【※ネタばれ全開注意!】劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト、繰り返し鑑賞後、感想吐き出しメモ

2021/06/07

※3/12現在、20回鑑賞して3回の長文追記をしています。
( 現在、約2.3万文字、想定読破時間 : 46分 )
 

 
「劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト」 が遂に公開となりました。
 
特に「舞台」という生身のコンテンツが幹となっているスタァライトにとって、
コロナ禍は本当に大打撃。バンドライブの中止。スタリラ大運動会の中止。
再生産総集編も昨年5月から3カ月延期して8月公開。舞台#3も昨年7月の予定が延期。
 
そんな絶望の淵に立たされながらも、12月の青嵐スピンオフ舞台を見事にやり遂げ、
続く希望だったこのアニメ新作劇場版が、これも緊急事態宣言で2週間の延期を
受けながらも遂に日の目を見ることができたのです。
舞台創造科(=スタァライトのファンのこと)にとっては本当に待ちに待った
 
キラめきを浴びる日々
 
の到来でした。このあと舞台#3も7月に控えています。また来年にはスタリラ舞台が
行われることも発表されました。またこうしてスタァライト充に浸れることを
本当に嬉しく思います。
 
 
 
 

 
 
 
・・・ なーんて、な。

 
 
 
おい、そんな「ありきたり」な枕詞を御託のように並べられる心が残っとったんか。
胸を刺す衝撃を浴びてボクの心も再生産しちゃいそうです、ってか。
そないな生易しい映画やなかったやろ。本音さらせや。ん?
 
 
という心の香子が私の中で囁いてます。
 
 
 
 
ではここから先は ネタばれ100% です。くれぐれも、くれぐれも
まだご覧になっていない方は、ここから先はご覧にならないようご注意ください。
 
---------- 8< ---------- キリトリセン---------- 8< ----------
 
(初回)「ふたばかおるこのせかいで」(2021/06/07)
(2回目)「七色に輝く者はいつか必ず黒に染まる」(2021/06/12)
(3回目)「何者でもない私と、何者でもない貴方」(2021/06/20)
(4回目)「まひるのひかりがあの娘の道を照らす」(2021/06/27)
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
まにあわない! ネタばれ回避がまにあわない!!
本編未鑑賞の方は引き返さないと!!手遅れに!!
 
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

(初回)「ふたばかおるこのせかいで」(2021/06/07)

 
よろしいでしょうか!!
 
例によって吐き出したいだけなので推敲とか一切しませんぞ。
 
 
 
・どうする? 何からはじめようか?
香子? 香子の話する? 香子の話とあと何の話する?
 
みたいな、そんな感じですけど。私は重度の香子推しなので
そこは割り引かないで聴いてくださいね(割り引かないんかい!)
 
 
・劇場版スタァライトめちゃくちゃ凄かったよね、凄かったけど、なんだろう、
マシンガンでオーバーキルされる映画 みたいな感じなので、
何度殺されたのか途中から覚えてないんですよね。
胸を刺しすぎ。衝撃弾込めすぎ。
 
なので、先頭から順番に、とか、メインのレヴューの順番に、とか、
そういうことを書くのが正しいんでしょうけど、私はもう「死んでる」
のでそんな順番守りませんよ。強いお酒とか呑んでるんじゃないかな。
 
 
 
・じゃあ香子の話しますね!(多数決)
 
 
・レヴューの話より先に、まず新国立の話ですよ。
新国立の見学の話で浮かれている九九組のメンバーをみて急に切れ散らかす香子。
 
すみません、わたし実は初見のときこのシーンですでに全身総毛立ちで
震えていました。これだよ、これが香子だよ。誰よりもわがままで、
誰よりもサボり魔で、誰よりもへんくつで、いいとこあらへんやん、みたいな。
(っておい言い過ぎやろ、表でろや。)
 
そんな香子がなぜ俳優育成科のトップ9に君臨しているのか。
 
彼女が誰よりも強いプライドを持っていて、誰よりも輝こうとすることを
止めない舞台少女だからです。アニメ6話であの天堂真矢が放つ
「同じものを感じていました」 という台詞、香子に向けた
最大の讃美。香子を輝かせるのはそのスピリットです。
「トップを目指す」ではなく、「自分はトップである」という気持ち。
 
大場ななが、天堂真矢がトップ9の「中」を見ていないように、香子もまた
いつだって 「あっち側」 なのです。だからこそ彼女はいつだって特別なのです。
 
その香子が「ずっと次のオーディションを待ってた」と言う。
自分の知らないところでオーディションが開かれて誰かがトップスタァに
なっていたらと思うと悔しいと言う。それだけでもう私は体中が震えてきたのでした。
 
・そういう意味では、誰よりも ばななの怒りに近づいていた
とも言える香子はん、まあ彼女はそのばななはんにも論外扱いされて
斬って捨てられるんですけどね・・。
そのあたりの「皆殺しのレヴュー」の話はまたあとでしましょう。
 
 

 
・ふたかお再戦 「怨みのレヴュー」。本当に最高やった・・。
もう何もかも燃え尽きて昇天しました。
 
・5chにも全く同じことを考えていたコメントがあったんですが、
 
「ふたかおのレヴューがあまりにも凄すぎて、ハードル上げすぎじゃん!
このあとどうするの、もう何が来てもこのふたかおのレヴューがMVPで決まりでしょ」
 
と思ったらそのあとに続いたレヴューが「全部」これに負けず劣らずの破壊力。
繰り返しますけど舞台創造科をオーバーキルするための映画でしたよね。
 
 
・賭場の壺振りで出てくる香子はんと、博打打ちのクロはん。
双葉はんのこと 「お気に入りのお菓子箱」 て。もう台詞がイチイチ最高。
結局は「1人で新国立行くんか!ウチと一緒に京都に帰らんの!」
というだけの痴話喧嘩のレヴューなわけですが(身も蓋もない)
 
そこに双葉はんがまた任侠な出で立ち「どっちも、どっちも」と割って入ってくる。
で、香子と一緒に飛び出して、またこの2人が再戦するのね、ふんふん、
双葉はんが香子に並び立ちたいから!って叫んで、そうそう、だよねー
 
と思っていたところでバシッと仏陀切る 「セクシー本堂」 最高か。
まさかのキャバクラ、キャバ嬢香子と常連双葉。目が泳いでいる双葉はんの
「ダメ男」感がもう、それっぽすぎて笑いをこらえられないww
 
 
「お前の為」って言えばウチが喜ぶとでも思とるんか?
 
 
めっちゃ踏み込んでくるやん。痴話喧嘩に年季が入ってきてリアルすぎてアレやん。
このままじゃ天堂や星見に追いつけない、って言い訳し出す双葉はんに
 
「他の女の話とかどーでもええわ!」
 
って切り返す香子はんマジ最高の女すぎん?
 
