Google が YouTube を買収! - YouTube は Google でも止められなかった
2006/10/10曜日はさておき、号外コラムです。こんばんは。
Google が YouTube を買収した、というニュースは、今年の
ネットビジネス界一番の大事件(?)としてネット中を駆け巡りました。
■ITmedia News:Google、YouTubeを16億5000万ドルで買収
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/10/news006.html
■ITmedia News:YouTube買収がGoogleにもたらすメリットは?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/10/news021.html
■InternetWatch: GoogleがYouTubeを16億5,000万ドルで買収
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/10/10/13557.html
■My Life Between Silicon Valley and Japan
GoogleがYouTube買収!!! 圧倒的に正しい戦略が迅速に執行されたのだと評価する
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20061009/p1
■isologue: Google+YouTube
http://www.tez.com/blog/archives/000769.html
■404 Blog Not Found:Googlezonの足跡が聞こえた
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50654407.html
■メディア・パブ: 本当にGoogleがYouTubeを獲得,買収額は16.5億ドル
http://zen.seesaa.net/article/25176921.html
今回の発表で主だったトピックは、
・買収額は 16.5億ドル(約2,000億円)
・YouTubeブランド はそのまま存続するが、Google Videoもそのまま存続する
・この発表と同時に、YouTube は Universal Music と SONY BMG、
Google Video は SONY BMG と Warner Music とコンテンツ配信契約を結んだ
というあたりです。
Googleはこれ以上ないくらいに Google Video が存続することを強調
しています。しかし、この手の宣言は多くの場合あまり意味を持ちません。
急激なユーザ離れを防ぐために「○○は継続するから安心してください」
と宣言しつつ、
振り返ってみれば、最初から消滅させる気だった
なんてことは、ビジネスの世界では日常茶飯事だからです。
もちろん、Googleが本当に Google Video と YouTube の共存を望んでいる
というシナリオがなければ、上記のBMGらとのコンテンツ配信契約が不可解に
見えるのも事実です。ですが、それにしても YouTube と Google Video の
モデルはあまりにも似すぎています。
有り得る棲み分け方としては、Google Video=商用コンテンツ配信、
YouTube=ユーザコンテンツ、という方向に動いていくか、そうでもなければ、
Google Video、YouTube の両者でわざと異なる進化を選択して、
どちらが当たっても傘下に勝ち組が残る というポートフォリオ
を組むか、といったところでしょうか。もしそうなれば過激な機能を試される
(実験台にされる)のはGoogle Videoのほうでしょうが・・・。
さて、このニュースを聞いて私が真っ先に思ったことが2つほどあります。
1つはYouTubeの著作権問題を巡る争いが2ndステージに入ったことに
ついてですが、それはまた別の機会にお話できればと思います。
ここではもう1つの事象について取り上げましょう。
おそらくみなさんも同じようなことを思ったと思います。
■My Life Between Silicon Valley and Japan
GoogleがYouTube買収!!! 圧倒的に正しい戦略が迅速に執行されたのだと評価する
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20061009/p1
この買収ニュースを聞き反射神経的に感じたのは、
「こんなものゼロから作れば俺たちの方がいいものが作れる」
という「天才的技術者の発想」より遥かに上位のところで、
Googleがきちんと「正しい経営判断」を下す会社になったんだなぁ、
ということである。
Googleがさらに恐ろしい会社に変貌を遂げた瞬間と言えるのでは
ないだろうか。
全く同感です。同感ですが、全く同じコトを意味しているのであっても、
私はやっぱりこの事象を、
『 これはGeek王国たるGoogleの白旗宣言に等しい 』
と一度認識しておくことに価値を感じます。その上で、「負けて勝つ」
という選択をしたGoogle経営陣をビジネス的に「成長した」と認識することは
やぶさかではありません。
かのGoogleにとってさえ、勢いを得たパイオニアである「YouTube」は、
手に負えないほどの怪物だったのです。
Googleは、Google Searchで有名になり、Google AdSenseで経営母体を作りました。
GMailで大成功し、Google Mapsが話題を呼びました。今、GoogleBaseがじわじわと
注目を集めています。しかしその陰で、Google Talk は Skype に全く及ばない
日々が続いています。OrkutはこれだけSNSが注目される中で完全に忘れ去られました。
そして今、Google Video が第一次敗北を喫したのです。
YouTubeと全く違うサービスですが、同様の状態をmixiにも見ることができます。
mixiがSNSのトップランナーとして認識され始めた頃、多くの業界関係者が、
「Yahoo!とかが本気で乗り出してきたらすぐ逆転されるって」
とタカを括っていました。しかし現状はどうでしょう? 最近はちょっとトラブル
の話が多く聞かれますが、それでも手の付けようのないモンスターであることに
代わりはありません。それは「ユーザ」という資産がサービスを魅力的にするという
ネットワーク外部性に拠るところが大きい業界の
ビジネスの新しい掟なのかもしれません。つまりトップランナーのまわりで
ポジティブループが回り出してしまったら、GoogleやMicrosoftの
優秀な技術者であっても、そう簡単には止められないということを、
今回の件ではハッキリと見せ付けられた格好になりました。
Apple の Steve Jobs氏がかつてこんなことを言ったことがあります。
『 Microsoft が iPod を逆転できるかって?
