Intel NUC DE3815TYKE で完全ファンレス・ゼロスピンドル宅内サーバ

2015/07/25


 
前回の記事
自宅サーバにしていたEeePCから異音発生! 排気ファンのノイズ? で、宅内サーバとして4年間使っていた ASUS EeePC
ファンの異音で瀕死状態だというお話をしたのですが、
こうなるととにもかくにも代替機が必要だということで
慌てて見繕ったのがこちら。IntelのNUCです、NUCですぞー。
 
 
っと、その前に・・・

 

 
kernel: Critical temperature reached (100 C), shutting down.
 
うおおおい、EeePC のほうはついに連続稼働できなくなっているじゃないですか。
 
危険温度 って筐体内? CPU温度? ともかく自動シャットダウンされるレベルに
達していました。そういうえば前回の記事で「ファンの異常」とは書きましたが、
厳密には排気ファンなのかCPUファンなのかは調べていませんでした。
 
いずれにせよもう、原因となっているファンをちゃんと修理をしない限りは
この EeePC が再度使い物になることはないでしょう。
 
ということで、NUCくんはすぐにでも即戦力になってもらわないと困るのです。
 

 
今回届いたNUCはただのNUCではありません。
Intel NUC DE3815TYKE (BLKDE3815TYKH0E) という ファンレスNUC です。
Amazonで22,680円でしたが、もうちょっとお安く売っているところもあります。
 
このNUCはどちらかというと組み込み用というか、具体的にはデジタル
サイネージ用に作られたものだと言われています。何といっても、
 
 Atom E3815 1.46GHz シングルコア
 
って何だよ! という驚きの非力さです。驚くなかれ、HyperThreadingもなく
本当に1コアな物理CPUとして認識されます。その代りCPUの TDPが最大5W
システム全体でも10Wいかないくらいの超低消費電力なのであります。
 
付属品は縦置きスタンドとVESAマウンタくらいしかなくて、
基本は本体とACアダプタだけの構成になっています。
 

 
大きさは CDケースと比較 するとこんな感じ。絵的には「小さいでしょう~」
と言いたいところなのですが、「NUCとしては」むしろ大きいサイズになります。
一般的なNUCは110×110mmくらいですからCDケースに隠れてしまうくらいが
普通なのですが、このNUCはファンレスであるぶん排熱を考えたサイズなのでしょうか。
 

 
インタフェースは前面は電源ボタンとUSB 3.0×1、背面にはAC電源、
Gigabit LAN、USB 2.0×2、ヘッドフォン/マイク共用ピン、それから
HDMI出力とRGB出力が両方ついています。
 

 
さて、このファンレスNUCにメモリとSSDを挿していきます。
 
メモリは Samsung PC3-12800(DDR3-1600) SO-DIMM 4GB ノートPC用メモリ。
Amazonで4,570円でした。このNUC、実は一般的な1.5Vのメモリではなく、
1.35V動作するメモリ でないと認識しないらしいので注意が必要です。
 
SSDは、以前 Let's note SX1 用に買って使っていたものの、
換装によって余ってしまった Intel 520 SSD 180GB を使います。
元々ストレージとしては eMMC 4GB が組み込まれているらしいのですが、
どうせそれでは足りませんので、余ったSSDを流用しました。
 
ベアボーン自体がファンレスですので、ストレージ部分にSSDを使えば
 
 晴れて「可動部ゼロのサーバマシン」が出来上がります。
 
可動部がないということはそれだけ壊れにくい、ということ。PCの故障のうち
経年で壊れるのははかなりの確率で回転するHDDか各種冷却ファンか、
あとはせいぜい電源部かコンデンサあたりでしょう。半導体/回路部分は
最初の数日ちゃんと動き始めればあとはそうそう故障を恐れるものではありません。
(といってもSSDは書き換え寿命の爆弾は背負っているわけですけども)
 

 
NUCの構造は至ってシンプルです。ネジを2本はずすと蓋がパカッと開いて、
メモリスロットとHDDベイがお目見えします。触るのはこの2か所だけです。
 

 
HDDベイは一度取り外してからでないと挿さらない構造になっています。
 

 
子供でもできるNUCのカンタンPC組み立てはこれで終了。
一時的に外付け光学ドライブとキーボードを付けて、、、
 

 
40インチテレビモニタ で Linux インストールをしますよ(アホ)
 
どうせ一度インストールが済んでリモートログインできるようになったら
モニタも光学ドライブもキーボードもすべて外すのですから
手近にあったものをただ繋いだだけなのですが、正直モニタが大きすぎると
インストール作業もやりづらいですね・・・。
 