進路の話の流れで言うなら「他人の話じゃなくて自分の話を見つめろよ」という
的確なアドバイスなはずなのに、痴話喧嘩のコンテキストになってるから
「自分以外の女に流されたんか」みたいな話になってる。まあ間違っても
いないのですが。京都帰ろっていうのは自分に付いてきてよ、って話だしね。
 
あまり深入りしませんが、監督がネタばれ有り舞台挨拶で「自分の経験を元にした」
とかいうから業が深くて笑って良いのか分からなくなりましたわ(おい)
 
 
「うっと」「うっといねん!」 ←狂おしいほど好き
 
「おい!」「・・・表でろや」 ←泣くほど好き
 
 
・このレヴュー、どこに落としどころがあるん、と思ったら、
なんと双葉はんが開き直ってマヂ切れするという壮絶な展開で
これは犬も食わないわ。
 
デコトラ決戦で流れるのは新レヴュー曲 「わがままハイウェイ」
この曲、サビが古臭い歌謡曲風になっているわりに間奏とかは妙にテンポが良くて
いまアタマの中でずっとヘヴィローテしているのがこの曲です。
映画で流れただけで音源とか何も無いので全部記憶だけでヘヴィロテしてます。
 
 
「ずっとお世話してやったじゃん!」
「香子ばっかりアタシを独り占めしてズルい!」
 
 

 
やっと言えたじゃん双葉はん。
 
ずっと「わがままな香子」はアタシが支えてやらなきゃって、自分はちゃんと
しなきゃって思って、それが自分の望みだって言い聞かせてたけど、
その中でいろんなことを、自分のことを我慢もしてたんだよね。
香子がわがままの権化みたいな娘なのに、
自分もわがままになるわけいかないじゃんって。
 
やっと言えた? ついに言っちゃった? 二人だけのわがままハイウェイ。
このレヴューは双葉が香子に初めての「わがまま」をぶつける、ただそれだけのレヴュー。
双葉が勇気を出して、自分がどうしたいかを決めるレヴュー。
そして、それを分かっていて、香子は言うんだ。
 
 
それをウチの為だなんて言い訳するもんやないよ。
 
・・・。
 
 
スタァライトの2.5次元の二層展開式構造、個人的には凄く「良い意味で混同する」
タイプなので、そこはあらかじめ断り書きを入れておきますけど。
 
九九組を好きになってから、特に#2再演で間近に見てからだと思うけど、
生田輝さんのことはずっと気にしていました。上を向けば大スタァ揃い、
下を見たら若手期待のスタァ揃い、九九組の中で輝さんはずっとコンプレックスに
押しつぶされそうになりながら強い心でそれを跳ね返していった。
(2ndライブでも#2再演でも最後にポロっとそんなことを言うのがまたジーンとくるお方です)
 
この「吐き出しメモ」のブログ記事は、ただ感動した!大好き!だけでなく、
何かこれは書かなきゃいけない!という焦燥感に押しつぶされそうになったとき
唐突にキーを叩いて書くモノなのですが、そのきっかけは6/5(土)の
横浜ブルク13 舞台挨拶上映で佐藤日向さんがポロっと仰ったお話でした。
 
 
「この映画を作るにあたって、
 
『彼女達の将来はどうなると思う?』という個別ヒアリングを
 
1時間も2時間もかけて受けたんですが、
純那ちゃんの場合、それが結構な割合で反映されていて・・」
 
 
この映画に限らず、二層展開式のスタァライトという作品自体が、元々からして
各キャラの設定に各キャスト自身の設定が同じではないにせよ散りばめられています。
(好きなもの、嫌いなものとか)「石動双葉」はスタァライトの中で、
「アタシは最下位」「ついていくのがやっと」というのが口癖になってる。
 
石動双葉というキャラクターがその殻を破って自分の足でトップを目指す!と
大見得を切る瞬間、輝さんが双葉に先んじて強い心で「スタァに囲まれた自分」
ではなく「スタァである自分」を切り開いたことが脳裏をよぎるのでした。
 
スタァ(香子)に付いていくことを言い訳にしたらいけんよ。
ほなら、スタァ(香子)に 並び立つ ことも言い訳にしたらいけんよ。
 
自分こそが一番のスタァと信じる娘でなければ、スタァに付いていくことなんかでけへんよ。
あとでじゅんなななの話でもすると思うけど、たぶん今回のレヴューは
どれもこれも 「言い訳を断ち斬る」 レヴューなんだな。
 
「もう一緒には、行けない!!」
 
双葉はんカッコいい。さっきのダメ男シーンがあるから尚更カッコいい(おい)
 
 
・向かい合って突進する渾身のデコトラ。
 
・デコトラはまた6/4(金)の新宿バルト9の初日舞台挨拶でも
パンフレットの対談でも古川監督がおっしゃっていた通り、
 
「アニメ史に残って10年はリファレンスにされるほどの」
 
デコトラだといいます。何の自信だか分からないけどとにかくすごい自信だ。

・デコトラ、本当にカッコよかったし、その「こんなにする??」みたいなのが
本当にデコトラ感が満載で良かったですね。良かったというか、
そこまで細かくすることにリソースを割いた執念が凄いです。
3D班に相談して最初に作ったのがデコトラだったみたいな話もされていましたが。
デコトラの何がそこまでさせるのだろうか。怖い。
 
・トラックの荷台部分もそうだけど、下のほうにも双葉はんのほうには
「度胸/一番」 とかランプが付いててトラック野郎かな?
香子のほうにも似たような文言があったけど何だったかな・・。
 
「デコトラに中村彼方の歌詞が書いてあったら最高に面白いじゃないですか」(監督談)
 
最高に面白いというか、最高にイカれてますよね・・。
セクシー本堂といい、監督のアタマの中ってどうなってるのか謎です。
香子がお風呂みたいに浸かってたあれ、仏具の香炉か何かですよね。
それを シャンパンタワー みたいにしてましたよね。
清水の舞台から飛び降りるならデコトラでね♪ってどういうことや。
まぁ東京タワーが今までされたことに比べたら大したことではないのかもしれませんが(汗
 

 
・デコトラで突進する2人、そして「ほんまウチはしょうもないで」と
力が抜けて落ちる香子を双葉が掴んで、そして一緒に落ちる。
このときの双葉はんの顔、狂おしいほどすき。
なんだよ、ダメ男がまっすぐな瞳でイケメンになるの ずるいじゃん。
香子が惚れなおした自分を見せたくないみたいな顔するのずるいじゃん。
 
桜の花びらの絨毯に包まれて、バイクのキーを渡されたことに気づく香子。
 
「こんなん渡されても、待たへんよ・・。」
 
待っちゃうんだよなぁ。香子だもの。顔が「いつまでも待ってる」って言うてるもん。
 
香子はほんま、ダメなオンナでいいオンナやで。
双葉はほんま、ダメなオトコでいいオンナやで。

 
・はい!本当に最高のレヴュースタァライトでしたね。
 
香子が1人だけ新国立に行かないと啖呵切ったところから、
ふたかおのワイルドスクリーンバロック①に至るまで、これはもう
最高傑作だと確信しました。もう何から何まで圧倒されてマスクの中の
口がずっと開きっぱなしで、こんなに最高なものを受け取って
いいんでしょうか、という気持ちで一杯になっていました。
 
 
 
と、思うじゃん。
 
このあとまさか 「こんなに最高なもの」 があんなに沢山出てきて
お腹いっぱいのお客の口に無理やり詰め込んでいくシェフがいるとは
思いもしませんでしたよね・・・。
 
・皆殺しのレヴュー
・怨みのレヴュー(★DONE!)
・競演のレヴュー
・狩りのレヴュー
・魂のレヴュー
・最後のセリフ
 
このあとどうしましょうか。毎週見るごとに吐き出していきましょうか。
ほんとどうしたらいいんですかね、
この映画、映画5本ぶんの名場面集だったとかそういうことではないですよね。
 
書きたいことは数あれど、筆が乗るならお立合い。
またいつかその言葉の続きを紡ぐ時が来たら・・。(ってまた来週だったりして?)
 
 
 
「ねえ純那ちゃん、『またいつか』 って言った? もう死んでる?」
 

 
 
 
 
 
 
 

(2回目)「七色に輝く者はいつか必ず黒に染まる」(2021/06/12)

 
・劇場版スタァライトの上映も2週目。
 
・チネチッタさんのLIVEZOND、LIVE SOUNDの破壊力はやはり強烈でした。
大地を揺るがす轟音という感じではなく雰囲気を保ったマイルドな
感じの調整でしたね。CINE8 LIVEZOUND より CINE12 LIVE SOUND
のほうが迫力があったまである。何なら迫力はバルト9 シアター9の
ほうが強烈だったまであります。各劇場がこうしてしのぎを削って
最高の上映をしようとしてくれていることが何より嬉しいですね。
 
・2週目も2回観て、来場者特典ミニ色紙は、推しの香子はんきたー!
香子とThis is天堂真矢をゲットです。これで1週目と合わせて
5枚すべて被り無し。ふたかおが手をつなぎましたよー。 嬉しい。
 
・ところで、チネチッタ川崎から徒歩5分くらいでいける京急川崎駅の
裏手には 「太陽のトマト麺」 というラーメン(?)屋さんがあります。
国内だけでも16箇所あって、実はTOHOシネマズ新宿の1Fにもあるのですけどね。
 

 
おおよそスタァライトとは関係ないトマト麺ですが、ハマると何度も
食べたくなるほどハマるのでまだ一度もお試ししてない方はぜひ。
スタァライトを観る前にトマトを食べないと。燃料が不足してしまう!
 
