実録! 個人ニュースサイトが織り成す「華麗なる波状アクセス」一部始終
2005/07/10日曜コラムです。こんばんは。
今回はコラムというより、ドキュメンタリー でお送りいたします。
まずは右のグラフをご覧ください。
何のグラフだか判りますか? これはこの デジ埋のアクセス数(PV,UU)を
示したグラフです。デジ埋では、右サイドメニューの「アクセスカウント」の
リンクから毎日の「デジ埋」+「デジモノREVIEW」のアクセス数を確認できます。
(これほど細かな数字を公開しているブログも珍しいとは思いますが・・・)
ここで急激にアクセスが増えている部分がお判りいただけると思います。
通常は 5,000PV/日 のところを、7/5、7/6 の2日間だけはその3倍近く
にあたる 14,000PV/日 というアクセス数を記録していたのです。
その原因を調べてみると、ちょっと面白いことが判ります。それは、
影響力の大きな個人ニュースサイトさま同士の相互作用が引き起こす、
波状的なアクセスの発生メカニズム
についてです。これは、Webサイトを長らく運営されている方にとっては
もはや「常識」とも言える現象なのですが、せっかく自分自身でも体験する機会に
恵まれたのですから、その一部始終をここで皆さまにもお伝えしようと思います。
本サイトの出来事のご報告というよりは、ネットで起こる「ある現象」のことを
知るための資料としてお楽しみ頂ければと思います。
対象となった記事はこの記事です。先週のコラム記事ですね。
■2005/07/03 [歯車は勝手には回らない - 回らないものが回り始めるとき
歯車は勝手には回らない - 回らないものが回り始めるとき]
7/4、運良く目に留めて頂いたこの記事は、「はてなブックマーク
」に登場します。
しかしこの段階で、はてなブックマーク経由でデジ埋に流れたアクセスは「58」。
該当コラム記事への一日のトータルアクセス数も「269」と ごく普通の状態 でした。
日があけて7/5、事態は急展開を迎えます。最初にこのコラム記事にご注目頂いたのは
あの「RinRin王国」さん。情報元は「はてなブックマーク
」と記されています。デジ埋には
その「RinRin王国」さん経由で400を超えるアクセスが確認されています。そして同じ日のうちに、
巨大個人ニュースサイトの大連鎖が始まるのです。
「RinRin王国」さんから、泣く子も黙るモンスターサイト「カトゆー家断絶」さんへ。
そしてもう1つ、これも超有名な個人ニュースサイト「かーずSP」さんへ。
この2つのサイトを経由してデジ埋には 4,000を超えるアクセス が流れ込んできます。
続いて「かーずSP」さんから「BWS@HyperEdition」さんへ連鎖、更にはその
「BWS@HyperEdition」さんから「everything is gone」さんへと 次々に飛び火 していきます。
該当コラム記事への一日のトータルアクセス数も 「6404」 と、尋常ではない跳ね上がりを見せます。
翌日7/6、ネットワークは更に広がり、次々にプレイヤーがその名を連ねていきます。
この日の主役を張ったのは「ゴルゴ31」さん。参照元は「RinRin王国」さんからでした。
この「ゴルゴ31」さん経由だけで、1日4000 を超えるアクセスが発生しています。
同じく「RinRin王国」さんから「Mug-G's」さんへ、そして「かーずSP」さんからは
「コンビネーションバラエティ」さんへ、「BWS@HyperEdition」さんからは
これまた超有名な個人ニュースサイト「ぁゃιぃ(*゚ー゚)NEWS」さんへと連鎖して
ここでも 1,300を超える アクセスが発生してきています。
また、経路はわかりませんが、「ダートヌポーツ」さん、「NEWSLinks」さんからもリンクを頂き、
一日のトータルアクセス数は 「8775」 と、この日が最大のアクセスを数えることになりました。
4日目に入った7/7。ニュースサイトという特性上、個々のニュースリンクは鮮度が命ですから、
初掲載から日数の経ったリンクはほとんどその 役目を終えた状態 になります。
最初の震源地となった「RinRin王国」さん、「カトゆー家断絶」さん、そして
「BWS@HyperEdition」さんなどを経由したアクセスは、ほとんど鎮火してきています。
勢いを保っているのは「ゴルゴ31」さん、「ぁゃιぃ(*゚ー゚)NEWS」さんあたり。
一日のトータルアクセス数も 「1700」 と、急激に 収束ムード が漂っている状態です。
