「アップルの次の一手は何か?」だけで十分に話が弾む人たち

2005/04/06

■My Life Between Silicon Valley and Japan
アップルはフルラインのコンシューマ・エレクトロニクス・メーカーを目指すのか?
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050405/p1
 
梅田さんのブログで Business 2.0 の記事 「What's Next for Apple? 」
http://www.business2.com/b2/web/articles/0,17863,1037197,00.html
が取り上げられています。
 
この記事は特に新しい事実を出しているワケではなく、今までに入手した
関係者のコメントなどから今後の Apple & iPod の発展の行方を想像してみよう
という考察記事になっています。Appleが広げている 手の内を整理しなおす
という意味も含めて、読んで損は無い記事だと思います。
 
ここでもその内容について、原文の概略を日本語でご紹介することにしましょう。
そのほうが沢山の方の色々なご意見を誘発するきっかけになりそうな気がします。
 
==================================================
では、原文のほうを漁っていくことにします。最初の2ページくらいは iPod の作ってきた
市場の大きさと今後の発展性について資料を集めています。目に付いたところでは、
 
・2005年1月のHDD搭載携プレのシェア(北米?)は、
 Appleが 92.7%、2位のCreativeで5.8%、以下、iRiver、Rioは1%台。
・iPodは最初の3年で 1,000万台 を売り上げた。
 SonyのWALKMANでも最初の3年は300万台だったのに。
・携プレの市場は2004年の6,000万台/年から2006年には1億台/年に伸びる。
 2010年には 5億台の携プレ が存在する(全人口の15人に1人は携プレ所持)。
・iTMSは大雑把に言って 1週間で960万曲 を売り上げるペース。
 iTMS Canadaの開始で勢いが増し、今年はiTMS Japanも開始予定。
 数年後には 2億ドル/年 の "利益" がiTMSから得られる?
 
こんなところでしょうか。個人的にはiTMS Japanの点には過剰反応をしないほうが
良いと見ていますが、それにしてもiTMSの960万曲/週という販売数には仰け反ります。
 
さて、そのあとは梅田さんの記事にもありますとおり、Appleが狙ってきそうな
ポイントを5つ挙げ、各々の実現性を解説しています。あくまで原文は Business 2.0 の
記事であり、ここではそれを私の口調で概要説明しているにすぎませんのでご注意ください。
 
■ Wireless iPod (ほぼ確実)
 Appleは無線エンジニアを集めて開発をしており、iPodに無線が載るのは間違いない
 とのこと。その1つの可能性が Bluetooth。もう1つの可能性は Wi-Fi です。
 Bluetoothの搭載は、先頃発表されたiPod photoにも載るかと噂されていました。
 この場合はPCとのリンクがケーブル無しでできるという点が主な利点になります。
 Wi-Fiを載せようという話になると途端に壮大な話になります。
 スターバックスなどのHotSpotで ローカルネットラジオ を受信できるという話、
 そこで気に入った曲を、クリック1つで iTMSから直接購入 できてしまうという話、
 もっと踏み込めば、iPod同士をP2Pリンク して、周囲の人のiPodの中の曲が
 聴けるようになるかもしれないという話が述べられています。
 
■ vPod (確率75%)
 ことあるごとにJobs氏が 否定しまくって いる携帯ビデオプレイヤー。
 しかし一方でCreativeのPMCやSonyのPSPの動向を注意深く見守っていると言います。
 また、iPodに TiVoライクな機能 を載せたいのではないか、というアナリストの声もあります。
 ちょっと面白かったのはこの一節。
 「ある映画製作会社の人はこう言う。Jobs氏は自分でこれだ!と思うものを完成させるまで、
  時間稼ぎのために、ポータブルビデオ否定を吹聴しているだけのではないか、と。」
 またこの手のお話は、Hollywoodと(海賊版対策等について)話がまとまるかどうかに
 懸かっているとも述べられています。
 
■ iHome (確率70%)
 ホームエンタテインメントネットワーク。私が一番気にしているのはココです。
 Appleが次に狙うのは "ステレオラックiPod" かもしれないという話が述べられています。
 AppleはiPodを基点にして音楽環境を支配できる立場にあり、iPodが流行る、それを部屋で聴くための
 AirPortExpressが売れる、据え置き型のiPod=音楽サーバ が欲しくなる、という流れが考えられます。
 そして音楽だけでなく、写真も映画もTVも・・・となれば、俗に言う "ホームサーバ" の完成です。
 多くの企業がこれを狙って失敗していますが、Appleは既にiPodで音楽というキラーを握っていますし、
 更に原文では機器間のplug-and-play技術(つまり Rendezvous)にアドバンテージがあると述べています。
 
■ iPod on Wheels (確率60%)
 カーシステム とiPodの連携は良く聞かれるようになりました。そのほとんどがiPodを接続して
 音楽を聴けますよ、更にそのための操作ボタンをハンドルにもつけましたよ、という話で、
 このレベルのお話は、今も着々と進行してライバルに差をつけています。
 この節の後半には、iPod自体をカーナビやカーステレオにしてしまおうという話が載っています。
 1UラックのiPodを作るという意味ではなく、車載システムが 無線経由で自分のiPodの中の情報を
 取り出し、音楽、映像再生から、住所・カレンダーなどの情報表示、果てはナビゲーション情報も
 iPodから取り出すようにするというワケです。ダッシュボードにはiPodライクな操作系が搭載され、
 自分のiPod自体はカバンから一度も出す必要がありません。なるほど、確率60%か・・・。
 