 
 
 
・西條クロディーヌ、救済!!
 

 
・いやーもうクロちゃんカッコよかった・・・。
というか今回の劇場版スタァライトは本当に 「クロディーヌの救済」
ともいうべき映画でしたよね。TVシリーズでは9人の中では唯一、
メインスポットライトが当たる回が無いという不遇のクロちゃん。
 
・1話 ひかりvs純那
・2話 華恋vs純那
・3話 華恋vs真矢
・5話 華恋vsまひる
・6話 双葉vs香子
・8話 ひかりvsなな
・9話 華恋vsなな
・10話 華恋/ひかりvs真矢/クロディーヌ
・12話 華恋vsひかり
 
10話ももちろん素晴らしかったのですが、でもやっぱり「タッグマッチ回」
という印象が強すぎた。そしてクロちゃんが単独で口上を述べるシーンは
ついに1度も存在しませんでした。
 
一説には、クロちゃんは初期構想では存在しなかったキャラだったからとか、
存在してもメイン舞台少女とは違う扱いだったからとか、どこで聞いたんだったか、、
 
とにかく、完全無欠のサラブレッド天堂真矢の最大のライバル、という強者の
ポジションでありながら、そのポジションもむしろ2話ラストの引きの一瞬だけとか
3話の天堂真矢の 「あの娘は斬り捨てた!」 という台詞でしか語られない、
TVシリーズの西條クロディーヌは素敵ではあったけれど色々と
不完全燃焼が続いた存在だったことは間違いありません。
 
・そのクロちゃんの渾身の銀幕レヴュー。
 
これはもうメインスタッフの方々でさえ、
 
「西條クロディーヌという舞台少女を輝かせたい」
 
という一心で作ったのではないかと思わされるくらい、
あの「魂のレヴュー」は壮絶でしたね。
 
・前回も書いたとおり、ふたかおの「怨みのレヴュー」から始まって
もうこれ以上凄いことなんて無いのでは、みたいに思っていたのが、
次々に凄いレヴューが繰り広げられて、最後のこの真矢クロレヴューで
文字通り燃え尽きる十字架のように灰になりましたわ。
初回は本当に「身を震わせて」涙をボロボロ流して観ていました。宗教かな。
 

 
・本音を言うと、この真矢クロレヴュー、出だしの「舞台人と悪魔」のくだり
から始まったときは、ここまでとんでもないレヴューを散々ぶつけられてきた
反動もあって「ん? せっかくの真矢クロなのにちょっとインパクト弱くない?」
なんて若干肩透かしっぽく思っていたところがあります。
 
なんでかっていうと、この2人のレヴューだけ 「普通の舞台の上」 から始まるのです。
ふたかおだって、ひかまひだって、じゅんなななだって、舞台の上でレヴューを
しているわけですが、彼女たちの演技は舞台の「中」の視点で映されますし、
そもそも普通の観客席がある舞台を想定したステージになっていません。
 
・この真矢クロのレヴューだけは「舞台」の中で「舞台人(ぶたいびと)」を演じる
真矢が登場します。いわば劇中劇ですね。だからキリンのステージの中なのに
「普通の」舞台が現れ、普通のセットの中で戦う真矢クロという構図になるわけです。
舞台人と悪魔のやりとりも「いかにも劇」という体をとってわざと白々しくしています。
仕込み杖を使って攻撃するクロちゃんも活き活きスタイリッシュでカッコよかったですが。
 
ACT3からは真矢が白衣装に代わって空っぽの器の七変化を見せるわけですが、
この真矢クロレヴューが凄かったのは、やはり 舞台転換が一番多い ところ。
 
そもそも今回の劇場版スタァライトは舞台転換の回数が本当に多くて
それが作品のスピード感を増幅させています。1つのレヴューの中でも
慣れてきた頃に「って思うでしょ?」といわんばかりの舞台転換を投げ込んできて
とにかく飽きさせない。その舞台転換が一番ふんだんに使われたのがこの強者の決戦でした。
 
・月の輝き星の愛など戯言だと斬って捨てる西條クロディーヌの口上がカッコ良すぎる。
クロちゃんがステージど真ん中で口上を叩きつけるだけでも最高なのに、
その相手がライバルの天堂真矢。言ってみれば
 
西條クロディーヌは、天堂真矢に唯一ケンカを売れるオンナ
 
ポジなわけで、もうこの時点でこれ以上ないクライマックスなわけです。
それを受けた天堂真矢がマヂ切れする。天堂真矢をマヂ切れさせられるのは
西條クロディーヌと柳小春だけ!(おい)
 
図に乗るな・・図に乗るな・・!
 
「奈落で見上げろ!私がスタァだ!!」
 
うああああああ・・・!と一瞬呼吸ができなくて咳込みそうになるくらいの
凄いシーン。TVシリーズでも真矢は、ばななにも華恋&ひかりにも
負けるシーンがありますが、いずれも天堂真矢が「我を忘れる」ほど
ムキになったシーンはありませんでした。
 

 
「私だけがアンタを剥き出しにする!」
 
ACT4は我を忘れた2人の舞台少女が魂をぶつけあうレヴュー。
この2人ね、あのね、、言っていいですか、
 
 
 
 
レヴュー中、お互いずっと告白し合ってますよね。
 
 
 
 
「アタシのほうがアンタを好きよ!!」
「私のほうが貴方を好きです!!」
 
 
 
・・なんだよ、なんなんだよこれ、何を見せつけられているんだ。
ノロケだったら他でやっt、、い、いや、ここでやってくれて構わないぞ。
 
 
・麻帆姉こと富田麻帆さんの地声って、普段の天堂真矢のお高くとまった
声とはだいぶ違っていて、何というか「うりゃああ!」「でやあああ!」
みたいな吹っ切れちゃってる剣戟の叫び声がそれに近い。
普段の真矢さまとのギャップがあってそれがまた面白いのですが、
こうしてみるとキャラとしての真矢様も本性は実はあんな感じなのかもしれない(2.5次元)
 
 
「アンタ今までで一番カワイイわ!」
「私はいつだって可愛い!!!」(売り言葉に買い言葉)
 
 
麻帆さんが言いそうなことだwwwww
 
 
相変わらずの鳥バードといい、天堂真矢の謎センスは本当に最高に
カッコいいシーンでチャネルがズレたものがぶっこまれるので
笑いながら震えるみたいな感じで、魂をチキンラーメンにされてしまうのでやめてくだしあ。
 
・真矢様の戦い方ってじっくり見ると本当にエグくて、とにかく下に
潜ってくることが多い。何なら明和特攻スライディング部隊(古いわ)
みたいな勢いで足から狙ってくる。
麻帆さんの舞台少女随一の構え姿勢の低さは伊達ではありません。
 
 
・レヴュー曲「美しき人 或いは其れは」
 
この頂上決戦で流れるレヴュー曲、絵面がもうとんでもないことに
なっているので耳まで音を拾う余裕なんてこれっぽっちも無いのですが、
そんな中で1つだけ 妙に耳に残るフレーズ があって、
一度気になったら止められなくなります。
 
