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2005/06/19 21:51 - 2005/06/19

情報をめぐるポジティブ・ループ - ギブアンドテイクの波

カテゴリ : コラム タグ :

    日曜コラムです。こんばんは。
    今日はちょっと古めの話題を掘り返してみます。
     
    前々から はてなのnaoyaさん が、事あるごとに繰り返し述べている、
    こんな一節があります。有名なお話ですので、ご存知の方も多いでしょう。
     
    ■ビジネスサプリ「分かりやすい情報処理の仕方」伊藤直也さん
    http://www.lifemile.jp/m/mytime/supli_050222.html
    「でも、あまりウェブも見すぎないようにしています。
    ウェブはリンクが延々とあって、情報を集めだすときりがない。
    ある程度でやめて、アウトプットに時間をかける。
    僕だったらブログに『こんなのがあったよ』と発信する。
    情報っていうのは発信するところに集まってくる んです」

     
     「情報は発信するところに集まってくる」
     
    氏のオリジナルなのかどうかは判りませんが、非常に説得力のある言葉です。
    実際、私もブログを使った情報発信を長いこと続けていますが、自分から
    外向きに情報を発信することが如何に重要かを、肌で感じることができます。
     
    この情報発信をめぐる give & take のメカニズムは、それほど不思議な
    マジックで出来ているワケではありません。キーポイントになるのは、
     
     情報は、他者との対話によって洗練・増幅される
     
    という仕組みです。ちょっと簡単におさらいをしてみましょう。
     
    単純に考えて、情報は1人で考えるよりも、大勢の人々で出し合ったほうが
    より沢山の有益で洗練された情報を集めることができるのは自明でしょう。
    大量の情報を1人で必死に収集することも大切ですが、その結果導き出された
    まとめ情報や自分の考えが、他者から賛同されるのか、それとも非難されるのか、
    また、完璧な情報なのか、それとも突っ込みを受けまくるのか・・・・、
    情報自体を公開してみない限り、それを知ることはできません。
     
    情報を晒し、他者との対話チャネルをオープンにすれば、その情報が
    他者からどう思われるかを知ることができ、また間違いや追加情報の指摘を受ければ、
    情報自体をより洗練されたものにグレードアップさせることができます。
     
     「情報を大人数でデバッグする」
     
    対話の連続によって生み出された情報というのは、「ひと1人の世界」という
    限界に縛られない、大きな力を持った情報に育っていく可能性があるのです。
     
     
    では、情報を公開さえすれば、大勢の他人がそれを洗練・増幅してくれるのか?
    といえば、いいえ、そんなことはありません。誰も好き好んで、他人の情報を
     
     ボランティアで洗練・増幅してくれる義理はない
     
    でしょう。洗練・増幅した後の情報は、情報を出し合った人たちの 「共有知」
    として己の財産にもなる、それは判っているとしても、誰のところに集まって
    誰の情報をベースに洗練・増幅を行えばよいか、という判断が無ければ、
    非常に非効率な 情報洗練プロセスが、場当たり的に発生してしまうだけです。
     
    私は以前、Webサイトを運営するための心得として、自らにこんな言葉を
    言い聞かせていたことがあります。
     
     「Webサイトで give & take が成り立つのは、軌道に乗った後である。
      それまでは ひたすらに give & give を繰り返し、来訪者が
      居ても居なくても、とにかく継続的に発信を続けなければならない。」
     
    自分のディスクの中を漁って見ると、2003年頃にはこんな考えを既に持っていた
    ようですが、今にしてみると、前述したnaoyaさんの考え方と合致しています。
     
    give と takeには 「順番」 があり、そのバランスには 「波」 があるのです。
     
    giveの無いところにはtakeは発生しません。だからまずgiveを行います。
    しかし悲しいかな、 少量のgiveにはtakeは返ってきません
    信頼ポイントの貯まっていない初期のWebサイトに於ける give & take のバランスは、
    明らかに give のほうに振れています。この時点で多くのWebサイト管理者が、
     
     「giveをしてもちっともtakeが返ってこない」
     
    と失望して諦めてしまうようです。
     
    この段階を乗り越えて、takeなきgiveを続けていった人には、そのうち少しずつ
    takeが返ってくるようになります。それは有用な情報を大量にgiveしてくれた
    情報発信者に少しずつ信頼ポイントが貯まり、それに報いたいという読者の方々の
    想いが形になってくるからです。有用なgiveが延々と続けられば続けられるほど、
    信頼ポイントは貯まり続け、情報を求めて多くの人々が集まってくるようになります。
     
