blog記事の自立 - 「正面玄関」と「ビーム」と「シャワー」と
2004/11/12にらいぬさんのblog「RSS+marketing」より
[コンテンツアグリゲーターがサイト構造にもたらす影響]
で、とても面白い記事が取り上げられていましたのでご紹介です。
原文は以下の記事になりますが、
"Home Alone? How Content Aggregators Change Navigation and Control of Content"
http://www.digital-web.com/articles/home_alone_content_aggregators/
Digital Web Magazine: by Joshua Porter (User Interface Engineering)
にらいぬさんのピックアップされていた画像2枚(右図)を見るだけでも、内容が
十分に伝わってきますので、英語はちょっと・・・という方はそちらをご参照のこと。
タイトルからして "Home Alone" とは、「やられたっ!」 という思い
でしたが(^_ ^; 内容は、Webサイトに於ける「Home」と、そこからの「Navigation」
という概念が意味を失い、サーチエンジン、リンクサイト、RSSリーダなどから
末端の個別のページにダイレクトにジャンプ
してくることが増えているというもの。
そのため、自分のWebサイトもこういった「Aggregator」からの見られ方を
意識して構造を設計していかないといけない、といった感じの論旨です。
他にも原文を読んでいると、「Aggregatorにはmachine-aggregatedなものと
human-aggregatedなものがあって、machineなものの代表的なものが
サーチエンジンで、humanはblogそのものがそうだし、ニュースサイトや
リンクサイト、アンテナ、ブックマークの類もあるし・・・」などなど
「現在のWeb」がどんな網の張られ方をしているかを知る良い材料になります。
この記事に私がピンと反応したのは、実は私自身が今、この手の話に非常に
強い興味を持っているためです。というのも、最近、自分自身のblogにも
上の記事で言われているような状況が見て取れることに気がついたのです。
( blogに降り注ぐシャワーとビーム。 (c) デジ埋 )
この図はあまり正確な図ではありませんが、模式図と思ってください。
グラフの縦軸は個々の記事のアクセス数を示し、横軸は右へいくほど
最新記事を、左へ行くほど古い記事を示しています。
blogでは、一番最新の記事がすなわち「Home」になりますね。
何となく想像される世界というのは、最新記事だけが大量にアクセスされて、
それ以外のページは見向きもされないというもの。そしてその想像通り
図中の赤いべきグラフのようなものが大体の傾向として出てきます。
ところが、
過去の記事への参照数というのが、思ったほど少なくありません。これらは
「Home」からのナビゲーションとは全く無縁なところ、そう、外部サイト
からのダイレクトジャンプで、一定量のアクセスを得つづけているのです。
そこで図中の黄色い箱で、3つの来訪元を分類してみました。
■「フリクエンター・ステップ」 - frequenter step
玄関(Home)から入る、常連の来訪者の流れ。
■「サーチエンジン・シャワー」 - search engine shower
個々の記事に対して降り注ぐ、検索エンジンからの来訪者の流れ。
■「ピンポイント・レーザビーム」 - pin-point laserbeam
1つのパスによって急激に集中する、1箇所から来訪者の流れ。
blogの著者は延々と前だけを見つづけて、最新記事を増やしつづけています。
その活動の中で、過去の記事に陽が当たるとはほとんど考えていない方も
大勢いるハズです。ところがところが、実際にはそれらの忘れ去られたはずの
記事たちが、毎日毎日サーチエンジンからの シャワーを浴び、
あまつさえ 突然ビームを受けて飛び跳ねて いたりするのです。
「ゴーログ」では「かめはめ波」と呼ばれていますが、まさにビームです(笑)
この状況を見て、私は文字通り 「記事の自立」 を感じました。
個々の記事は、私のサイトの1ページとしてではなく、
独立した1コンテンツとして利用され始めているワケです。
レーザビームは一時的な増幅にすぎないものですが、これが参照元が恒常的
価値のあるリンク集だったりまとめサイトだったりすると、レーザビームは
「テイクアウト」(takeout) という状態に変化します。
すなわち、こちらのサイトの単なる1ページが、相手のサイトの生態系の中で、
何かしらの恒常的な役割を担い続けるという状態が起こります。
そこでさらに、図中の薄紫の箱をご覧ください。
◆「プレイヤーズ・チャーム」 - player's charm
著者自身の「継続して面白いことを書いてくれそうだ」と思わせる魅力。