 
黒に染められゆく感情 ~ (うろ覚え)
 
 
天堂真矢、「クロ」に染められちゃったじゃん・・。
もうこれ "ゴールイン" してもいいかな。
 
 

 
・少し巻き戻して。劇場版のあらゆる事象は大場ななの
ワイルドスクリーンバロック、皆殺しのレヴューから続くわけですが。
 
皆殺しのレヴューで唯一、上掛けを落とされていないのが天堂真矢。
西條クロディーヌは 「なんで、、、あいつだけ、、」 とうわごとのように呟く。
 
・絶対強者の大場なな皆殺しマンからすると、天堂真矢も合格かというと
そういうわけではなく、失格に半分足を突っ込んだくらいのものでしょう。
 
「観客が臨むなら、私たちはもう舞台の上、、」
 
絞り出すようにばななに応える天堂真矢と、
他の舞台少女と同じくまるで反応できない西條クロディーヌ。
 
99期生の決起集会でも、誰よりも先に心を取り戻して101回聖翔祭の
スタァライト台本の 演技を活き活きと始める のが天堂真矢です。
 
 
・舞台少女の「死」。
 
アタシは一度死んだ。アイツは、、アイツだって私たちと同じ、
でもアタシたちと同じようには死ななかった。
新国立に向かう天堂真矢、フランス名門からスカウトを受けて挑むクロディーヌ、
より高みを目指して進んでいるのは同じ。同じはず。なのに。
アイツと何が違う? 心構え? 志の高さ?
 
西條クロディーヌは、いつだって目の前に最強の天堂真矢をおいて、
天堂真矢を打ち果たす自分をイメージしてた。
卒業して、別々の道を進んだら、私の魂は何を以って燃やせば良いというのか?
 
 
・その天堂真矢が、また同じように悩む。
 
何者にでもなれる神の器、それはまるで新国立でトップスタァになって
エルドラドでも何でも与えられた演目の最高の演技をこなす姿そのものだ。
最高の劇団で上り詰めて、最高の演技を魅せて、最高の喝采を浴びる。
 
そこに「私」は居るか?
 
何者にでも完璧になれるスタァは、何者を目指せばいい。
天堂真矢の悩みは決して自覚的ではなく、自分から
「私のこの余裕ぶった心を壊して掻き乱してくれ」なんて思ってはいない。
それは掻き乱されて初めて自覚する事実。
 
掻き乱そうとするのは、いつだってあの娘だった。
そして私はいま初めて、「剥き出し」 にされたのだ。
 
 
 
・レヴューのクライマックスはスタァライト史上はじめて見せる瞬間、
西條クロディーヌが天堂真矢の星を落として一矢報いる姿です。
 
「西條クロディーヌ、貴方は美しい・・」
 
心の声だけ素直になるのが真矢様ずるいじゃん。
天堂真矢から見た最高に美しい西條クロディーヌの姿。飛び散る真っ赤なバラ。
 
敗れた瞬間の真矢様もまた同じくらい美しいんだ。
あの 片手剣で打ち合う構図 って凄く好きなのですが、右利きなら右手を
できるだけ伸ばして相手に向けるため右足が前、左足が後ろ、
身体が開いて腕の先までピーンと伸びる。
 
この構図、ACT3で変化(へんげ)した舞台人が余裕しゃくしゃくで悪魔の
星を落とす構図と全く同じなんですよね。全く同じように打った一撃で
一瞬先を行かれて星を落とす真矢様が「はっ!」とした顔をする。
 
この娘は、私を超えてくれる。
 
私には、まだ「全力」以上の全力を出す余地がある。
 
自分を1対1で正面から討ち果たしてくれる相手がいることがこんなに嬉しいなんて。
 
西條クロディーヌはこの映画で救済された。
そして天堂真矢のさまよえる魂もまた、ここで救済される。
何色にでもなれる天才の魂は、混ざり混ざって結局はクロに染まる。
 
~英雄には試練を~
~聖者には誘惑を~
~私には悪魔を~
 
私には貴方を!(アタシにはアンタを!)

私たちは共に燃えながら落ちていく炎。いかなる自信があっても、
いかなる地位にあっても、満足は敵だ。 貪欲になれ、上を向け。
 
劇場版スタァライトでトマトは舞台少女の燃料であり禁断の果実を表す。
貴方はこれから何を燃やして進む。進まない自分を恐れろ。
トマトを喰え。ちなみに天堂真矢はトマトが嫌いだ。
天堂真矢の胸に突き刺す西條クロディーヌの剣が、お互いの道しるべを刻む。
 
「1回勝負と、誰が決めましたか?」
 
麻帆ねぇが言いそうなことだwwwww
 
 
 
 
 
 
 
 

(3回目)「何者でもない私と、何者でもない貴方」(2021/06/20)

 
・3週目に入りました。3週目の来場者特典は2006年のスタァライト公演の
パンフレットを模したスタッフお疲れ様小冊子です。
 
・お気づきのことと思いますが表紙にも裏表紙にも小さく
Japanese Derected by 「Yuichiro Tendo」 の名が刻まれています。
 
というか「あの日のスタァライト」が 「新国立」 であったことが
個人的には驚きだったのですが、これってTVシリーズでも描写ありましたっけ?
もっと普通の劇団の劇をたまたま観に行って・・という感じでイメージしていたので
そうか、幼少の華恋&ひかりはいきなり一発目で天上界のキラめきを
浴びてしまったのか、、、というのが最初の感想でした。
 

 
そう考えると東京タワーと東京宝塚劇場って目と鼻の先ですしね。
わたし? 私はお隣の TOHOシネマズ日比谷 しか行ったことありませんよ。
 
・天堂真矢の父親が有名な舞台俳優であると共に、新国立のような女の園の
舞台でのディレクションを務めるような立場であると。そしてその世界に
真正面から突っ込んでいくのがサラブレッド天堂真矢。彼女にとっての
「新国立」という名前は想像以上に重い。親の七光りだなんて絶対に言わせない。
天堂真矢は Yuichiro Tendo の娘、ではなく、Yuichiro Tendo は天堂真矢の父、
と言わせて見せますよ(武豊さんかな?)
 
・ところで今回の主題ではないので適当に書きますけど、
真矢クロの「魂のレヴュー」、あれ、
 
「あにまるしょうぎ」の 対戦を擬人化 したものです
 
とか思ったら急にそんな気がしてきて微笑ましくなってしまった・・。
「私のひよこォ!図に乗るなァ!!」とか言いながら差してください。
 
 
 
 
 
・「お前は何者だ! 星見純那!!!」
 

 
・スタァライトのいちばんドロドロしたところをじっくり凝縮して煮込んだのが
じゅんななな。スタァライトの中で一番の「異物」である大場ななと、
スタァライトの中で一番の「普通」に位置する星見純那の化学反応。
じゅんなななこそ至高です、わぁかります。
 
まぁとにかく今回の劇場版スタァライトは、今までよりさらに倍プッシュで
ばななという存在がJOKERでありもはや主役といって良い扱いになるので、
そのばななと唯一真正面からぶつかり合うじゅんじゅんの叫びには
心を揺さぶられまくって劇場で震えて泣くしかないのでした。
あーあ、泣いちゃった。
 
・以前も記したとおり、私がこのスタァライト吐き出しメモを書こうと思った
きっかけになったのは、6/5(土) 横浜ブルク13 舞台挨拶上映の
佐藤日向さんの言葉です。この映画が
 
『彼女達の将来はどうなると思う?』
 
というキャストへの個別ヒアリングを経て作られ、それが作中に反映されて
いるという事実が1つ。そしてもう1つは、その舞台挨拶での最後の挨拶。
 
 
 
「この劇場版スタァライトは、彼女たちが
『舞台少女』から『舞台女優』に、変わっていく物語なんですが、、」
 
 
 
