RECBOX HVL-A用トランスコーダ「GV-TRC/USB」を試す - 効いたり、効かなかったり・・

2013/06/11


 
そんなわけで、RECBOX HVL-Aシリーズに挿すUSBトランスコーダ
「GV-TRC/USB」 を実際に試していってみることにしましょう。
それにしても本当に、見た目はただのUSBメモリですね。

 

 
その前に、まず本体のファームウェアのアップデートをしておきます。
現在の最新バージョンは1.20です。Smartplaying Engine という、
今回のトランスコーダと対になったビットレート自動調節機能も
ありますが、その前に nasneからの自動ダウンロード機能 というのも
追加されています。
 

 
自動ダウンロード設定をしておくと、nasneに録画されたデータを定期的に
チェックして、RECBOXの指定フォルダに回数制御コピーしてくれるように
なります。その際、nasneのようにHD/SD(持ち出し用)両方のコンテンツを持って
いる場合には、どちらを優先してコピーしてくるかを選択することもできます。
 
 
さて、ここから実際に「GV-TRC/USB」を挿してテストしていきます。
 
DTCP+という 宅外からの視聴 のためのトランスコードというのが
製品の本来の目的なのですが、私が期待をしている動作というのは、
以前も何度かお話をしているとおり、
 
 宅内視聴でも、対応していないコーデックを変換 して合わせて
 
くれるのではないか、という期待でした。具体的には、地デジTS
そもそも再生できないAndroidスマホのときは MPEG4 AVC/H.264
変換しながら転送してくれたりとか、iPadで再生できない スカパー!HD
MPEG4を変換して再生してくれたりしないかな、ということです。
 

 
RECBOX HVL-Aには前面、背面どちらにもUSB端子がありますが、
どちらに挿しても問題なく動くようです。
 
・・・と挿してみたものの、これ、挿したからといって何かが変わる
わけではありません。管理画面の表示項目が増えたりもしません。
 
これだけで何か変わるのだろうか・・? と不安に思いつつ、
一番やりたかったiPadからのスカパー!HDソースMPEG4を再生してみましたが、
 

 
結論からいうと、スカパー!HDソースの映像は全くダメでした
というか今までと変わりませんでした。なお、再生用クライアントアプリは
iPad用は Twonky Beam および DiXiM Digital TV for iOS
Android(SH-06E) では DiXiM が無いため Twonky Beam でのみ の検証です。
※2013/06/22追記 すみません、一部勘違いで混ざってしまいました。
SH-06Eではスカパー!HDソースは以前の記事
Twonky Beam のiPad mini版とAndroid版でスカパー!HDの再生可否が違う、などのお話で検証したとおり「再生可能」です。
SH-06EでMPEG2-TSが依然として再生できないこととごっちゃになっていました。
大変失礼いたしました。m(_ _)m

 
じゃあ、「GV-TRC/USB」は宅内では全く役に立たないのか・・・と
ちょっと諦め気味だったのですが、どうもそんなことも無いようです。
というのも、スカパー!HDソースの映像には変化はなかったのですが、
地デジTSのデータには変化が見られた からです。
 

 
これが「GV-TRC/USB」を挿す前の、DiXiM Digital TV for iOS から見た
RECBOX HVL-A のデータ一覧です。地デジTSソースのファイルは
そもそも グレーアウト して選択もできない状態になっています。
 

 
「GV-TRC/USB」を挿すとこうなります。地デジTSソースのファイルも
選択できるように なりました。再生もちゃんとできます。
 
DiXiM Digital TV for iOS はそのままでは地デジのMPEG2-TSを
解釈することはできません。ということは、RECBOX の側で何かしら
ちゃんとトランスコードが 行われていると考えるべきでしょう。
 
いずれにせよ再生できなかったファイルが再生できるようになったのですから、
「GV-TRC/USB」のトランスコード機能は意味があったといえます。
 
ただ、DiXiM Digital TV for iOS では地デジTSを再生できたものの、
 
 Twonky Beam では、再生はできるものの 「コマ送り状態」
 
なってしまいました。どうもバッファリング制御がうまく行っていないようです。
どうもこういうところが、アプリの挙動との相性やコーデックの問題など
色々絡み合って、上手く動いたり動かなかったりするのが厄介ですね。
 
そもそも、トランスコードがちゃんと働いているのであれば、少なくとも
DiXiM Digital TV for iOS でもスカパー!HDソースのMPEG4 AVC/H.264の
データを DiXiM で解釈できるようにトランスコードしてくれてもよさそうな
ものですが、なぜかそこはトランスコードしてくれず、再生もできません。
おそらくは 「トランスコードが必要かどうか」 という自動判定を間違って
しまっているのではないかと思われます。
 
ただし、このあたりは DiXiM Digital TV for iOS の 次期バージョン
解決される可能性はありそうです。
 
■デジオン、iOS版「DiXiM DTV」を"初夏"にDTCP+対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20130610_602979.html
 
次期バージョンでは正式にDTCP+に対応するとのことですが、すなわち現在
I-O DATAから出ているWindows版の「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」
と同世代になるということで、手動でビットレート選択 できるような画面も
公開されていました。コレを使えばスカパー!HDソースのMPEG4 AVC/H.264の
データもiPadで再生できる日が来るのかもしれません。
(実際に出てみないと分かりませんが・・・)
 
それはそれで何だか希望が持てそうな感じもするのですが、
実はよくよく考えると、Androidでは 特定機種へのバンドル以外は
DiXiM は提供されていないのですよね・・・。
 
Android で唯一の頼みである Twonky Beam は現時点ではトランスコードの
恩恵をあまり受けられていないようですし、Androidではまだスカパー!
HDソースも
地デジTSソースもちゃんと再生できる日は遠そうです('A`)
 
