創業者を「満たす」ものは何か - Googleと、Amazonと、楽天と、

2004/10/05

梅田望夫・英語で読むITトレンド
[ Amazon、Yahoo!、eBayと楽天は何が違うのか ]
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001706.html
梅田さんが2回ほど、楽天・ライブドア等の日本のネットサービスと、
Amazon、eBayなどの北米のネットサービスの類似性、及び、
それらと比べたGoogleの異色さについて述べておられます。
 
本文中にも引用されていますが、楽天の(GREEの)田中さんの記事と合わせて、
[梅田さん9/29の記事] → [田中さん10/3の記事] → [梅田さん10/4の記事]
という順で読み進めると色々面白いかもしれません。
 
お二人のAmazonや楽天などの企業に対する見方は、概ね一致しているように見えます。
『 AmazonやeBayは楽天やライブドアと同じような「生活密着型」サービスであり、
ネットビジネスの王道である。そして一方のGoogleはテクノロジ・セントリック
であるが、楽天やAmazonの技術レベルがこれに劣っているという意味ではなく、
他社が容易に真似できないという意味で技術レベルが高いことに変わりはない 』
という論旨です。
 
「楽天は日本国内に閉じたビジネスなのに、Amazonはグローバルで成功している」
 
という見方に対して田中さんは、言語障壁が最大の問題であることを指摘しています。
つまり、英語圏の場合は全く同じシステムでより大きなパイを最初から対象にできる
のに対し、日本語圏の場合は初期マーケットが小さいこと。そして初期マーケットと
異なる方面(ex. Amazon→日本)に進出するためのローカライズコストの捻出には、
初期の「スケールメリット構造」の確立が何よりも重要であるというわけです。
Amazon.co.jpの成功は、大Amazon.comの「のりしろ」に因るという見方ですね。
 
ではGoogleは・・・、と、話は尽きないのですが、
その辺りの深い掘り下げはリンク元をご参照頂くとしましょう。
 
 
さて、こうした「ビジネスの色の違い」を考えるとき、私が絶対に外せないと
思っている要素が1つあります。それは 「創業者」の意思 です。
もっと判りやすく言えば、
 
 創業者は何によって精神的充足を受けるのか
 
という、ビジネスの「色」を決める根本的な要素です。
「楽天の三木谷さんは技術に興味がない? いやいや、三木谷さんだって
技術をとても重視して・・・云々」という押し問答を繰り返すよりも、
より本質的な問いはコチラのほうです。
 
 「楽天の三木谷さんは 技術を極めることで満たされる か?」
 
・・・ワリと「No」っぽいですよね(^_ ^; 同じ問いをライブドアの堀江さんや
Amazon.comのBezosさんに向けてみましょうか。やっぱり「No」っぽいです。
(この中では堀江さんがまだ一番「Yes」に近いほうなのかもしれません)
 
ではGoogleのBrinさんとPageさんに同じ問いを向けたらどうなるでしょう。
もしかして「Yes」が 返ってくるかも? と思わされませんか。
同じ問いをGatesさん(Microsoft)に向けたら? Jobsさん(Apple)は・・?
 
単純なことではありますが、「経済のチャンピオン」を目指す人の判断基準と、
「技術のチャンピオン」を目指す人の判断基準は、常に互いを「異色」と
認識させるほどの違いがあります。「経済のチャンピオン」は、
技術も技術でないものも、取り得る戦法は全て視野に入れて
benefitを作り出そうとします。一方の「技術のチャンピオン」は、
技術によって新しいことが実現できることに喜びを感じ、その技術を
磨く為の資金を捻出するために 経済を利用 しようとします。
 
Commerce Centric とTechnology Centric の間に、タイプ自体の
優劣は全くありません。ただ、次々に訪れるビジネスの分岐点に対して、
この「創業者が優先的に満たそうとするモノ」の違いが大きく影響するため、
端からは互いに「異質」な選択が続けられていくように見えます。
当然のことながら精神的充足の要素は、Commerce と Technology だけで
白黒に語られるものでもありません。私のイメージではむしろ、
Commercial Target と non-Commercial Target (Purpose Oriented)に分かれ、
Purpose の1つが Technology である、という考え方のほうがしっくり来ます。
Technology への執着からもららされるものとは、知的欲求の充足であり、
また、「自然法則をその手で御する」という征服感にも似た感覚なのです。
 
有名なあの創業者を「満たす」ものは何か? そんな考え方でビジネスの世界を
見つめると、「不可解な一手」にも面白い理由付けができるかもしれません。
私の デジモノREVIEW は Technology Centric ではありませんが、
では Commerce Centric なのかと言われれば、これもやっぱり「No」でしょう。
私の精神的充足は 「 デジモノに埋もれる 」 ことで成り立っているのですから :-)


2004/10/05 [updated : 2004/10/05 12:11]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
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▼ コメント ▼

No.7   投稿者 : やぎ   2004年10月 8日 02:32

はじめまして。やぎ@doblogです。
創業者は何によって精神的充足を受けるのか
とても面白く読めました。
私自身livedoorやgoogleには好感を持っており楽天やamazonには反感を持っていた者でして、自分の頭の中を整理していただいたような、清々しい状態です。


No.8   投稿者 : CK   2004年10月 8日 09:20

●やぎさん
はじめまして、いらっしゃいませ(=´∇`=)ノ お読み頂きましてありがとうございます。
本田総一郎氏がずっとレースを追い続けたたように、創業者の「快感」が何処にあるのか、
という問題は、ずっとその企業の「色」を決め続けていきますよね。Googleは創業者が変わらない限り
ずっとCOOLにGEEKな企業であり続けるような気がします(それがビジネスの成功に繋がるかどうかは別問題ですが)。

私は実は、楽天もAmazonもlivedoorもGoogleも、どれも同じように大好きです。
私にとって余り印象が良くないのはオールドエコノミーと呼ばれる企業ですね( ̄▽ ̄;)



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