『舞台少女』から『舞台女優』に・・
 
と言葉を紡いだあと、一瞬だけ 「っ!!」と息を呑む
佐藤日向さんを、私は前から3列目の至近距離で目撃しました。
自分自身で発した言葉の想像以上の重みに
心を揺さぶられていたかのような、ほんの一瞬の呼吸。
 
そしてそれからは、ずっとそのことばかり考えています。
 
 
・「狩りのレヴュー」では 「殺してみせろよ!大場ななァ!」
のキメ台詞が強烈ですが、実はこのキメ台詞のあとも
攻守が逆転することは無いのですよね。
 
ここでは切腹の象徴である「三方」を模したステージに変わり、
その上でもひたすらにばななに挑んでは返り討ちにされるじゅんじゅん。
三方の側面にばななの「かえる印」が刻まれているのに胸が痛む。
 
「大場なな」は間違いなく「星見純那」に「最期」を与えに来た。
 
「私は一度、進学して自分を見つめなおそうと思う。」
 
この2年以上、聖翔音楽学園の溢れんばかりのキラめきを浴びて
トップスタァに一番近い存在を見続けて、敵わぬものに挑み続けて、
そんな最高に辛くて、最高にまぶしくて、最高の環境にいて、
導き出した答えがそれか!!と言わんばかりに。
 
 

 
・ここでまた少しだけ巻き戻す。星見純那は「皆殺しのレヴュー」で、
大場ななに本当に雑魚扱いされるのが象徴的です。
 
レヴューをしかけてきたばななに慄き、1歩も動くことができないまま、
ばななの片手剣でさも適当な捌きで星を弾かれるじゅんじゅん。
ばななの台詞にも反応できず素で返してしまい、舞台少女として
「即死」するじゅんじゅんの「鮮血」は衝撃的なシーンでした。
 
・しかし、その遥かに前の、このワンシーンが象徴的で頭から離れません。
それは新入生の前で舞台稽古をしている 「エルドラド」のシーン
 
「あの、大海原へ!!」
 
じゅんじゅんの活き活きした顔。最高の演技をやりきったという顔。
その直後に愛城華恋が「モード」に入る。愛城華恋は天然の天才だ。
 
もちろんそれは幼少の頃からの努力の賜物であることは
本作でイヤというほど明かされるけど、スイッチが入ったときの
愛城華恋は天堂真矢にも負けないくらいの怪物となり、
そのスイッチを自分で完璧にON/OFFできないのが愛城華恋の
未熟さと将来のポテンシャルを両方あらわしているともいえる。
 
ここで彼女のスイッチを入れたのが「現実のひかりちゃん」
との重ね合わせだったというのも彼女らしい。
 
このとき、
 
誰よりも真っ先に「夢から覚める」
 
のが、じゅんじゅんなんです。
舞台の上では何にだってなれる、その舞台の上で、舞台から心が離れる。
 
「なぜ、なぜ、なぜ、、、」
 
心から涙を流す愛城華恋。心を奪われる新入生たちは「観客」だ。
その姿を見て双葉の動きが止まり、真矢、まひる、クロディーヌが、
口を真一文字にして見つめる。香子も同じ場にはいないけど真剣な面持ちを見せる。
その中で、他ならぬ同じ舞台の上にいたじゅんじゅんが、
 
「華恋、どうしちゃったの・・?」
 
という顔を真っ先に見せるのだ。
それを目の当たりにしたばななの、冷たい目が忘れられない。
 
― なぜ逝ってしまうのだ、戦友(とも)よ ―
 
 
 
・純那ちゃんは役者になり切れない。役者としての覚悟が足りない。
じゅんじゅんが進学すると決めた話はおそらく本人の口から聞いたものだろう。
電車の中でも「今は」という言葉に失望の目を向けるばなな。
 
「皆殺しのレヴュー」はばななが望んで開演したんだ、それは間違いない。
これは「レヴュー」ではあれど「オーディション」に非ず。
オーディションとは、合格者を決める儀式のことだ。
このレヴューに合格者はいない。全員漏れなく失格なのだから。
 
 
・再演の先に「舞台少女の死」を見たばなな。
それぞれの役者が、自分の「死」に直面して怒りを燃料にする。
香子が震えるような低い声で言う。甘かった過去の自分に決別するのだと。
 
ここでも、星見純那は、1人だけはっきりと置いていかれるのだ。
 
「決着を付けるって・・何に・・・?」
 
誰よりも「入り込めない」じゅんじゅんを見てばななは決意を新たにする。
 
私も自分の役に戻ろう。大場ななはステージを造る者であり、
ステージに上がる者でもある。投手としても打者としても大スタァである
大谷翔平選手のように。そう、ばななの 「二刀流」 はその象徴だった。
 
皆殺しのレヴューではばななの2本の刀、「輪(めぐり)」と「舞(まい)」
のうち、最初は短い「舞(まい)」だけで戦い、途中から列車に運ばれた
「輪(めぐり)」を受け取ってバーサーカーモードに入る。
 
その2本は「舞台を造る得物」と「舞台を演じる得物」なのだとしたら。
舞台を舞うだけでは思い出せないのであれば、舞台を輪らせてあげよう、
貴方たちが踏みしめているステージの重みを心に刻むために。
 

 
 
 
・「狩りのレヴュー」で結果的にばななが自分で手を下さないのは
迷いや未練があるからなのかと思っていたのですが、決断というものは
促すことはできても、強制することはできない、のかもしれない。
本人が諦めないのを無理やり諦めさせて何になる。
 
だから、諦めるまで心を折るしかない。「切腹」は決断の象徴 だ。
自分の生死は自分の手で決めなさい。介錯人は、切腹人が自らの手で
絶命に至ると判断したときだけ、「楽にする」ためにそこにいる。
 
・三方のステージが最後に反応するのは、前に踏み出すことを止めない
じゅんじゅんがポジションゼロのバミリを踏んだ瞬間。
あのひかりvsばななのRE:CREATEと同じ展開だ。でも、攻守が逆転したのは、
じゅんじゅんが恐れずに前に踏み出したから、だけじゃない。
 
 
「お前は何者だ! 星見純那!!」
 
 
果たして、ばななの叫びは「驚愕」の叫びなのか。
 
それとも、「お前はそんなモノじゃないはずだ!」 という「鼓舞」の叫びなのか。
 
純那ちゃん、貴方には失望したよ。だから引導を渡しに来たんだ。
その 失望の眼差しこそが、星見純那の「燃料」 だ。
勝手に品定めして、勝手に失望してるんじゃないわよ!
 
星見純那が踏み出すための燃料は、大場ななが必死になって注いだものだ。
貴方には失望した。貴方は何者にもなれない。でも心の底でずっと思っていた。
そんな失望を全部、ひっくり返してほしいって。だから舞台が反転した。
ばななが自分の「失望」を信じ切ることに「ゆらぎ」が出てしまったから。
 
 
「目がくらんでいるのは貴方のほうよ!」
 
 
・このレヴューはバトルロワイヤルなので全方位無事では済まない。
 
大場なながTVシリーズで何をしてきたかったって?
ロンド・ロンド・ロンドで何を見てきたかって?
 
大場ななは、誰よりも 「先に進みたくない」 少女、ピーターパン症候群
そのものだった。1年次の99回聖翔祭のスタァライトがまぶしくて、
2年生にもなりたくないって言った。その彼女が、繰り返すことで
舞台少女が死んでいく、その姿を見続けてきた。
 
前に進む歩みを止めた時点で、その舞台少女は「死」を迎える。
舞台少女の「死」、役者としての「停滞」、未来への「恐れ」。
それを象徴するのがまさに「大場なな」ではなかったか。
 
誰よりもその真実に直面し、誰よりも「死」を意識したばななが、
皆殺しのレヴューをアレンジし、ワイルドスクリーンバロックの舞台に立つ。
 
「もう、死んでるよ」
 
それは誰に向けた言葉なのか。
生き返った星見純那は大場ななに叩きつける。
 
「貴方は自分が死んでいないとでも言うの!!?」
 
 
・TVシリーズからのばななの象徴的アイテムに「カメラ」がある。
TVシリーズでもスマホを駆使してみんなの姿を延々とメモリに収めていた。
劇場版では「チェキ」が登場し、至近距離でじゅんじゅんを収める。
 
「写真」には「過去」しか残らない。
 
星見純那、キミは美しかった、まぶしかった。
写真の中に残る彼女は、大場ななの宝物だ。
 
貴方は写真の中の私しか見ていないじゃない!
 