ホーム(玄関)から来る人が増える。
◆「コンテンツ・チャーム」 - content's charm
記事そのものが持っている魅力。参考文献になるほど良く纏められている、
あるいは読み物として面白いもの。ピンポイント・レーザビームを誘発する。
記事、つまりコンテンツそのものに魅力がある場合は、来訪者は記事に対して
ダイレクトに訪問してくるようになります。それに対し、「継続して魅力ある
コンテンツを作ってくれる」という期待感が「著者」に対して存在すれば、
来訪者は今度は「Home」に集まるようになるわけです。
毎日降りつづけるシャワーを浴びるにつれ、また、自分自身が生成した記事が
いつのまにか別のコンテンツの生態系に組み込まれていたりするにつれ、
新しい情報社会の在り方に何か 予感めいたもの を感じさせられます。
・・・っと、その意味では デジモノREVIEW は human-aggregator であり、
私自身が takeout 「する」側にもなっているワケですよね(=゜ω゜)ノ
2004/11/12 [updated : 2004/11/12 16:23]

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▼ コメント ▼
No.143 投稿者 : nanako 2004年11月13日 00:19
なるほどー。わかりやすく解説ありがとうございます。勉強になりました。
こういうのを読むと、一つ一つの記事もおろそかにできないですね。
そして、HOMEにきている常連さんを楽しませようとか思い出すと。。。こりゃ大変ですねー(笑)。
No.144 投稿者 : せのせの 2004年11月13日 11:32
少しずれますが、常々サーチエンジンって偉大だなあと思ってました。
自分のPCの中のファイル探したりブックマーク探すよりサーチエンジンで
検索した方が早いんだもの。それで目当ての情報やサイトを見つけることに
おまけして、その検索キーワードで今まで訪問しなかった関連サイトまでざっくり
出てくるのですから。
WWWが普及し始めた当時はリンクをつたって自分の好きなサイトを巡っていましたが
いまやサーチエンジン一発でホームページを飛び越して直に記事にアクセスですから
ずいぶん使い方が変わりました。
当時は千里眼が好きだったなあ。
No.148 投稿者 : CK 2004年11月14日 15:10
●nanakoさん
ちょっと判りにくかったかもしれませんが、2枚目の図とそれ以降の文章は、
引用元とは関係のない私自身の考え方の説明ですので、念のためご注意ください( ̄▽ ̄;)m
どんな記事でもそれ1つ1つがネットの中の「資源」として存在して、
いつかふと、誰かの役に立っていたりするのが面白いですよね。
No.149 投稿者 : CK 2004年11月14日 15:11
●せのせのさん
サーチエンジンによって本当に、Webの「繋がり方」はガラッと変わりましたね。
企業のサイトなどは未だに「Deep Linkは許しません」などというところも少なくないのですが、
そういった昔ながらの Navigation-Oriented な考え方だけでは、
他者との効果的なコネクションを築いていくことができなくなっています。
次に必要なのはやはりSemantic Web時代のサーチエンジン、つまり勝手に生成されるメタ情報を活用して、
より「分野を深堀り」した結果を見せられるようなものが望まれていくでしょうね~。
No.153 投稿者 : にらいぬ 2004年11月15日 00:51
CKさん はじめまして、にらいぬです。TBありがとうございます。
確かに、CKさんが感じられているように、WEBのアクセス傾向は大きく変わりつつあるようです。
かつて新聞社などが主張してきた「情報をいかに自分のものとして囲い込むか」という考え方から、今後BlogやRSS、アグリゲーションサイトが一般化した時代の「情報をいかに使ってもらうか」という方向へ発想の転換ができないところはどんどん厳しくなってくるでしょうね。
では、今後ともよろしくお願いします。
No.158 投稿者 : CK 2004年11月15日 17:32
●にらいぬさん
はじめまして。渡辺聡さんのBlogの件をきっかけに、「RSS+marketing」を
毎日拝見させていただいております(_ _)m 今後とも宜しくお願い申し上げます。
にらいぬさんの仰るとおり、「囲い込み」から「オープン連携」に向かう流れがおぼろげながら見えてきたような気がしています。
「性能が十分でない時は垂直統合を、性能が十分に達した時は水平分業をせよ」という言葉がありますが、
RSSが切り開き始めている世界というのは、情報産業の水平分業化なのかもしれません。
CMS(blog)とRSSは、水平分業に必須となる「モジュール化」と「インタフェースの整備」を作り上げているのかもしれませんね。
導線についての考察。
コメントしましょう