5日目の7/8、これで個人ニュースサイトさんを連鎖した波状アクセスはほぼ収束です。
一日のトータルアクセス数も 「737」まで平常化 してきました。しかし「ラヴフール」さんの
ように新たにご紹介を頂いて、多くのアクセスが発生しているケースもまた存在します。
結局この5日間、1つの記事のみに対して、トータル18,000近く のアクセスを頂いたことに
なります。しかしその経路はと言えば、上記の通り非常に複雑でダイナミックなものです。
何故こうした経路が判明するのかといいますと、基本的に個人ニュースサイトを運営されて
いる方々が、ニュースの入手経路をご自身で明かしている からに他なりません。
■絵文録ことのは「情報源明記:個人ニュースサイトから伝わる美しいウェブ作法」
http://kotonoha.main.jp/2005/02/06blog-line.html
大手個人ニュースサイトでは「どこでその情報を知ったか」を明記する
傾向がある。特にリンク列挙型では、
・該当記事への直リンク(直接知った情報源サイト)
というスタイルで記述するのが「お約束」となっている。
これは個人ニュースサイトの運営者の方々が、情報というものの価値の重みを誰よりも
知っており、その 「発見者」に多大な敬意を払っている からに他なりません。
逆にこの「お約束」が浸透しているからこそ、個人ニュースサイトの運営者の方々は
「先に見つけたのは○○だった!」、「△△のほうがパクリだ!」、などといった
論争をすることなく、面白いと思った情報を互いの自然な連携によって一斉に広めていく
ネタ伝達のための強烈なメッシュネットワークを
構成することができるのです。
図ではフルメッシュになっていませんが、実際にはフルメッシュだと思ってください。
伝達経路には決まったパスはありません。勿論、「あのサイト経由のネタを頻繁に紹介する」
といったことが習慣として存在する場合もありますが、そうした関係はネタごとにいつでも
矢印の方向が逆転しうるアドホックなものです。そして当然のことながら、同じネタが
1つのサイトで複数回紹介されることはありませんから、この情報伝達の経路は、
分岐を繰り返しつつ、それらの経路が再び「合流」することはありません。
もう1つ注意すべきことは、これは「 個人ニュースサイトさん同士 が情報を教えあっている図」
ではないということです。個々のニュースサイトさんは当然、膨大な読者の方々 を抱えており、
それらの膨大な読者の方々が、これらのニュースサイトを経由して、
最終的に1つのページ(ネタ)に辿り着く構造になっている
ことが最も重要なポイントなのです。強烈に面白いネタがあれば、この個人ニュースサイト
の情報伝達ネットワークの上を次々に駆け巡っていくでしょう。そして読者の方々は、
その個人ニュースサイトのうちのどれか1つの上で、そのネタを目にすることになります。
結果的にこうした個人ニュースサイト・ネットワークは、
『群』としてメディアの体を為している
形になるのです。その影響力は、計り知れないものになるでしょう。
上述の通り、こうした情報の伝わり方というのは、ネット暦の長いヘビーユーザの方
であればよくご存知のことと思いますが、一般のライトなネットユーザの方々は、
なかなか目にする機会がないことと思います。もし何らかのネタがヒットして
数千~数万のアクセスがドッと押し寄せたとしても、背後でこうしたダイナミックな
メカニズムが働いていることは、おそらく想像も付かないのではないでしょうか。
ネットの中で発生するアクセスは、実はこうした人々が紡ぎ出しているリンクの
数々が織り成す、とても ダイナミックな情報網 から生まれているのです。
(ご紹介させて頂きました個人ニュースサイト運営者の方々に深く御礼申し上げます。)
※追記: 2007/07/17
■2005/07/17 [実録!「華麗なる波状アクセス」パート2 - 直下集中型連鎖
実録!「華麗なる波状アクセス」パート2 - 直下集中型連鎖] もお楽しみください。
2005/07/10 [updated : 2005/07/10 23:59]
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▼ コメント ▼
No.1438 投稿者 : 匿名 2005年7月11日 12:50
仕組み自体はネット歴が長いので大体はわかっていても
こう目に見える形では初めてです
大体わかっていても楽しめました
No.1439 投稿者 : 名無しさん 2005年7月11日 19:34
私のサイトも現在、波に飲まれております。