一方でそう叫びたい純那にも、そう叫ぶ資格はあるのか。
今はまだ届かないけど、と消極的な選択をする自分が。
大場ななのカメラに易々と収まってしまう自分が。
 
 
・「競演のレヴュー」でまひるはひかりにこう言った。
「決めたから。舞台で生きていくって。」
それを受けてひかりがまひるに言う。
 
「まひる凄かった。本物の舞台女優だった」。
(みもさんの声で言われると重みが違うな・・)
 
 
・前述の横浜ブルクの舞台挨拶の一幕はどうしても引っかかるんだ。
『舞台少女』から『舞台女優』になる物語・・と発したあとに
一瞬だけ息を呑む佐藤日向さん。
 
九九組のキャストは全員成人だ。17歳、18歳の舞台少女ではない。
でもその九九組の中でも圧倒的に最年少である佐藤日向さんは、
おそらくその想いを誰よりも強く受けている、と思う、たぶん。
佐藤日向さんは、スタァライトのキャストオーディションを受けたとき
まさに17歳だったのだ。
 
歩みを止めたら終わりだ。前に進め ―
 
クロディーヌは言った。
「新国立の話をしている皆はまるで新入生みたいね。」
「この学園で偉そうにできるのもあと少しだけね。」
 
「舞台少女」から「舞台女優」になれているか?
(三森すずこさんみたいに? 富田麻帆さんみたいに?)
佐藤日向さんのキャリアを見てくださいよ、そんな悩みとは
無縁であってもおかしくないハイパーキャリア天才少女ですよ。
そんな天才たちにも、劇場版スタァライトは、星見純那は、
言葉を突き付けてくるのです。
 
 
そう、列車は必ず次の駅へ ―
 
 
・星見純那が再生産されたことで、大場ななは、自分が誰よりも
再生産できていないことに気づかされる。
お互いの急所をえぐり合う ことでお互いが息を吹き返す。
愛です、愛ですよナナチ(誰)
 
アバンが終わったあとの進路選択のシーンで、華恋とひかりを除く7人が
進路希望を提出する。この7人のうち、ワイルドスクリーンバロックを経て
進路を変更 したのは、なんとじゅんなななの2人だけだ。
 
「草稲田大学へ進学」「新国立で演者か、裏方か」
 
この進路希望を破り捨てて、2人は突然 「海を渡る」 選択をする。
過去と決別するために。未来をつかみ取るために。
 
 
「私は行かねばならないんだ! あの、大海原へ!!」
 
 
戦友(とも)には、生きていれば、またきっとどこかで逢えるさ。
舞台少女として、舞台女優として「生きて」さえいれば・・。

 
 
・あぁ~・・純那ちゃんの流れで書ききってしまったから
ばななのカッコよさにあまり触れられなかった(おい)
 
皆殺しのレヴューの 「足タンタンばなな」 カッコよすぎて
鼻からトマトが吹き出すかと思いましたよね。クッソいらいらしてそう。
まひるちゃんもそうですが、ふだんニコニコしている娘が見せる
冷たい眼光には誰もがゾクゾクさせられますよね。
 
・あとはアレだ、列車の上で、死体となった自分の首をコロンと転がす場面とか、
狩りのレヴューで奮起する純那ちゃんをあっさり返り討ちにしたあとに
三方と小太刀を足蹴にして すっと差しだす場面とか。
 
彼女は俳優育成科でもあり舞台創造科でもある二刀流タレント。
演出能力もしっかり満点ばなナイス♪です。(そんな明るい話か)
 
・さーて、「王立」で彼女に斬られるのは誰かな? 誰かな?
 

 
 
 
 
 
 
 
 

(4回目)「まひるのひかりがあの娘の道を照らす」(2021/06/27)

 
・4週目は満を持しての イオンシネマ海老名 さんにお邪魔をして
旗艦7番 THXスクリーンでの鑑賞。「THX」というのはルーカスフィルムが
スターウォーズをちゃんと制作者の臨んだ音量で上映できるようにと
細かい音量検査にパスした映画館のスクリーンだけが付けることのできる規格。
 
なのですが、どちらかというとTHXだからというよりこの海老名7番は
そもそもの造りが凄くしっかりとしている旧ワーナーマイカル時代からの
伝統の箱で、ここでしっかり鳴らしたときの映画鑑賞の満足感は半端ありません。
いまの時代だとこういう大箱どん!でどっしりしたシアターを造るのは
なかなかペイしないのか、IMAXシアターくらいですよねそういうの。
 
エビナナ、おすすめです。劇場版スタァライトの7番スクリーン上映は
そろそろ終わってしまいそうですが、お気に入りの映画がこのエビナナで
掛かったときにはぜひ注目してみてくださいね。
 

 
ちなみにこの日は「BanG Dream! Episode of Roselia II : Song I am.」も
同じ7番で観てきたのですが、ドリンクセットで付いてきたランダムアクスタ
とスタァライトのメッセージカードがどちらもあいあいさん。圧が強い。
 
 
 
・「ちゃんと演技してよ!もっと感情込めてよ!」
 

 
・ワイルドスクリーンバロック4本立て、ここまで3本についてお話をしてきた
ところで最後の1本、2番目にあたる「競演のレヴュー」については、
単体で取り上げようか、華恋の話と合わせて取り上げようか、
ちょっと迷ったのですよね。結局合わせて取り上げることにしました。
 
何故かって、この競演のレヴューだけが
 
 
『ワンサイドゲーム』 だからです。
 
 
初見で見たときは未知のレヴューがどんどん流れてくるからそこまで考える
暇が無かったのですが、何度も観ているとやっぱりこの競演のレヴューだけが
とても異質に感じられます。
 
・あのひかりちゃんがとにかく一度たりとも反撃しない。できない。
まひるは(かわいい)一分の隙もないほど堂々としていて(かわいい)
終始ひかりを圧倒します(かわいい)。とにかくまひるはかわいい。
 
ふたかお、じゅんななな、真矢クロは、互いの内側に明日の自分を見た。
でも、まひるは、、、まひるの物語はTVシリーズ5話の華恋ちゃんとの対決で
既に完結していた。劇場版スタァライト冒頭の進路調査でまひるは迷わずに答える。
 
 
みんなを笑顔にするスタァに、『なります。』
 
 
あのTVシリーズの段階では、ある意味双葉と双璧を為す「自信ない組」だった
まひるちゃんは、華恋ちゃんに救われて新しい一歩を踏み出した。
「決めたから、舞台で生きていくって。」
そうひかりに言い切るまひるの笑顔がまぶしい。
 
・この劇場版はまひるファンにとって本当に感涙ものだと思います。
まるで小さかった 愛娘がいつのまにか立派な大人になって
自分の手を離れているのに気づいたかのような(おいやめろ)
 