 
ちょっと気になったのはこの画面。インストール先の候補として出てきた
ストレージ領域一覧なのですが・・・あれ、eMMC 4GB があるという話は
一体どこへいったのか・・・もしかしてSSDと共用できないのでしょうか??
・・・と疑問は尽きないものの、どうせ eMMC は使う気はないので
とりあえずそのまま進めていきます。
 
 
ところが、、、
 
あっさり終わると信じていたセットアップが大きく躓きます。
 
LANを全く認識してくれないのです。 サーバとして利用するマシンは
LANさえ繋がればあとはどうにでもなる、というくらいの勢いなのですが、
そのLANだけは繋がってくれないとどうにもなりません。
 
以前自宅サーバをフル活用していた頃は、時間節約のために、
「認識しないなら認識する外付けUSB-LANを付けちゃえばいいじゃない」
ということをわりと平気でやっていたのですが、
今回はせっかくの小型NUCです。それをやるのはちょっと気が引けます。
 
ということで、いろいろ調べていたのですが、どうも Realtek RTL8111D
を自動認識するときに r8168 なのに r8169 が選択されてしまって
ちゃんと認識できなくなるという現象があることを知りました。
 
■RTL8111D 用ドライバをインストールするには (1) - metastable blog
http://d.hatena.ne.jp/metastable/20100117/1263737845
■RTL8111D 用ドライバをインストールするには (2) - metastable blog
http://d.hatena.ne.jp/metastable/20100118/1263827492
■なぜ RTL8111D ドライバの自動判別に失敗するのか - metastable blog
http://d.hatena.ne.jp/metastable/20100211/1265885917
r8168 ドライバを使うには
本家 Realtek からドライバをダウンロードしてインストールすればよい (以下,カーネルやドライバのバージョン名は適宜読み替えてください).
Realtek の web (http://www.realtek.com/) から
トップページ > ダウンロードセンター > ネットワ-ク向けIC > Network Interface Controllers > 10/100/1000M Gigabit Ethernet > PCI Express > Software
を選択し,r8168-8.015.00.tar.bz2, "LINUX driver for kernel 2.6.x and 2.4.x (Support x86 and x64) 8.015.00, 2009/11/27" をダウンロード, README に従う.

 
こちらの情報を参考にさせて頂きつつ、私が取った方法はこうです。
 
・Realtek公式から 最新linuxドライバ をダウンロードして make install する。
・最初から認識されている r8169, r8168 ドライバをどちらも rmmod する。
 rmmod r8169
 rmmod r8168
・makeした最新ドライバをinsmodする。
 insmod /usr/local/lib/modules/r8168.ko
 
見事eth0が認識されるようになりました!
これでまずは最新ドライバのほうがロードされれば動く、ということが確定です。
 
しかし サーバリブートすると またしてもデフォルト設定がロードされてLANが
認識されなくなってしまいます。でももう疲れているのでカーネルそのものを
リビルドしたりといったことはしたくありません・・そこでこんなことをします。
 
/etc/modprobe.d/blacklist.conf に r8169,r8168を両方追加
 blacklist r8169
 blacklist r8168
 
最初から入っているほうのr8168もロードされないように排除します。
 
/etc/rc.local で無理矢理最新ドライバをロード(ええー・・・)
 insmod /usr/local/lib/modules/r8168.ko
 
これでサーバ再起動してもちゃんとLANが認識しますね。(色々ひどすぎる)
 
でもですね、これがですね、/sbin/service network restart とかすると
またまた元に戻ってしまうんですよ。
 
/etc/init.d/network の start 部の最後に以下の2行を追加。
 rmmod r8168
 insmod /usr/local/lib/modules/r8168.ko
 
・・・ network restart しても大丈夫になりましたね!(もうやだこの管理者)
 
まぁ何ですよ、動けば官軍ですよ。 これだけでももの凄い疲労しているので
今日はこのくらいで勘弁してやってもいいですよっ!!(良い子は真似しないでくださいね)
 
 

 
いずれにせよこれでちゃんとリモートから作業ができるようになりましたので、
あとはモニタもキーボードも引っこ抜いて部屋の片隅に設置するだけです。
完全ファンレス・ゼロスピンドルサーバ というのは初めてですので
ちょっとニヤニヤします。
 
最後はちょっとした CPUベンチマーク をしてみましょう。
使用したプログラムは unixbench です。
 
■Intel NUC DE3815TYKE Atom E3815 1.46GHz 1コア(×1スレッド)