■ iPhone (確率50%)
 Appleと Motorola が提携したという話は記憶に新しいですが、当面の成果は
 iTMSで購入した曲を聴くことが出来るケータイが登場したということだけでした。
 しかしここで言うiPhoneとは、フル機能iPodをベースにしたケータイという意味です。
 そのポイントとして挙げられているのは、ホイール のような手軽なインタフェース、
 iPod Styleともいえる デザイン センス、そして大容量 HDD の搭載などです。
 しかしその前にキャリアをとう口説き落とすのかという高い障壁があることも述べられています。
==================================================
 
ざっと Business 2.0 の記事の概要をさらってみました。
繰り返しになりますが、実際のニュアンスなどは原文を以ってご判断ください。
 
私がこれらの予測それぞれに対してどんな印象を持ったのかについては、また機会があれば
どこかで書きたいと思います。私が気になるのは、どれが一番ビジネス的に成功に近いのか、
ではなく、どれが一番Jobs氏の目を輝かせるアプリケーションになるのか、という点です。
 
私は、Jobs氏が最終的に望んでいるのは iHome の方向ではないかと思っていますが、
その目的は機器販売業者として儲けることではなく、ユーザがエンタテインメントにアクセス
する手段を全て アップル・プラットフォームに依存させる ことだと考えています。
音楽や映画に限らず、お買い物からコミュニケーションまで、すべて Start, with Apple.
になれば、バックエンドではあらゆるビジネスに対して影響力を行使することができるハズです。
 
AppleがHome市場に於いて持つ最も強いアドバンテージは Rendezvous なのではないか、という点は
今回の記事でハッとさせられました。今後もAppleのHome市場への出方について注目です。





2005/04/06 [updated : 2005/04/06 16:46]


この記事を書いたのは・・・。
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▼ コメント ▼

No.1018   投稿者 : 喜多野   2005年4月 7日 21:42

こんばんわ。

Wireless iPod 、ほぼ確実なのですか?

わたしは、「デジモノ」さんのレビューが大好きで
Bibioのレビューなどは、ほんとうに手に汗握る想いで
このサイトを訪れていたクチなのですが、Wireless iPodが出たら
Bibioやばいですね。ipodがWifi対応になったらネットラジオも
簡単に聴けてしまいますものね。

ipod のウツクシサ、その操作性の良さなど、素晴らしいとおもいます。
この素晴らしい製品と真の意味でライバルと言える製品の登場を
多くの方が待っている気がします。あまりに一人勝ちじゃぁないですか?

そのライバルたりえる資質を最も持っていると思われる「Sony」が
今度のあの製品ですからね。見た目だけでこう言うのもなんなのですが、
言葉がありません。

Apple社の製品はすばらしい。黙ってその製品を買えばよいのですが、
なんだか、こう、悔しいのです。日本のメーカーがしっかり対抗しきって
いないのがなんだかとても口惜しいのです。

このような想いは私だけなのかな?

アップルに対抗しうる「哲学」をもった日本のメーカーの登場を
切望してしまう今日この頃です。


No.1023   投稿者 : CK   2005年4月 9日 01:12

●喜多野さん
こんばんは(=゜ω゜)ノ
「Wireless iPod 確実」は Business 2.0 の記事がそう言っている、というお話ですが、状況から見ても
可能性は高そうですね。Bluetoothのほうが簡単、WiFiのほうがチャレンジングという感じでしょうか。
確かに、Wireless iPod と AirMac Express があれば、徐々にBiBioと競合してきてしまいますねぇ。
iHomeのところに出てくる据え置き型iPodのほうは、更にBiBioと直接競合しそうなイメージです。
 
国内のメーカがスランプに陥っているのは私も残念に思いますが、誤解を恐れずに言えば、
既に抱えているビジネススキームの規模が大きければ大きいほど、それを否定する新しい試みに
飛び込めないのは仕方の無いことなのかもしれない、と思うときがあります・・・。
「過去を否定する新しい試みは、新興成長企業か、あるいは、一度ドン底を味わった企業から」
そこまで言うと言い過ぎでしょうかね・・・(´~`)


No.1030   投稿者 : 喜多野   2005年4月10日 22:56

こんばんわ。
CKさんのコメントを読んでいて思ったのですが、私は「AirMac Express」
の存在を忘れてましたよ。ipod自体のWiFi化ではなく、次なる一手はまず
ipod + AirMac Express でのWiFiですね、きっと。
ipod のドックにEathernetの端子かなんか付くんじゃないですかね?
それで、ネットラジオを視聴できます。ipodの中のファイルを無線で
共有できるのです。
しかし、こう書いてみるとなぜ今はそれが出来ないのだろう?
という気にもなってきますね。おかしいな。

まぁ、どう言いましても憶測の域を出ませんね。

関係ないことなのですが、CKさんの使う絵文字はいつもユーモラスで
かわいいですね。私は、「優秀なブログ作者は絵文字の使い方がうまい」
という小さな法則を最近発見いたしました。
どのタイミングで、どの絵文字を使うのか、すごく「センス」がいる
ような気がするのです。
どうでしょう?きっと当たっています、この法則は。


No.1033   投稿者 : CK   2005年4月11日 10:57

●喜多野さん
うーむ、私はAirMacExpressとの組み合わせは、iPodのWi-Fi化に合わせた提案になるのかなと思っていました。
たしかにその前段階としてiPodのIP化+Etherアダプタを出すという選択肢もあり得ますが、
iPodユーザとしてはiPodを長いLANケーブルで縛るくらいならMacのiTunesからAirMacExpressに飛ばしても同じようなものですので、
iPodをIPデバイスにするのはWi-Fi搭載のタイミングまでおあずけになるという気がちょっとしています。
 
 >どのタイミングで、どの絵文字を使うのか、すごく「センス」がいる
 
ありがとうございます。そうおっしゃって頂けますと嬉しいです。
しかし、これを伺って、いきなり顔文字使用に妙なプレッシャーを感じはじめたワタシがここに居ますよ!(汗笑



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