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2007/09/18 23:59 - 2007/09/18

ニコニコと「アイマス」と「初音ミク」 - 企業とユーザと鑑賞者の関係変化

カテゴリ : コラム タグ :

    曜日不定コラムです、こんばんは。先週の一番の話題といえば、
    やっぱり 初音ミクを巡る職人の掛け合い芸 です。
    期間は9/3~9/11、わずか9日の出来事でした。
     
    ■ニコニコ動画 tag「初音ミクが来ない?来た?」
    http://www.nicovideo.jp/tag/%E5%88%9D%E9%9F%B3%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%81%8C%E6%9D%A5%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BC%9F%E6%9D%A5%E3%81%9F%EF%BC%9F?page=1&sort=f&order=d
     
    まだご存じない方は、まとめ動画がありますのでそちらをご覧ください。
    AmazonでVOCALOID2を注文したのに一向に届かない「ワンカップP」が
    初代VOCALOID「MEIKO」を使って哀愁の動画を上げると、
    既にVOCALOID2が届いているほかの職人たちが
     
     ミクの声で楽しく喧嘩を売って煽るという
     
    職人たちの無言の信頼関係が成したちょっといい話(?)です。
     
    ■初音ミクが来ない?来た? (最終版)

     
    まとめ動画には出てこなかったのですが、「くまうた」もいます。
    正直、キミは早すぎたw
     
    ■くまうた(31) 『我は萌えに屈せず』 唄:白熊カオス

     
    そのほか、初音ミクの快進撃については、
    なつみかん。さんのまとめも一緒にご覧ください。
     
    ■なつみかん。「VOCALOID2「初音ミク」が始まりすぎな件について」
    http://tangerine.sweetstyle.jp/?eid=709255
     
     
     
    さて、初音ミクの話題が一通り済んだところで(済んでない)、
    先週すこしだけ触れました アイマスMADにまつわる企業とユーザの関係
    について、初音ミクの件も交えてお話をしていくことにしましょう。
     
    先週わたしは、アイマスMADが単なる「黙認」ではなく、
    すでにゲーム会社として積極的に後押ししても良い状態にまで
    達しているのではないかという点に触れました。
     
    ■2007/09/07 [MADが「適度な黙認」を目指せる状態というのをふわふわと考えたり]
    その点、アイマスは少なくともゲーム会社とは非常に珍しい
    構造で良好な関係にあるようです。2の飢餓感をアイマスMADで
    満たされてしまうという意味では実はアイマスMAD自体もゲームの
    売り上げ減の要因とされ兼ねないのですが、その一方で、アイマスは
    ダウンロードコンテンツの売り上げ が飛びぬけています。

     
    「見たらおしまい」のTV番組・アニメ・映画と違い、ゲームはそれそのものの
    体験が売りということもあって、より黙認をする意義を見出しやすいのですが、
    アイマスMADはそういう一般的なゲームとしての黙認よりもさらに進展を見せています。
     
    通常のゲームであれば、
     
    ・パッケージ販売ゲーム → ゲームソフトの販売本数 を増やす
    ・オンライン課金ゲーム → 継続的な利用者 を増やす
     
    ということが最終目的になります。それはつまり、「傍観者」であった人を
    「プレイヤー」にするという変換が収益をもたらす構造です。
    ゲーム会社がMADを黙認しやすいのは、こうしたMADがネットに流れることで、
    この 「MAD鑑賞者→プレイヤー」 という変換が起こることを期待するからです。
     
    ところが、アイマスMADの構造は少し違います。
    それが ダウンロードコンテンツ(DLC)の販売 です。
     
    Xbox360の国内の販売台数がそもそも40万台程度であることもあり、
    アイマスの販売本数はせいぜい5万本と言われていますが、
    一方でDLCの売り上げは1億円を突破しました。DLCの売り上げが
    パッケージの売り上げの半分にまで到達している計算になります。
     
    では、アイマスのユーザがこぞって衣装などのコンテンツを買い漁っているのか
    というと、おそらくそんなに皆がみんな購入しているワケではないでしょう。
    そう、DLCのお得意さんはまさにアイマスMAD職人さんたちなのです。
    これはアイマスMADをご覧になっている方々にとって容易に想像できるでしょう。
     
    ちなみにアイマスMAD職人さんは通称 「アイマスP」 と呼ばれます。
    ゲーム内で用いられるプロデューサ(=P)という敬称を用いて、
    それぞれ「○○○P」というネットの通り名を持っています。
     
     
    ここで、さきほどの企業とユーザの関係の構造という話に戻ってみましょう。
    ゲーム会社はDLCで利益を上げることが重要課題になりますが、前述の通り、
    DLCをガンガン購入してくれる人のほとんどはMAD職人、つまり「アイマスP」です。
     
    では、これは 「一部の超コアな人に絞った販売戦略で大当たり!」
    という図式なのかというと、そういう単純な構図でもありません。
    なぜなら、アイマスPがDLCを購入する背景には、
     
     その何十倍という人数の「アイマスMAD鑑賞者」の存在が
     
    欠かせないからです。アイマスPの方々は、大勢の鑑賞者に対して自らの
    作品を披露し、賞賛を浴びることで充足を得ます。その新しいネタ仕込みが
    効果的に行えるのであれば、DLCの購入は痛手でも何でもありません。
     
     ゲーム会社 → アイマスP → アイマスMAD鑑賞者
     
    この連鎖構造があって初めて、ゲーム会社はアイマスPからのDLC購入を期待できるのです。
     
     
    でもちょっと待ってください。その 「鑑賞者」 というのは、
     
     従来の定義から言えば 「ゲームを買ってくれない人」 のことでは?
     
