製品の認知とアピールのためにブロガーができること

2005/04/03

こんばんは、日曜コラムです。昨日「百式」さんで、ここデジ埋にとって
タイムリーなネタが挙がっていましたので、関連したお話をさせて頂きます。
 
■taguchiさん「いかにとりあげてもらうか」(百式)
http://www.100shiki.com/archives/001040.html
Goodiesblogでは「何か送ってください、ブログに書きますから」
という企画を展開しているのだ。今日はどこそこから何が送ってきた、
というのをレポートしている。なかなか楽しそうである。

企業からモノを貰ってブログを書くという、いわば「書き屋」さんともいえる
GOODIESBLOGを紹介されています。それを受けた田口さんのコメントも、
今回のブログ、誰か日本でもやってみてもいいですね。やってみようかな。
どれぐらい多くの企業が協力してくれるかに注目したいところです。

思わずご自身で始めようかというくらいの勢いが感じられました。
 
当ブログの読者さまはご存知の通り、ここ「デジモノに埋もれる日々」では、
 
 「企業がブロガーを通じて製品やサービスをアピールする」
 
というパターンの 「国内事例」 ともいえるケースを、つい最近に2件ほど
体験させていただきました。以下の2つがそのブログ記事になります。
 
■緊急企画「リオワークス訪問」
(1)
緊急企画「リオワークス訪問」(1) - ユーガッタメール!/(2)
緊急企画「リオワークス訪問」(2) - ATP 2GB SDカード交換/(3)
緊急企画「リオワークス訪問」(3) - 更に来るぞ大容量SDカード!/(4)
緊急企画「リオワークス訪問」(4) - トラブルはメモリと電源から/(番外編)
リオワークス訪問・番外編 - ボイスレコーダが欲しかったあの日
 
■特別企画「ココでやるのか、BiBio JukeBox 試用記」
(1)
特別企画「ココでやるのか、BiBio JukeBox 試用記」(1)/(2)
特別企画「ココでやるのか、BiBio JukeBox 試用記」(2)/(3)
特別企画「ココでやるのか、BiBio JukeBox 試用記」(3)/(4)
特別企画「ココでやるのか、BiBio JukeBox 試用記」(4)/(5)
特別企画「ココでやるのか、BiBio JukeBox 試用記」(5)/おまけ
特別企画おまけ - BiBio JukeBox 解体新書
 
リオワークスさんの場合は元々自費で購入した製品の交換という形であり、
特に何かを受け取ったワケではありませんが、サン電子さんの場合は実際に
品物を受け取った上での記事でした。私は私で、いつものお調子者ぶりで
記事にしましたので、それが結果的に期待に応えられたものだったどうか
不安もありますが、自分自身が感じたことを正直に記事にすることが私に
与えられた役目だと信じて、自分なりに頑張って書いてみたつもりです。
 
サン電子さんは、「製品の長所も短所も、自由に指摘して構いません」と
仰っていただきましたが、その結果がアレだったわけで、逆に、
 
 「まさか本当に正直に書いちゃったんですか!!!」
 
とツッコまれかねない状況だったワケですが、サン電子さんからは
特に怒られることもなく、良好なご反応を頂きました。その結果が
例の スタパ斉藤さんとのニアミス
BiBioのサイトで、スタパ斉藤さんの射程圏内に?! にも繋がっています( ̄▽ ̄;)
 
 
さて本題です。サン電子さんは、私にレビューを依頼した理由について、
 
 「良い点も悪い点もバランス良く、自身の利用体験に基づいて語り、
  それが製品を持っていない人達に明瞭に伝わるようなブロガー」
 
を選んだと仰っていました。それによって沢山の皆さんに、
 
 「自分だったらどうだろう? という目線 で検討してもらえる」
 
ことがありがたいことだとも仰っていました。
 
私はこのコトバに強い賛同を覚えました。製品のことを良い点も悪い点も含めて
「深く」知って貰うことが「愛着」を持ってもらえるための第一歩であり、そうして
深く知った上で納得して製品を購入された方こそがコアなファン層を形成してくれる、
というのが、私の考える理想的な循環型マーケティングのイメージだったのですが、
サン電子さんの取られたやり方は、これと方向性がほぼ一致していたのです。
 
こうした狙いが有効に働くためには、1つのとある前提条件が必要です。
それは「メーカあるいは製品への認知度を補いたい状況」という前提です。
もう少し違う言い方をすれば、マニアによる掘り下げを仰ぐ戦法は、
 
 「製品のデキには自信があるのに、認知度が低いために・・・」
 
という悩みを持っているケースが一番マッチする、と私は考えています。
 
ちょっと逆のケースから考えて見ましょう。
メーカあるいは製品に 「十分すぎるほどの認知度」 がある場合、
掘り下げる前のイメージだけの段階で、ユーザからは既に良い製品に見えています。
キャノンのデジカメや、ソニーのウォークマンなどを想像してみてください。
 
