URLというブランド力 - 機械処理を介して繋がる人々

2005/05/15

日曜コラムです。こんばんは。
 
週末にふと、気が付いたことがありました。このブログのトップページの
右下に貼っていた feedmeter が 星2つ になっていたのです。
いつもご覧頂いている皆さまには本当に心よりお礼申し上げます。
 
奇しくもちょうど半年前の記事で、私はこんなことを書いていました。
 
■2004/12/16 [継続は力なり - feed meterに見る「場所(URL)」というブランド力
継続は力なり - feed meterに見る「場所(URL)」というブランド力]
 
Doblogでブログを書き始めたのは 2003年12月2日 でした。
この場所(MT版)に場を移したのは、それから10ヵ月後の 2004年10月7日、
更に2ヵ月後の 2004年12月16日 、私は両ブログのfeedmeterの値が、
 
 旧ブログ(Doblog版)=「 2.1 」移行先(MT版)=「 1.7 」
 
であることを知り、継続的に使い続けたURLの強さ を感じました。
そして、それから 更に5ヶ月も費やした 2005年5月13日、ついに、
 
 旧ブログ(Doblog版)=「 2.0 」移行先(MT版)=「 2.0 」
 
星が並ぶところまで来ました。それでもまだ並ぶだけで精一杯です。
(Doblog版の実質キャリアは10ヶ月、MT版のキャリアは7ヶ月)
 
実はfeedmeterだけでなく、Googleに於いても、私は一人でヤキモキしていること
がありました。キーワード「デジモノ」による検索結果 で、やはり
しばらくの間、「旧Doblog版 > 新MT版」 という関係が続いていたのです。
これも結局、逆転するまでに数ヶ月を要することになりました。
 
 
URLを引越しするということは、思った以上に 重大な決断 です。例えばGoogleの
PageRankの仕組みを考えれば判りますが、他のサイト様から張って頂けるリンクという
ものは、「サイト評価に 一票を投じて くれる」「訪問者を 誘導して くれる」
という 2種類の意味 に於いて、自分のサイトのメリットに直結する大事な要素です。
 
これはちょっと考えれば判りますが、リンクは基本的には、増加する方向にしか
変化しません。ほとんどの方は、わざわざ手間を掛けてまで、一度張ったリンクを
削除するようなことはしないでしょう。するとリンクの獲得というのは、
 
 年月を掛けて「蓄積」していく性質のものであって、
 
同じクオリティのサイトなら、同じURLを長期間使い続けているサイトのほうが
俄然有利になります。
 
これが昔のWebなら、もう少し事情が違いました。
 
 「サイト引っ越しましたー」
 「ほいほいー、ブックマーク変更 しておくねー」
 
このやり取りは、訪問者の方が運営者である 「あなた」 を見ているからこそ
成り立つやり取りです。「あなた」が何処に場を移そうとも、「あなた」の
コンテンツを読みたいと思ってくれる訪問者の方は、それを認識してくれます。
 
ところが、Googleはこれとは違いました。feedmeterも違いました。
BloglinesなどのRSSリーダも、はてなブックマークも、やはり違うでしょう。
コンピュータで実装されたこれらの 機械処理サービス たちは、
「あなた」自身ではなく、「URL」という記号 だけを見ているからです。
 
旧URLに「移転しました。移転先のURLは△△△△△です。」と書くことは、
人間の訪問者に対しては有効ですが、上記のような機械処理サービスの前には
無力 です。こうして、URLという記号に対して積み上げられた過去の資産は、
URLの変更に伴って引き継がれることなく、ネットの中に浮遊 してしまいます。
 
 
何をいまさらアタリマエのことを・・・、と仰られるかもしれません。しかし、
仕組み的には当たり前でも、社会環境の変化 とセットにして考えると、
そう軽くあしらえるような問題でもないような気がしています。それは、
 
 「機械処理結果を介したアクセス」の比率が高まっている
 
という変化です。実は少し前にこんなお話がありました。
 
私の旧ブログ(Doblog版)を定期的に巡回してくださっていた方がいました。
仮にAさんとします。Aさんは、私のブログが新MT版に場を移していることに、
 
 数ヶ月もの間気が付かなかった
 
というのです。Aさんは RSSリーダ に私の旧ブログを登録していました。
しかもそのRSSリーダは ティッカー型 でした。私の旧ブログを、
そのティッカー型のRSSリーダという小窓を通して見ていたAさんは、
 
 そういえば最近、デジ埋のエントリがないな~
 
と思いつつ、それ以上原因を調査するには至らなかったそうです。
 
もし、そのRSSリーダがティッカー型でなかったとしても、程度の差はあれ
結果は同じでしょう。RSSリーダでは「新着記事」というイベントが認識
されなければ、ただの 無更新サイト として淡々と処理されるだけであり、
ユーザはそれに気が付くことはおそらくありません。
 
実は、はてなアンテナや、Bloglinesなどの登録に、私の旧ブログへの登録が
未だに多く残っています。feedmeterの値もそれを物語っているように見えます。
 