「競演のレヴュー」の中のまひるちゃんは、一度たりとも不安な表情を見せません。
自信満々の笑顔か、冷徹な怒りか、見せるのはそのどちらかの表情だけです。
 
・だからこそ、ですが、まひるの表情の中では一番衝撃を受けたのは、
実はそのずっと前のシーンだったりします。
香子が新国立を「しょうもな」と切って捨てたシーン。
 
「ウチ以外の誰かがトップスタァになってるかもしれんと思うと・・」
 
 
まひるは香子をじっと見つめて動けなくなる。
 
 
・全てを吹っ切って覚悟を決めた。はずだった。天堂さんが挑むような
王道の道、新国立に自分も胸を張って挑む。誰にも負けない、
みんなを笑顔にするトップスタァ、自分がそれになることを信じて疑わない。
天堂さんが、クロちゃんが、何を言っても、私は動じたり遠慮したりすることはない。
そんなまひるを、香子のたったひと言が覆した。
 
私の覚悟は、まだまだ足りてない―。
 
 
トップスタァに「ここまでやれば十分」なんてない。
皆殺しのレヴューの開始時、目を凝らすと初手でばななに一番の舐めプをされる
のがまひる。身動きできない状態で周囲をまるまる一周されてからの一撃。
まひるの決着はTVシリーズの5話で十分付いているけど、まひるもまた
舞台少女の「死」と向き合って、再生産を余儀なくされていた。
 
・私の個人的な介錯・・じゃなかった、解釈としては、今回のまひるの
決着のレヴューは、香子のひと言のところで付いていたんだと思う。
 
あれが 実質的なワイルドスクリーンバロック「ゼロ」 だった。
 
迷いなく新国立を目指す、「そんなんじゃ足りんのや!」という香子の一撃で
まひるは自分の中に新しい何かを見つける。
私が香子贔屓だから私の中ではもうそうなった(妄想なった)んや。
あのときのまひるの瞳には、しっかりと新しい炎が燃え上っているのが見えたと思う。
 
 
・そしてまひるは、「ひかりを導く者」としての役割を見出してこのレヴューに臨む。
なんていって、急に思い出しましたよ。舞台#2 revivalの台詞覚えていますか。
 
 
ひかり「そう、私はまひると未来でつながる者!」
涼「そういう参加の仕方してきちゃうんだ」
走駝先生 「自らのポジションを見つけるのも、女優の才能の1つ!」
 
 
舞台とアニメは半分パラレルなのであくまで話半分ではありますが、
まさにひかりがまひるを助けることで 「ポジションを見つける」 んですよね。
この関係が劇場版スタァライトでは見事に逆転する。
 
今回の劇場版スタァライトのレヴューは、その全てでTVシリーズの負け組が
リベンジする形になっていて、「下剋上のレヴュー」 なんて呼ばれたりしますけど、
まひるは華恋ちゃんではなく、ひかりちゃんと相対することで「道」を作った。
 
華恋、ひかり、まひる、この3人はやっぱり3人でなくちゃ!と思えるのが
凄く嬉しかったですね。この3人、トリオで何かするということは実際
ほとんど無いんですよ。華恋とひかりが互いに色々執着する間で、振り回されるまひる、
でも案外とひかりの世話を焼くまひると、まひるに頭が上がらないひかり。
片づけられないオンナ、ひかり。おねえちゃん属性の極み、まひる。
 
vsひかりという因縁のカードで、まさかのノーヒットノーランの
パーフェクトゲーム を演じるまひるちゃんはまじ天使でした。
 
・天使な人ほど怒らせると怖いし。パワー属性の撲殺天使だし。
劇場いっぱいに響き渡るアナタが大嫌いコールは鳥肌立ちましたよね。
 
じゅんなちゃんの血が吹き出すシーンに勝るとも劣らない
ミスターホワイトの首が飛ぶグロシーン(?)
ずっと戸惑い程度の表情だったひかりが、ミスターホワイトの首が
飛んだ瞬間に マジモノの恐怖顔 に変わるのが笑える。
 
「運命の舞台から逃げた貴方が、
どんな顔して華恋ちゃんに会うの・・ねぇ?」
 
はるちゃん渾身の震え声の演技、マジ怖い。岩田陽葵さんも、こういう話は
アレですが、TVシリーズのときはまだ声優としてのキャリアが無かった
岩田さんが今ではこんなに・・ということも重なって本当に涙が出てくる
シーンです。(そんなことを言うとおこがましいですが、、)
 
3rdライブのときも、三森すずこさんが前半出られない、という状態で皆が
三森さんの部分をカバーし合う中で、岩田さんはより多くの「ポスト三森さん」
を担っていたように思います。キャラが近いのもありますが、
あの偉大な声優であり舞台女優である三森さんを追うんだ、という意識は
岩田さんの中に強く刻まれているのではないかと想像しています。
 
岩田さん「が」、三森さん「に」、舞台役者としての資質を 問い詰めるんですよ。
役の中で、ではありますが、こんなにゾクゾクするシーンがありますか!
 
今回のまひるちゃんはとても特殊な役どころでしたが、だからこそ、物語の中で
とても根幹を成す部分を担うことにもなりました。
ある意味、ばななと双璧といっても良いくらい。
まひるちゃん、本当に素敵な「舞台女優」になったなぁ、と思います。
 
 
私ほんとはダイキライだった、貴方があなたがアナタがアナタがアナタがアナタが・・
 
えー、もちろん演技だったよ^^ にこっ☆
 
いやいやいやいや・・こわいこわいこわい。

 
 
 
・「それが野生の本能ならば・・」
 

 
・バトンは、まひるからひかり、そして華恋へ。
 
・ひかりちゃん今回めっちゃカッコよくて、華恋ちゃんを蘇らせる
救世主でもあり、華恋ちゃんに一撃喰らわせて運命のレヴューの
リベンジを果たすところまでスーパースタァひかりちゃんなわけですが、
その手前ではまひるちゃんと「あんなん」だし、そもそもがアバンのアレです。
 
・アバンの話は、
 
「間に合わない~」じゃわかんないよ(by華恋)
 
あれ、初見だと脳が追い付かないですよね。もしかしてクライマックスに
出てくる何かの対決のチラ見せなのかな? みたいに思うじゃないですか。
2度目以降の鑑賞でようやく呑み込める真実。あれは
 
運命の舞台を拒絶したときの
 
かれひかレヴューだった。第100回聖翔祭でフローラとクレールを演じた2人、
第101回も2人でスタァライトしようね!と華恋が言って(そりゃそうだ)
友よ私はドンドンいかなくちゃ! って逃げ出したひかり(えええええ)
 
ってことはキリンおまえ本当に単に見逃してんじゃねーか負け惜しみで
「開演したのだ!」とか言ってごまかしてんじゃねーよキリン!
 
っていう話ですよ。そりゃあ温厚なまひるちゃんの触覚が天を突く勢いで
聖火台でスタァライトファイヤーしちゃうわけですよ。(パァン!)
 
 
ひかりちゃんの表情で今回すごく印象に残っているのは、空中プラットホームで
キリンが燃えてしまうシーン。 「危険ですねぇええ!舞台少女とは!」
唖然としたひかりちゃんの表情 が忘れられません。
 
舞台少女がその輝きを増せば増すほど、それは観客を狂わせてしまう。
そして狂ったように歓喜を上げる観客が、舞台少女の輝きを増す「燃料」になる。
「歌って、踊って、奪い合え」と言い続けてきたキリンは、
舞台少女たちがあまりにキラめいて、輝いているから、
そんなことを言い出し、自らの身体まで燃料としてくべてしまうのだ。
絶句して立ち尽くしたあと、ひかりちゃんは禁断のトマトを食べて覚悟を決める。
 
キリンおまえ、やっぱりアバンのレヴュー見逃してんじゃねーよ(2回目)
どうした、イー〇ラスで ご用意されなかったんか。
 
 