何も判断材料が無ければ、多くの人はとりあえず知っているメーカ・製品シリーズ
の中から購入対象を選ぼうとします。「とりあえず○○を買っておけば安心」
というように、ブランドそのものに安心感が存在するのです。この場合、既に最初の
イメージだけの段階で評価がMAXに近いため、細かく掘り下げられると逆に評価が
落ちていくように見えてしまいます。これはいわば アラ探し のような効果しか
もたらしませんので、無理してマニアによる掘り下げを請う意味があまりありません。
 
一方、メーカあるいは製品の認知度が 「名前買い」 のレベルまで達していない場合、
イメージだけの段階ではその製品はそもそも 購入候補に入っていない
ことになります。製品の性能や品質にどんなに自信があろうとも、
 
 候補に挙がらない製品は、購入してくれません。
 
そこで何よりもまず、製品のことを良く知ってもらう ことが必要になります。
 
「何ができる製品なのか」 「他社のどの製品と競合するのか」
「どの点が上回って/下回っているのか」 「どんな人にオススメなのか」
 
等々、いろいろなことをユーザに知ってもらって、購入検討の際の候補の1つ
としてしっかりと認識してもらうのです。製品のデキに自信があるのであれば、
詳細を知れば知るほど、購買意欲は高まっていく でしょう。少なくとも、
イメージだけの段階では圧倒的な大差をつけられていたものが、詳細を比較する
という土俵の上では、差を縮めるどころか逆転すら十分に有り得るのですから、
製品自体に自信があれば、掘り下げて貰って損になることはほとんどありません。
 
そして実際にユーザに使ってもらった際の 「体験談」 というものは、
認知度が高くないが故に抱えてしまう、
 
 根拠の無い、漠とした不安の存在
 
を取り払うのに最適です。長所だけではなく、短所が表面化したとしても、
認知されていなかった時と比較すれば十分にプラスでしょう。
ユーザは長所、短所を良く知ることで「自分にとっては使い前のある製品
なのかどうか」をしっかり判断することができるのです。
 
こうした理由から、特にまだ実績の少ない新シリーズ製品や、堅実な製品作りをして
いるにも関わらずネームバリューが足りないために損をしているような製品にとって、
「掘り下げた体験談を語りまくってくれる」ブロガーという存在を積極活用する
という戦略は、かなり筋が良い狙いなのではないかと思います。
 
 
では、従来からある普通の 「モニタユーザ募集」 とは何が違うのでしょう?
ブロガーを活用したモニタ戦略は、以下のような追加効果をアテにするものです。
 
 ・製品分析力 (その分野の製品のことを 良く知っているマニア である)
 ・第三者に正しく伝わる 表現力 (「言葉」を「武器」にしている)
 ・常連読者のとの信頼関係 (生み出す記事への信頼 がある)
 
最近、「ブログは履歴書である」 という表現を良く聞きます。これは転職の際などに
ブログを見てもらえれば自分自身の能力や略歴を全て判ってもらえるという意味で
文字どおり履歴書の代わりになるというお話ですが、これはモニタ募集でも同様です。
 
従来のモニタ募集では、メーカが得られる情報は選ばれたモニタユーザの資質に大きく
影響されてしまいました。また、通常のモニタユーザは結果を第三者に伝えるための
チャネルを持っていませんでした。ブロガーは、1つの名前を使って長期間、発信を
続けていることによって、自身の分析力、表現力、そして影響力の有無をも晒し続けて
いることになるのですから、モニタ選びにとってこれほど大切なポイントは無いでしょう。
 
 
私は半年前に デジモノREVIEW という レビュー記事集積サイト
起ち上げました。その根幹にある狙いというのは、製品に関する「情報」そのものを
集めたいというよりもむしろ、デジモノに関して 頼りになる「人」
つまりデジモノフリークの存在を捉えていきたいと考えたからでした。
 
誰がどの製品に対して詳しいのか、どの方面に高いアンテナを張っているのか、
どの製品に心酔しているのか等、ブロガーごとに 様々な「立ち居地」 があるはずです。
その立ち居地を理解して初めて、個々のレビュー記事には意味が生まれてきます。
 
「製品Aが酷評されている」だけではどう判断してよいものか判らなくても、
「以前、製品Bを絶賛していたブロガーが、製品Aは酷評している」といった
背景の知識があれば、読者はより多くのことを理解できるようになるわけです。
 
そんなこんなで、私は今、100名以上のデジモノレビュワー を毎日ウォッチ
している状況です。RSSという新技術によってそれが現実的な手間で可能になりました。
そのブロガーたちの レビューリストをご覧頂ければ、お1人お1人がどのような
「立ち居地」を築き上げているのかが、とてもよく判ってくるでしょう。
 
そしてそれは、今までなかなか互いに親密なコミュニケーションを取っていくことが
できていなかった2者、「メーカ」と「ユーザ」の間の架け橋 を担う存在として
有望な「立ち居地」を晒し続けている方々が、大勢いることを示しているような気がします。
 
