタばれ全開注意!】劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ


リズと青い鳥、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ【※ネタばれ全開注意!】


ガルパン最終章第1話、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ【※ネタバレ全開注意!】


ガルパン劇場版シネマティックコンサートは"進化"する! 大洗文化センター凱旋公演(3/18)レポート


【大洗特爆】「刹那主義には大賛成だね」 ガルパン劇場版ありがとう大洗!凱旋特上爆音上映は本当に特上だった!イベントレポート


劇場版ソードアート・オンライン、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ【※ネタばれ全開注意!】


劇場版 艦これ、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ【※ネタばれ全開注意!】


ガルパン劇場版、「4DX」鑑賞後、吐き出しメモ【※4DXネタばれ全開注意!】


ガルパン劇場版、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ【※ネタばれ全開注意!】


チネチッタで「劇場版ポールプリンセス!!」「ぼっち・ざ・ろっく!結束バンドLIVE -恒星-」を観てきました。


ガルパン最終章 1,2,3話+4話先行上映イベント in シネマシティに行ってきました。


「プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章」公開記念 追加舞台挨拶上映 in 新宿バルト9に行ってきました。

ピックアップタグ




ブログ内検索



▼ コメント ▼


★コミックダッシュ! 10,000人突破ありがとうキャンペーン!(9/18~10/23)
 
デジモノに埋もれる日々 : (C) CKWorks