オタク化の拡大とセグメントの細分化

2004/12/21

“オタクマーケティング”の時代到来?――NRIに聞く「オタク市場の力」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0412/21/news017.html
 
誰の記事かと思ったらまたもや ユカタン こと岡田記者であります。
このお方、blogやらSNSやらオタクやらの、この界隈でも極めてエッジな世界に
自ら足を突っ込んで完全に得意分野として手中に収めつつあるようです。
このNRIの調査の言葉を借りて言えば、
 
 「オタクに受けるにはまずオタクになる」を自分で実践して
 
いるのではないかとさえ思えてきます ∑( ̄□ ̄;)
 
先日の オタク調査で話題をさらったNRIの面々のインタビューですが、曰く
調査は今後、車やAV機器、鉄道、旅行、ファッション
といった分野にも広げ、結果を順次発表する計画だ。

というわけで、
 
 よっしゃデジモノ調査コイヤァぁぁぁ!!!ヽ(`Д´)ノ
 
首を洗って待っています のでソコのところ宜しくお願いします(?)
購買サンプルデータなら、ほら、ココ
「デジモノに埋もれる日々」開設1周年!大感謝です。 にしっかりとありますので・・・。
 
 
さて、インタビューの内容は上記のリンク元から辿ってご覧頂くとして、
ここでは1つだけ、気になった点を取り上げていきましょう。
 
■オタク市場はふくらむか?
例えばアニメ分野の場合、各作品のオタクが地層のように重なり、
交わることは少ない。1stガンダム世代(30代)、ドラゴンボール世代
(20代)……と、一定の世代がある層を作り、次の世代は別の層を築く。
 加えて、少子化が進んでいるため、新しくオタクになる子どもの
母数が減りつつある。オタク市場全体の先行きは決して明るくない。

私の考え方はちょっと違います。これはオタク市場の縮小を示しているのではなく、
セグメントの細分化 を示しているのです。個々のセグメント当たりのオタク数の
増加は簡単に限界を迎えますが、その一方でセグメントの数は爆発的に増えていきます。
すると、全セグメントを一望した際の総オタク数は増え続けていくことになります。
オタク化が進行するのは、「情報」の流通・取得コストが激減していくためです。
(11/1の [報道メディアから「対話メディア」への重心移動
報道メディアから「対話メディア」への重心移動] もご参考のこと)
 
つまり、オタク市場の攻略を「セグメントの拡大」(→ガンダムマニアを増やそう)
のように捉えたマーケティングでは状況に追随できないというコトです。
セグメントは開拓者によって開拓され、急成長によって盛り上がりと共に消費され、
最後は一握りの信者を残して散開します。その横ではまた別のセグメントが立ち上がって
いるのです。こうした 細分化されたセグメントのライフサイクル
如何に正確にキャッチアップできるか、そのマネジメント体制が問われているということです。
 
そう考えると「なぁんだ、今までと何が違うのよ」と思われた方も多いと思います。
実際その通りで、「俗にいうオタク」(アニメとか)の話だと考えるから
特別な話に見えるのであって、例えばファッション界のオピニオンリーダは
ファッションオタク であり、同様に自動車界には車オタクが、料理界には
料理オタク がいて、セグメントを作り出したり壊したりを繰り返していたワケです。
 
そうした頃と何が違うのかというと、1つだけ決定的に異なるのは、そうした
セグメントの誕生が コントローラブル ではなくなってきた、という点です。
情報誌やTV番組など幾つかの高価な寡占メディアをある程度制御できれば
セグメントを狙って生み出すことができた頃と違い、激安な情報網であるネットを使って
セグメントの「種」があちこちで無数に作られ、どこから新しいセグメントが
芽を吹き出すか判らないような世界になってきています。その結果として、
マーケティングはセグメントの「キャッチアップ」側に回らざるを得なくなっています。
 
好きな分野の情報を追い掛け回すという「オタク化」人口は増える一方で、
個々のセグメントごとのパイは小さくなり、細分化が進んでいく、そんな中で、
モノを売る人はどうやって大量のセグメントをキャッチアップしていけばよいのでしょうか?
 
例えば「携プレ」のセグメントでいえば、MP3対応する前のNW-HD シリーズが
どれだけ下卑されてきたか、とか、どれだけの MuVo2が分解目的で買われた か、とか(笑)
セグメント内ではホットであって別セグメントにとっては どうでもよい 情報が満載であり、
人々はまた自ら進んでそうした情報を欲しがっちゃったりするのでありますよ。
 
各々「ツボ」が違う各セグメントに対して、売り手が全てのセグメントのオタクに
なることは不可能ですから、そこで必要になる対策というのは、各セグメントの「ツボ」を
知る人々への 対話チャネル を大量に保持し続けること、なのかもしれません。


2004/12/21 [updated : 2004/12/21 15:53]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




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▼ コメント ▼

No.256   投稿者 : highfrontier   2004年12月21日 17:22

「各セグメントの「ツボ」を知る人々への 対話チャネル を大量に保持し続けること」って、つまり「人を利用した情報抽出(
http://blog.livedoor.jp/highfrontier/archives/10064702.html
)」って所に落ち着くことですよね。となると売り手が最初にならなければならないオタクは、情報オタクってことになるんでしょうかねぇ。ただ、それは取っ掛かりに過ぎないわけで、そこからマーケッテイングしなければ意味はないので、そこからキャッチアップすべき情報源を見つけ出していかねばならないってことですが。
でも、情報源が見つければ狭いセグメントの瞬間風速の高い情報でもうまくフィルタリングしてもらえるってことでその辺のセンスが情報オタクの面目躍如たるオタクっぷりってことになるんでしょうか(^-^)


No.258   投稿者 : CK   2004年12月22日 23:10

●highfrontierさん
全く以っておっしゃる通りだと思います。実はこのhighfrontierさんの記事とそのリンク先の記事も
発信当時に拝見させて頂いていましたが、「人を利用した情報抽出」の部分を読みながら、
やはりネットにおける「人」という存在の役回りの重要性を再確認させられました。
 
オタク化云々はさておくとして、私は情報の評価基軸をコンテンツ単位から人単位に切り替えたいと
常々思ってきました。全く同じ情報であっても、自分が信頼している人が発信しているときと
信頼していない人が発信しているときでは、その価値は全く異なってしまうからです。逆に言えば、
信頼のおける情報発信者を十分な数だけ見つけ出しておけば、情報は凄く効率的に集まりますよね~。
 
実は デジモノREVIEW の BLOG別記事一覧 というのは、それに対する自分なりの回答でした。
記事を集める/探すのではなく、お気に入りのレビュワーという「人」を探してもらうための
ツールとして活用していただけたらなぁと思っています( ・ω・)ゞ
私自身も、この1つのセグメントで活躍するあらゆる「人」のことをもっと知りたいですよ~。



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