    giveの情報に対して一定量のtake情報が得られるようになると、
    知識は対話による洗練・増幅の影響を受け始めます。これが、
     
     情報をめぐるポジティブ・ループの始まりです。
     
    情報自体が場によって洗練・増幅されるという 「1周ぶん」 の影響だけを考えては
    いけません。最も重要なのは、「2周目」 からなのです。洗練・増幅を受けた情報を
    情報発信者が知識として取り込むと、必然的に 「次のgive」がレベルアップ します。
    つまり、give → take →give → take → ・・・ を繰り返すことで、情報を
    洗練・増幅させるための「ベース」となるgive情報自体が洗練されていくのです。
     
    takeの恩恵を受けて、giveを洗練させていく、この繰り返しを続けると、
    giveとtakeのバランスは次第にtake側に比重を移していきます。
     
    最初は10のgiveを出しても、0のtakeしか受けられなかったでしょう。
    しかししばらくすると、10のgiveを出すと、5のtakeが受けられるようになります。
    それはいつしか、10のgiveで、20のtakeが返ってくる状態へと変化していくのです。
    それは何故か? つまり自分は同じ10のgiveを出しているつもりでも、対話による
    情報の洗練と増幅を繰り返し取り込んでいった自分自身が生み出す情報が、
    「同じ10のgive」ではなくなっている からなのです。
     
     
    「情報赤字」 であることを覚悟して、最初にひたすら有用なgiveを続けることができるか、
    それが将来の give & take のポジティブ・ループを作り出す重要な「種」になります。
    まるでビジネスに於ける 投資と回収のサイクル のようではありませんか。
     
    ビジネスの投資が狙い通りに進まないのと同じように、情報のポジティブ・ループも
    狙って確実に作り出せるものではありません。それでいて、有益だと思ってもらえるレベルの
    情報発信を継続して行うのは、実は 並々ならぬパワー を必要とする作業です。
     
    私はこの、「情報は、発信する人のところに集まる」という概念が、
    非常に他者に説明しにくい概念であることを、自己の体験から思い知っています。
    上で述べたような話をすると、多くの人がこう言うのです。
     
     「ほほう・・まぁ、理屈的にはそうかもしれんけどねぇ・・・」
     
    一見、頭では理解はしているように見えて、心ではまるで信じていない
    そんな反応を少なくない方々から受けました。それは多くの人にとって、
    この現象を「自己の体験」として感じる場がほとんど存在していないからです。
     
    反応が有っても無くても、ひたすらに有益な情報を発信する、そんな行動を
    延々と続けるという経験は、おそらくは多くの人々にとって 未体験ゾーン なのです。
    その未体験ゾーンに今、少なからぬ人たちが足を踏み入れようとしています。
    延々と情報を発信し続けるツール、そう、ブログの登場 がその契機になろうとしています。
     
    長くなりましたので、今回はここでひとまず〆です。もう1つ重要な点として、
    「情報を集める人」と「情報を伝える人」 の違いを、人間と人間の関係の作られ方
    をもとに考えてみたいと思っていたのですが、それはまた別の機会にしましょうか。

    ※追記 続編を書きましたので、そちらもご覧ください。(2005.06.26)

    CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
    ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。



    投稿者 CK : 記事URL | コラム | | 2005/06/19 21:51


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    ▼ コメント ▼

    No.1376   投稿者 : HgCdTe   2005年6月19日 23:21

    これまでの経験から、「情報を集めようと努力している人」には
    情報は集まらず、「情報が集まってくる人」には雪ダルマ式に
    情報が集まっている様に感じていました。

    CKさんの論旨から、後者は既にポジティブ・ループが回っているのに
    対して、前者は最初の10のgiveを出していないから、情報が集まら
    ないのも当然と理解でき、すっきりしました。

    情報過多の時代ですから、アウトプットを意識してインプットを
    集めないと、時間だけ取られ消化不良になってしまうんでしょうね。


    No.1387   投稿者 : CK   2005年6月25日 15:14

    ●HgCdTeさん
    情報が雪ダルマ式に集まってくる光景というのは良く見かけますよね。
    そういうのを見ると本当に羨ましく思うばかりですが、
    そういう人にとって大抵の場合、収集のための瞬発力的な努力というのは
    あまり意味を成していなくて、そこには日ごろの小さな発信努力というのが
    大きく関係しているように思います。その辺りは次回のコラムで考察してみます('◇')ゞ


    No.1394   投稿者 : ひでき   2005年6月27日 22:22

    そーなんですよね、波なんですよ、きっと。

    ああ、全然私がうまく表現できなかったのに...すばらしいの一言です。


    No.1406   投稿者 : CK   2005年7月 2日 14:22

    ●ひできさん
    ありがとうございます。giveからtakeまでの時間差というのは、計算できるものでもありませんし、
    「takeなきgive」を続けることの重要性も、なかなか実感できにくいですよね~。
    でも実感されている方にとっては案外とフツウのことだったりして、奥が深いです(´▽`)


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