    そのゲーム(アイマス)そのものは買わないし、そのゲーム関連でお金を落とさない人、
    そういう鑑賞者に対して、自らのクリエイティビティを発揮するPという存在、
    そしてアイマスは今まさに、Pへのアイテム販売を主な収益源としているのです。
     
    プレイする「人数」を増やすことがゲームの収益だと考えていた
    今までの業界の構図には当てはまらない何かが、ここにはあります。
     
     
    VOCALOID2「初音ミク」 もこの構図にかなり当てはまるところがあります。
     
    VOCALOID2(初音ミク)はすでに3千本を売り上げたそうですが、
    発売からまだわずかの期間でこれだけの本数を売り上げるというのは
    音楽編集ソフトというジャンルでは 異例の本数であるといいます
     
    では初音ミクを購入する人が何を求めているのかというと、
    それは勿論、自室で自分向けだけに喋らせたいからではなく、
    ネタ作品を作ってネットに公開し、注目を集めたいからに他なりません。
     
     ソフト会社 → ネタMAD職人 → ネタMAD鑑賞者
     
    という構図をアイマスPと同じように思い浮かべてみてください。
    VOCALOID2に対しては 全くお金を落とさない多数の鑑賞者 に囲まれることで初めて、
    ネタMAD職人の方々がVOCALOID2を購入する土台が出来上がる構図になっています。
    こうした「多数の鑑賞者」の存在が、直接的にお金を落とさないにも関わらず
    ビジネスのプレイヤーとして重要な位置を占めていることは注目に値します。
     
    アイマスと初音ミクが違うとすれば、初音ミクは職人に対する追加コンテンツの
    販売を行っていない点ですが、これはいずれアイマスと同じように追加コンテンツを
    販売していけるであろうことはVOCALOID2の成功によってほぼ裏付けられたといえます。
    初音ミクがあくまで「1人目」 であることは開発陣からも公言されていますし、
    今後は職人が喉から手が出るほど欲しい追加音声、追加エフェクトなどの
    周辺コンテンツが有料で登場してくるでしょう。
     
    アイマスと同じで、最初は純粋にそのソフトの動作を楽しみたかった人に
    パッケージを売っていたものが、Step.2からは特に高いクリエイティビティを持つ
    一部の職人をターゲットにしてよりクオリティの高いネタ動画を作るための
    プラグインが売られるようになると思われます。(これはもちろん想像の域を出ません)
    VOCALOID自体の位置づけも、いまは「VOCALOIDを使って○○してみた」的な動画が
    ほとんどですが、そのうち自然にあちこちの動画に溶け込んで使われるようになるでしょう。
     
    そう考えるとVOCALOIDは「よく出来たコンテンツ制作ツールの1つです」という、
    音楽編集ソフト業界としては真っ当な地位で評価されることになるのですが、
    逆にいえば、
     
     アイマスがそれと同じポジションにいるということのほうが
     
    奇妙な現象なのかもしれません。アイマスはいまや、バーチャルアイドルクリップ
    制作ツールとして、多くの職人の技を受け止め、さらに多くの鑑賞者の支持を得ている
    「コンテンツ制作ツール」になってきていると思うと、今後の様々な展開に思いが巡ります。
     
    アイマスは少なくともゲームの健全なビジネスを模索する上で、副次的に上記のような
    新しいユーザとの関係性の構築を提示することとなりました。ここでは鑑賞者たちが、
     
     ゲームのプレイヤーではないにも関わらず
     
    ビジネスの重要なプレイヤーの1つになっているのです。
     
     
    なお、このゲームに於けるプレイヤーと鑑賞者(観戦者といっても良いかも)の
    分離によって何が起こるか、というのは、私が随分前からもやもやと考えている
    テーマの1つです。そのあたりはまた別の機会に触れてみたいと思います。

    CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
    ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。



    投稿者 CK : 記事URL | コラム | | 2007/09/18 23:59


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    No.15039   投稿者 : こね   2007年9月21日 22:37

    うん、そのとうりだと思う
    上手な文章ですね


    No.15064   投稿者 : K.Yz   2007年9月24日 01:06

    初音ミク関連から流れてきた者ですが、なぜかアイマスMADの方にレスを。(笑

    ええと、ちょっと下記のニコニコ動画の下に、アマゾンのアイマス関連の広告がありますので、見てみて下さい。
    http://www.nicovideo.jp/watch/sm812141

    動画自体は今はあまり関係ない(ちょうど、この動画に全部のCDの広告が貼られているので選択した)ので置いといて、気になるのが各CDの売り上げ枚数です。
    9月23日時点で、合計 約8,400枚(売上高1,900万円強)になっています。

    雪歩の分がこれから出ることを考えると、最終的には合計10,000本近くまで行く可能性があります。 アイマスはそれほど大きな市場ではないはずですが、アマゾンの分だけでニコニコ経由が2,000万円以上の売り上げとなれば、これは馬鹿にできません。

    MAD鑑賞者がお金を落とさないというのは、ちょっと早計のように思います。実際には、かなり影響を受けているのでは...


    No.16299   投稿者 : 匿名   2007年11月11日 15:38

    バイオハザートのように、ゲームはやらないけど、
    プレイしてる様子を見て楽しみたい人はいますね。


    No.17118   投稿者 : jabber   2007年12月14日 09:11

    参考になります。
    この構図は面白い。


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