BYTE UNIX Benchmarks (Version 5.1.3)
 
OS: GNU/Linux -- 2.6.32-504.30.3.el6.x86_64 -- #1 SMP Wed Jul 15 10:13:09 UTC 2015
Machine: x86_64 (x86_64)
CPU 0: Intel(R) Atom(TM) CPU E3815 @ 1.46GHz (2933.4 bogomips)
       Hyper-Threading, x86-64, MMX, Physical Address Ext, SYSENTER/SYSEXIT, SYSCALL/SYSRET, Intel virtualization
 
1 CPU in system; running 1 parallel copy of tests
System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0    7063896.4    605.3
Double-Precision Whetstone                       55.0        981.5    178.5

■ASUS EeePC 1051PEM Atom N550 1.50GHz 2コア(×2スレッド)

BYTE UNIX Benchmarks (Version 5.1.3)
 
OS: GNU/Linux -- 2.6.18-400.1.1.el5 -- #1 SMP Thu Dec 18 00:58:32 EST 2014
Machine: i686 (i386)
CPU 0: Intel(R) Atom(TM) CPU N550 @ 1.50GHz (2999.8 bogomips)
       Hyper-Threading, x86-64, MMX, Physical Address Ext
CPU 1: Intel(R) Atom(TM) CPU N550 @ 1.50GHz (2999.7 bogomips)
       Hyper-Threading, x86-64, MMX, Physical Address Ext
CPU 2: Intel(R) Atom(TM) CPU N550 @ 1.50GHz (2999.8 bogomips)
       Hyper-Threading, x86-64, MMX, Physical Address Ext
CPU 3: Intel(R) Atom(TM) CPU N550 @ 1.50GHz (2999.8 bogomips)
       Hyper-Threading, x86-64, MMX, Physical Address Ext
 
4 CPUs in system; running 1 parallel copy of tests
System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0    2709303.2    232.2
Double-Precision Whetstone                       55.0        546.5     99.4
 
4 CPUs in system; running 4 parallel copies of tests
System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0    7294644.3    625.1
Double-Precision Whetstone                       55.0       1960.2    356.4

■さくらのVPS 1Gプラン 2コア(×1スレッド)

BYTE UNIX Benchmarks (Version 5.1.3)
 
OS: GNU/Linux -- 2.6.18-406.el5 -- #1 SMP Tue Jun 2 17:25:57 EDT 2015
Machine: x86_64 (x86_64)
CPU 0: Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU T7700 @ 2.40GHz (5320.2 bogomips)
       x86-64, MMX, Physical Address Ext, SYSENTER/SYSEXIT, SYSCALL/SYSRET
CPU 1: Intel(R) Core(TM)2 Duo CPU T7700 @ 2.40GHz (5192.2 bogomips)
       x86-64, MMX, Physical Address Ext, SYSENTER/SYSEXIT, SYSCALL/SYSRET
 
2 CPUs in system; running 1 parallel copy of tests
System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0   14697344.1   1259.4
Double-Precision Whetstone                       55.0       2623.0    476.9
 
2 CPUs in system; running 2 parallel copies of tests
System Benchmarks Index Values               BASELINE       RESULT    INDEX
Dhrystone 2 using register variables         116700.0   28887191.3   2475.3
Double-Precision Whetstone                       55.0       5223.0    949.6

赤くしたところが単純な整数演算のスコアです。
Intel NUC DE3815TYKE の Atom E3815 は 605.3 でした。
 
一方、4年前に買った ASUS EeePC 1051PEM に搭載されている Atom N550 は
1パラレルの場合は 232.2 ですが、4パラレルなら 625.1 で、
今回の NUC の E3815 はこの4年前のN550をも下回っています。
 
そしてさくらのVPS 月額900円の1Gプラン2コアは 2475.3 で完全敗北しています。
これ月額600円の512Mプラン1コアにもダブルスコアで敗北するということですよね・・。
 
今回の NUC に搭載されている Atom E3815 がいかに非力か ということが
お分かり頂けるかと思います。おそらくWindowsを動かしてデスクトップとして
使おうとかいう夢を見ないほうが良いものと思われますが、
私としてはこのサーバに凄く重たい処理をさせる気はありませんので、
小さな電力で静かに動き続けてくれていれば十分です。
 
とにもかくにもこのNUCさまには長生きをしていただきましょうぞ。


2015/07/25 [updated : 2015/07/25 17:29]


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daishi_n 2015/07/25
TS-251にメモリ増設してVirtualization Stationって手もありそうだけど、それも微妙かな
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