じゃあ、Microsoft はその強大な力を以って
Google の検索エンジンを逆転できたかい?
eBay や Amazon の取引シェアを奪えたかい? 』
これはGoogleに対しても同様のことが言えます。Googleが如何に力を持っても、
eBayやAmazonやAppleの得意分野にそう簡単に切り込めるワケではありません。
それどころか、
Skype や YouTube や MySpace のような「上がり馬」を
止めることすらままならないのが見て取れるでしょう。
「何だかんだいっても、あの有名なビッグプレイヤーが出てきたらさぁ・・・」
人々はよくそういった思考を持ちます。昨今のVCの常套文句が、
「もしGoogleが同じことをしてきたらどうする?」
だったというウワサも良く耳にします。しかし、それに対する回答は、
もしかしたら1つしかないのかもしれません。それはとても難しいことですが、
ネット時代のビジネスの公理たる威力を秘めています。
「 開拓者として、多くのユーザを早めに味方につけてしまえばいい。
そうすればいかにGoogleだって、一度付いた差は簡単には縮められない。
ただ1つ、注意することがある。開拓者になるには、
他人の成功を見てから動くんじゃ遅いってことさ。 」
2006/10/10 [updated : 2006/10/10 23:59]

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▼ コメント ▼
No.5002 投稿者 : D 2006年10月11日 08:48
Agreed.
No.5010 投稿者 : ishida 2006年10月12日 11:17
初めまして。
著作権の問題、Google の経営スタンス、同様に感じていました。
『手に負えないほどの怪物だったのです。』
実に的確な表現ですね。
今回の買収は、Google の凄さと怖さを同時に感じるような出来事ですね。
また寄らせて頂きます。
No.8374 投稿者 : kan 2007年3月23日 09:38
you-tubeの保存方法を調べていたら、早速googleによってforbidden!の画面ばかりになってしまいました。検閲厳しいのか、はたまた妨害か?と思います。
そんなやり方したって、人はついてこないと思うんだけど。
コメントしましょう
ユーザを資産とするサービスにおける新たな掟。回り始めたポジティブループはGoogleやYahoo!でも簡単に止められない。
アメリカンな文章
「トップランナーのまわりでジティブループが回り出してしまったら、GoogleやMicrosoftの優秀な技術者であっても、そう簡単には止められない」
「トップランナーのまわりでポジティブループが回り出してしまったら、GoogleやMicrosoftの優秀な技術者であっても、そう簡単には止められない」
「開拓者になるには、他人の成功を見てから動くんじゃ遅いってことさ。 」本当にそうだよなあ。
でも買収されるんだな
まとめ。
「開拓者になるには、他人の成功を見てから動くんじゃ遅いってことさ。 」
他人の成功を見てから動くんじゃ遅い
先手必勝ですねぇ。
"これはGeek王国たるGoogleの白旗宣言に等しい‥「YouTube」は、手に負えないほどの怪物‥Google Video が第一次敗北を喫した‥トップランナーのまわりでポジティブループが回り出してしまったら、‥そう簡単には止められない"
ユーザという資産
YouTube は Google でも止められなかった
YouTube は Google でも止められなかった
開拓者になるには、他人の成功を見てから動くんじゃ遅い
google
コメントしましょう