 
ということで、DiXiM Digital TV for iOS だと地デジTSが再生できるように
なったけどスカパー!HDソースは結局ダメで、Twonky Beam だとどちらもダメ、
という、ちょっと中途半端な感じになった「GV-TRC/USB」ですが、めげずに
本来の使い方である標準プレイヤー 「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」
を使っての WindowsPC からのリモートプレイも試してみましょう。
 

 
ノートPCに「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」をインストールして、
まずは宅内の同じLAN内でRECBOXとの ペアリング を行います。
 

 
登録に失敗しました。[OK]
 
・・・[OK] じゃないよチミ。
しばらく何度やってもダメだったのですが、一度RECBOXを再起動したところ、
 

 
今度は通るようになりました。何だか不安です・・。
 

 
家のマークが色つきになってペアリング状態になっています。
ここで普通に宅内のサーバとして再生すると今までと何も変わらないのですが、
宅内LANでもわざわざ 「リモートサーバ」 として接続すると、
ようやくビットレート等の選択肢が出てくるようになります。
 

 
全部で 7種類のパターン から選択できます。
 
 1. DR(全てオリジナルデータのまま)
 2. 4.7Mbps オリジナルサイズ AVC
 3. 3.7Mbps 1280x720 形式不明
 4. 2.2Mbps オリジナルサイズ 形式不明
 5. 1.8Mbps 1280x720 形式不明
 6. 1.2Mbps 1280x720 形式不明
 7. 708.0Kbps 640x360 形式不明
 
1.は元ソースのままですので、たとえばBSのTSなら1920x1080のMPEG2-TS、
地デジだったら1440x1080のMPEG2-TS、スカパー!HDだったらMPEG4 AVC/H.264
などまちまちになります。2.はAVCへのトランスコードが行われるのですが、
3.~7.については何故か形式について記載がありません。
 
まぁいずれにせよ「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」をWindowsから使えば、
ソースが何であろうと、こうして好きなレートを選び放題というわけです。
これこそが 「GV-TRC/USB」の本領発揮 といえるでしょう。
 

 
このように地デジMPEG2-TSをAVC 4.7Mbpsにトランスコードしながら再生を
楽しめます。外出先からのDTCP+再生に於いても、そのときの回線状態に応じて
低いビットレートを選んでいけばちゃんと再生ができることになります。
 
ということで、スマホ、タブレットのアプリはともかくとして、
Windowsからの再生であればこれで外出先からもRECBOXの映像を楽しめる
ようになるのか? と、ウキウキしかけるところなのですが、
 

 
Android端末(SH-06E)の テザリング で試してみたところ、通信が確立できません。
チェックツールで調べてみたところ、「タイプ5」 という利用不可の判定を受けて
しまいました。このあたりの通信回線の問題についてはこちらに詳しい記事があります。
 
■【清水理史の「イニシャルB」】 DTCP+でnasneの録画番組をインターネット経由で視聴 アイ・オー「RECBOX HVL-A2.0」 - INTERNET Watch
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/shimizu/20130305_590357.html
前述したように、DiXiMリモートアクセスサービスでは、SIPなど、音声や映像のUDP通信のNAT越えに広く使われるSTUNを利用するが、STUNは、NATの4方式のうちフルコーン、制限コーン、ポート制限コーンには対応できるものの、対象型NAT(Symmetric NAT)では利用できない。 (中略) 結果を見ればわかるとおり、Android端末のテザリング機能の場合、チェックツールで「タイプ5」と表示され、接続が不可能となった。
ということで、現状はAndroid機のテザリングを使って外出先から繋げよう
としても「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」からDTCP+で自宅の
RECBOXには接続できないということになります。
 

 
このように、実際に外出先から自宅のRECBOXの映像をDTCP+で観たいと思っても、
スマホアプリではそもそも対応プレイヤーがなく、WindowsPCで繋げようとしても
中間の回線の種類によっては全く繋がらない、というように、条件がいろいろ
シビアすぎる のは悩みの種です。
 
いつでもどこでも映像を観られる!というような「夢の世界」に向けて、
DTCP+が乗り越えるべき壁はまだまだ沢山ありそうですね。
 
宅外での視聴のお話はさておくとしても、宅内に限って考えても、前述のとおり
課題は山ほどあります。DiXiM Digital TV for iOS では「GV-TRC/USB」の
トランスコードの恩恵を受けて地デジTSが再生できるようになりましたが、
あくまで救済できたのは 地デジTSだけ。スカパー!HDソースは選択可能なのに
なぜか再生できないという不思議状態でしたし、Twonky Beam では結局どちらも
まともに再生できていません。
 
対象アプリとの 相性の問題、とはいうものの、DTCP-IPプレイヤーそのものが
少なくて デファクトが固定 されているような分野ですから、こうしたアプリで
まともに再生できてこそのトランスコーダというものでしょう。
「DiXiM Digital TV for iOS」については次期版での改善が期待されますが、
Twonky Beam 頼りのAndroid端末ではまだ望みが見えません。
 
願わくばもうちょっと、アプリ側、サーバ機器側ともに
 
 「何も考えなくても普通は再生できる」くらい にまでこなれて
 
欲しいのですが、、、まだ相も変わらず「人柱」が必要な世界という感じですね('A`)


2013/06/11 [updated : 2013/06/21 03:39]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




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Donca 2013/06/21
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No.33908   投稿者 : ys   2013年6月21日 21:01

iPadでスカパー見られる様にならないとは残念です。購入を考えてたんですがね。
イマイチ仕組みがわからないですね、強制的にトランスコードするモードがあっても良さそうなんですが。



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