 
・スーパースタァスペクタクル、「最後のセリフ」の舞台に導かれた
ひかりと華恋。ひかりちゃんトマト。トマトが口についてるやん。
 
というのはさておき、華恋ちゃんは置かれたトマトを一顧だにしません。
 
「やっと会えた」「また一緒に」
 
華恋には「次」が無い。2人で作るスタァライトの舞台の「次」が。
そして燃料を口にしない華恋はここで絶命する。舞台少女の「死」。
 
・劇場版スタァライトの評で「レヴューシーンは突き抜けすぎて楽しかったけど、
華恋の過去編はだらだら長くて間延びしてない?」という声も時々聞かれます。
 
でも多分それは初回の印象としてはまっとうかも?とも思っていて、
2回目以降の鑑賞をしてもらえれば、それは逆に強烈にど真ん中に刺さる
「燃料」であることを思い知らされると思います。
 
今回の華恋の過去編は、その全てがあのNew "MADMAX" 再生産バンクに集約
されていきます。燃やせ、燃やせ、燃料を燃やして進め、舞台少女、愛城華恋。
燃やされているのは一体「何」だ。
 
・お母さんと叔母さんと一緒に居た幼少時代
・公園で一緒に遊んだ幼少時代の友達
・大好きだった「キラミラ」
・劇団アネモネで一緒に演じた演劇の仲間たち
・カフェで駄弁っていた中学時代の友人たち
 
何より、中学時代の友人、男女が本当に印象的です。
タワーコラボでもうかりまっか? DONUTS TOWER COLLECTIONも開催中だ。
 
愛城華恋の周りにはいつだって、ちょっとだけ、ほんのちょとだけ
横に逸れれば、「普通の女の子」 の生活が待っていた ―。
 

 
憧れの「2人の」スタァライトを演じて満足してしまった華恋は
舞台の上でそれ以上の情熱を見つけることなく、燃え尽きてしまうのか。
高校3年間で目一杯の輝きを放って、でも、そこで満たされて、
「普通の女性」としての人生に進む。いや、戻る、のか。
 
舞台少女たちにそんな「選択肢」があることを、
ただそれだけを見せつけるために、華恋の過去編は存在する。
 
・次のステージに進むと決めたのにそれに相応しい野心と覚悟が
見られなかった面々をばななは斬り捨てた。でもそんなばななが
「華恋ちゃん」だけは 特別扱い する。「貴方だけは・・」
それは華恋が特別に覚悟ができているから、ではなく、
次のステージに進むと決めてもいない人に覚悟を求めることはできないから。
 
6/4 新宿バルト9での 初日舞台挨拶 に登壇した三森すずこさんは、
最も印象深いシーンについてこう語りました。
それは上述した空中プラットホームのシーン。
 
 
「キリンがね、『普通の女の子の喜び、楽しみを捨てて』
 って言うところに凄く共感して。
 自分もね、友人とか普通の女の子たちが普通の楽しみをしているときに
 自分だけレッスン行かなきゃ、とかやってたから。」
 
 
初めてこれを聞いたとき、「えっ、そこ?そこなんだ?!」と驚きました。
でもそのあとすぐ2回目の劇場版スタァライトを鑑賞して、
その言葉は初回の時とは桁違いの重さで胸に突き刺さることになります。
 
 
「戻ってこい! ここが舞台だ!愛城華恋!!」
 
 
三森さんも、そして他のキャストさんも、実感している。
普通の女の子の普通の楽しみ、喜びを、かなり犠牲にして、
自分たちは突き進んできたんだって。
 
その筆頭である三森さんが、ひかりちゃんの声で叫ぶんです。
 
これは 「業(ごう)」ですよ。 業としか言いようがない。
普通の女の子に戻っちゃダメだ! トップになるためだったら
仲間だって斬り捨てるような、痺れるような戦場に戻ってこい!
その境地が見せる魅力を、全く別の喜びを、貴方はもう知ってるじゃないか!
 
初めて試写会で通しの劇場版を見た九九組の皆さんは、
その凄すぎる衝撃にしばらくその場で動けなかったと言います。
感動したから。ですね、それはわかりますが。
でも今は違う意味合いもあったのではと思ってしまいます。
 
私たちはキリンとして燃え(萌え)尽きればそれで良いのかもしれない。
でもキャストさんは、まさか最高のスタァライトの映画で、最高のクオリティで、
このスタァライトという夢のようなステージに 満足せず次に踏み出せ!
なんてメタなメッセージを叩きつけられることになるなんて・・。
 
台本を読んでいるから「筋」はもちろん分かっているでしょうけど、
それでもこれを通しでまるまる見たときの衝撃は推し量れないものがあります。
 
 
「演じ切っちゃった・・レヴュー『スタァライト』を。」
 
 
この言葉は、アニメ劇場版の企画会議だけでは到底GOを出せないと思うんですよ。
 
「スタァライト九九組」 という奇跡のようなプロジェクト、
私たちファンが大好きだと思うのと同じかそれ以上に、作り手、演じ手の方々が
本当にスタァライトと九九組が大好きで、大切にしているのが日々の言動からも
とてもよくわかります。一方で、実在のキャストによる舞台という二層展開式が
あるからこその魅力は、どこかでその「ピリオド」をも求めてくる。
 
アニメのスタッフだけでなく、舞台のスタッフも、ゲームのスタッフも、
それらをとりまとめるプロジェクト全体でも、その総意として、
この結末にGOサインを出した。それを造り出した人、それを受け止めた人、
本当に色々な覚悟が詰まって生み出された大傑作だと思います。
 
クライマックスのかれひかのレヴュー名は 「最後のセリフ」
「〇〇のレヴュー」にしようと思ったけど、最後のセリフが重要だから
それをちゃんと聴いてほしい、と強調するレヴュー名にしたかった、
と監督はおっしゃいました。その最後のセリフとは、ご存じの通り。
 
「私も、『ひかり』に負けたくない・・」

華恋の剣は斬り結ぶ前に既に折れた。その直前でひかりに見惚れてしまったから。
彼女の『ひかり』が眩しくて、それが悔しかったから。
奇しくもひかりがアバンでロンドンに逃げ帰った理由と全く同じだった。
 
「華恋が眩しくてファンになってしまいそうだったから怖くて逃げた」
そう懺悔したひかりちゃんが、まひるからメダルを貰って再び立ち上がり、
今度は華恋の心を燃え上らせた。華恋はちがう。同じように見惚れて、
胸を刺す衝撃を浴びて、でもそこで 今までずっと眠らせてきた衝動
溢れだした。溢れて溢れて、止められなくなった。
 
 

 
「輝く舞台に、『2人で』、だよ。」
 
今までずっと呪縛のように唱えてきた言葉が、今までの華恋を支えてきた言葉が
いまここで役目を終える。私がスタァだ!と高らかに名乗りを上げるひかりちゃんに
私も負けたくない、私こそがトップスタァだ、って言いたい心が自分にもあったんだ ―。
 
ひかりちゃんが、華恋にトマトを渡す。
私に負けたのが悔しいんでしょ? それを「燃料」にして進みなさいよ。
 
 
愛城華恋の「スタァライト」は結末を迎えた。
それが新しい始まりであることは皆知ってる。エピローグもちゃんと念押ししてくれる。
エンディングでひかりは華恋だけに会えない。オーディションの場で出番を待つ
華恋のうしろに、王冠の付いたバッグがあった。13年ずっと一緒だった
王冠の髪留めを外した華恋ちゃん は、どんな顔してたかな?
 
 
・・私は凄く変なことを想像したんだ。華恋ちゃんはね、
「次の舞台が決まったよ、って言って笑う
小山百代さんみたいな素敵な笑顔をしてたよ。」
 
 
 
 
 
しかし我々が目にする次の舞台は「舞台#3 Growth」。震えて待て。
どんな気持ちで待てというんだよ本当に・・・。



2021/06/07 [updated : 2021/06/07 00:27]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
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ckom 2021/06/07
セルクマ。いつもの吐き出しメモですが、少しずつ書き足していきます。最初は5千文字程度から。/ 現在2.3万文字です。
kz78 2021/06/28
『普通の女の子の喜び、楽しみを捨てて』「戻ってこい! ここが舞台だ!愛城華恋!!」
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