平均100hit/dayだったのが、現在までで4,000hit越え
今後どうなっていくのか。。。恐ろしい。
No.1440 投稿者 : 匿名 2005年7月11日 20:18
上記のような、単体でありながらまとまっている形態は非常に面白いです。
このようなBlogに取り上げられるだけで、どれほどの広告効果があるのかが非常に興味を持ちました。
No.1441 投稿者 : 三戻 2005年7月11日 21:37
「ウォークマンがiPodを逆転?!」の数字はこうして作られる
のときも5日目くらいに爆発してましたね
データ蓄積していくといろいろ分析できそうで面白いですね
No.1442 投稿者 : shin 2005年7月12日 15:25
個人ニュースサイトの波というか影響はものすごいものがありますねえ
No.1451 投稿者 : CK 2005年7月17日 05:47
●(無記名)さん
頭の中でぼんやりと想像しているものでも、目に見える形にしてみると
結構新鮮ですよね~。そしてこうした類の現象を目の当たりにするたびに、
ネットって本当に「人間」で出来ているんだなぁ~と思い知らされます。
●名無しさん
おおぉ、波に飲まれてますか( ̄▽ ̄;)
普段と違うタイプのアクセスが押し寄せてくるとビックリしますよね~。
アスキーアートも拝見しましたが、量の多さに圧倒されました・・・。
●Anonymous(匿名)さん
みなさん個別に尊重し合いながら、しかし特別な統制を取っているワケでは
ないというところが面白いですよね。広告効果という点で言えば、
一発ネタで取り上げられてもあまり効果は無いかもしれません。
重要なのは頻繁に取り上げられるようなネタを継続して作り出す努力でしょうか。
●三戻さん
ウォークマンの件のときは、初めての波状アクセスでしたので、本当にビックリしました。
あのときは全体のアクセスの半分以上は1つのサイトを経由してご来訪頂いたものでしたが、
そういう意味では「火の点き方」にもパターンがあるのかもしれませんね。興味深いです。
●shinさん
個人ニュースサイトさんの影響力というのは、もうちょっと認知されていても
良いですよね~。一般のメディアでは報じられませんので、これだけネットが
一般的になっても、一部の人以外に、その実感がなかなか伝わりません(´・ω・`)
No.1673 投稿者 : なすび 2005年9月20日 10:56
9/18のエントリーからたどってきました。こういう情報の伝搬は見ていておもしろいですね。
No.1706 投稿者 : CK 2005年9月26日 21:16
●なすびさん
あちらこちらで、表面に表れないこうした動きがあるかと思うと、ネットはとても興味深い存在ですよね~。
コメントしましょう
の流れ。個人ニュースサイトの「~より」を図示。
☆☆☆☆ためになる。情報風水ってかっこいい
情報フローを可視化するサービスってテクノラティが今後リリースするとかしないとか。
すぐ基に戻っちゃうってところが悲しいところですかねw
改めて図にすると面白い
アクセスの可視化
『親』を明記する作法が個人ニュースサイトの効率的メッシュ化を可能にする
RSS+SBSによるトラフィックジェネレーションの可視化
個人ニュースサイトは群をなしてひとつのメディアになる、という見方と実例。そしてネタ元がはてなBM。
ある注目を集めた記事に対するアクセス経路を分析。ネタ伝達のためのメッシュネットワークを構築。面白い。
『群』としてメディアの体を為している
コンテンツ伝播経路を辿ってみている
おーおー、コンテンツの伝播経路、おもしろいなぁ。
ニュースサイトのアクセスはすぐに収束するか。。
ベルーソフ-ジャボチンスキー反応みたい!
ネットワーク理論的な話
メッシュネットワークの波状アクセスと群メディア
個人ニュースサイトが織り成す「華麗なる波状アクセス」
はてなからのエフェクト具体的な数字
だからはてなブックマークでも経由地を記録させて欲しい。
ウェブサイトのアクセス爆発のメカニズムについて。
スケールフリーな特異点がブログで起こったプロセスを克明に記してある。
「面白いと思った情報を互いの自然な連携によって一斉に広めていくネタ伝達のための強烈なメッシュネットワーク」
――それ自体の価値としてどうでもいい記事でも、みんなが並んで言及し合うことで、ネタとして大きな(付加)価値を産出することもあるという話??
よくわかる。
1._reflexive
これは面白い考察。個人ニュースサイトの玉突き衝突みたいな感じ
コメントしましょう