ユーザとの対話チャネルを保持し続け、そこから製品作りの重要なヒントをどれだけ
吸収していけるか、そしてどれだけ 根の強い「シンパ」 を形成していけるか、それが、
イメージブランドに頼れないメーカにとっては特に大切なポイントになっていくでしょう。
私もそんなユーザ・メーカ間のコミュニティ形成の力になれれば幸いと思っています。
 
ただしそこで問われるのは、
 
 「クレーマー」でもなく、「メーカの回し者」でもない
 
というステッキー(素敵)な役回りであります。これがなかなか・・・(;´▽`)
私は「ユーザの本音を伝えることで、メーカのお役にも立てる」という理想を信じて、
その立ち居地を守りつつ、これからもブログを書き綴って生きたいと思っています。


2005/04/03 [updated : 2005/04/03 23:46]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




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▼ コメント ▼

No.994   投稿者 : uni   2005年4月 4日 17:30

改めて、BiBioレビューおめでとう?ございます。
後半解体までしちゃっているのがナイスですねw

>Goodiesblogでは「何か送ってください、ブログに書きますから」
>という企画を展開しているのだ。今日はどこそこから何が送ってきた、
>というのをレポートしている。なかなか楽しそうである。
これは面白そうですね。やる人がそこそこの認知力と社会性を持っていれば効果がありそうです。
問題は広告塔にならないように気をつけることですね。
私の場合は色をつけてくれって言われたら蹴っちゃいそうだ^^;

>それは「メーカあるいは製品への認知度を補いたい状況」という前提です。
>もう少し違う言い方をすれば、マニアによる掘り下げを仰ぐ戦法は、 
> 「製品のデキには自信があるのに、認知度が低いために・・・」
>という悩みを持っているケースが一番マッチする、と私は考えています。

やはり、現在そう言ったメーカーは数多いんでしょうね。
私なんかも毎日色々な製品の記事を目に見かけますが、デザインや機能の点で一見没個性に見える製品が多いです。
でも実は音質にこだわりが合ったり、使いやすいインターフェイスを目指していたりなどしてるんではないか思ってしまうことがあります。

AV WatchやITmediaなんかで詳しくレビューで取り上げられれば、
その目的も達成できるのでしょうが、よほど変わった色物か、
ある程度力を持ったメーカでないと取り上げてもらえてないのが現状だと思えます。
それかお金のあるところは袖のしうわなにするやあqwせd

こういったメーカなら支援してあげたいとは思うのですが、現在私の所ではユーザーさんのレビューか、2chの投稿に頼っている状況です。
私はひたすらレビューとニュースを集めるだけ。


No.996   投稿者 : 三戻   2005年4月 4日 19:36

長いな・・・いや、ちゃんと読みましたよ、ほんとに

Blogerをモニターにする利点にはその継続性もあると思います。
デジものの回転周期は短いので
欠点を明確に出来る上、ファームウェア更新や新製品でも継続して評価してくれる
というのは大きなメリットだと思います。
問題点修正ごとにエントリーが上がれば購入考える機会になりますし・・

ファームウェアのメリットが謡われてから久しいというのに、
最近メーカー主体の見解で
「デジもの」は製品周期が短くて苦しんでいる
という話し聞くと・・メーカーの怠慢だろ?と思ってしまうw
マイナーチェンジよりよいものを長く売る、次の製品にはよりよいものを
という姿勢を見せてほしいですね
なので、Blogをモニターに・・というのはよい視点だと思います。


No.1000   投稿者 : CK   2005年4月 5日 16:59

●uniさん
BiBio特集、ご覧頂きましてありがとうございます(=゜ω゜)ノ 期間中に何処からともなく
「いつか必ず分解しますよね~?」という無言のプレッシャーを感じていました(笑)
 
企業が「ブロガー」を活用するスキームは、まだまだこれから開拓されていく分野だと思いますが、
いずれにせよレビュワーの「立ち居地」を損ねないようなバランス感覚が求められるでしょうね。
そうでないと結局ブロガーが考えていることと違うことを言わせる羽目になり、
uniさんのおっしゃる「色をつけてくれ」と同じ結末になってしまいますので・・・。
 
uniさんのところもそうですし、私のデジモノREVIEWのあたりもそうですが、
デジモノに対していろーんな角度からきっちり斬り込んでくれそうな逸材が一杯いますよね(笑)
企業は、いきなり製品配ってマーケティング云々とまではいかなくても、
彼らと積極的にコミュニケーションを取ってみるというのは結構重要な気がします。
 
●三戻さん
長くてスミマセン・・・ orz いつも、書き終えて「さて」と全体を見直すと
想像の倍くらいの文量になっていることが多くて自分でも冷汗が出てきます。
 
おっしゃるとおり、継続性というのはとても重要な点ですね。最近では「ファームが安定してきたら買う」
などという、ひと昔前では考えられなかったような購買行動様式が浸透してきていますし、
ファームだけでは直らない点でも、今度は新製品をコミュニティの意見を昇華した形で出すことで、
旧製品のユーザが新製品の魅力を肯定し、販売の後押しをしてくれるでしょうからね(・▽・)



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