発生するメリット/デメリットの内容は違えど、Googleや、はてなブックマークで
生じ得ることもこれと同様です。旧URLから新URLに移転した際、これらの機械処理
サービスは、「旧URLが注目されていた」 ことを執拗に覚えてくれていますが、
新URLの主が旧URLでどれだけの実績を積んだかということに一切、関知しません。
 
訪問者とあなた(サイト管理者)の間に、そうした機械処理フェーズが挟まっている
ような構図を考えると、あなたがURLを変更した瞬間に、あなたと訪問者の
接点も同時に切れてしまう という可能性は、決して低くないのです。
 
検索ボット、ブログ、RSS、ソーシャルブックマーク、・・・・、etc.
今はまさに、URLという記号が機械処理されまくる時代 です。
そして訪問者が、その機械処理結果を介してアクセス行動を起こす時代です。
だからこそ、単一URL のブランディングという視点は、とても重要になって
きています。それは訪問者に対するブランディング? いいえ、違います。
 
 機械処理サービスに対するブランディングです。
 
機械処理サービスに対するブランディングは、URLの読みやすさ 等を考慮する
必要は一切ありません。ただ ひたすらに同一のURLを用い続ける こと、
それだけが重要なポイントとして認識されます。
 
良い環境のブログサービスを求めて、ブログを引っ越す方々を多く見かける昨今ですが、
そんなとき、URLを機械処理サービスに対してブランディングすることの意義を、
ちょっとだけ頭の片隅に留めておくのも良いかもしれません。以前だったら、
「機械評価は切り離されても、『人』の関係は継続される」と胸を張って言えました。
でも今は、機械処理を介して繋がっている『人』 が、沢山存在するのです。


2005/05/15 [updated : 2005/05/15 23:59]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




« デジモノREVIEW登録ブログの新着記事リスト「ブログ・クリップ」

トップに戻る

あの垂直磁気記録「MK4007GAL」が思ったよりも早く登場! »


▼ はてなブックマークのコメント ▼

Kazabana 2005/05/16
機械処理サービスに対するブランディング、つまりただひたすらに同一のURLを用い続けることが重要、と。
はてなブックマークで
コメントしましょう


Vの数字:VTuberの配信のいまを「生配信」「編集動画」「ショート」の分類と配信時間から読み解く試み


【にじフェス】ライバーとリスナーが互いの「実在性」を確認し合った日 ~「にじさんじフェス2022」 in 幕張メッセレポート


「にじさんじ甲子園2022」熱狂を駆け抜けた1カ月。充実した「解説」がエンタメを加速する


トウカイテイオーと、#ウマ娘 でまた巡り逢った。テイオーを追ったリアルタイムの記憶。


映画は2回目が面白い! 僕らは鑑賞者という名の「共犯者」 ~映画鑑賞に於ける慣れと鑑賞技術の関係


「爆音上映」と「辛口ブーム」、映画の上映に於ける音量のラベリング


日本シリーズの最後のシーン(西岡選手の守備妨害)の解釈と、スポーツのルールとコントロール


モノクロレーザーのある生活 - とりあえず印刷(だ)して持って行く習慣


「スマートビエラ」が踏み抜いたというARIBの「放送の一意性確保」ルール


終わってしまった「Amazonガチャ」のサービス検証 - 変われる道はあったのか?


ドリフの思い出と"おとうさん"の言葉 - 「俯瞰的錯誤」のお年頃


「同い年の選手」が引退するニュース、そしてアニメの中の「おじさん」

ピックアップタグ




ブログ内検索



▼ コメント ▼

No.1218   投稿者 : HgCdTe   2005年5月20日 00:50

一昔前、検索ロボットが悪さをする事が、話題になっていた様に思います。

定期的で絨毯爆撃的な、言い換えれば定常的な、コンテンツ収集に対して
WeblogのトラックバックやRSSなどの非定常でピンポイントのトラフィック+
bookmarkやリンクからのアクセスの比率って、そのサイトの人気度合いを
表しているのではないでしょうか。

デジ埋さんサイトは、どんな按配なんでしょうか。


No.1222   投稿者 : CK   2005年5月20日 17:31

●HgCdTeさん
検索ロボット自体の無機質なアクセスはともかくとして、
一般訪問者さまのアクセスには「固定ファン」と「通りすがり」の2種類がありますね。
固定ファンの場合は、ブックマーク、アンテナ、RSSリーダ、
通りすがりの場合は、検索エンジン、トラックバック、別のブログから個別記事へのリンク、
あたりが主な入り口になると思います。ところが、
 
これを厳密に判別する手段というのが、正直なところ、ありません(;´д⊂)
 
・「referer情報が無い人が固定ファンだ」
 →2ちゃんねるにURLが貼ってあった場合、referer情報のない通りすがりさんが大量発生します。
 
・「トップページにアクセスしてくるのが固定ファンだ」
 →RSSリーダを使っている固定ファンの方は、直接、個別記事へ飛んできます。
 
などなど。なかなか難しいとことがあります。
 
1つ面白いなと思ったのは、「うぱーのお茶会」のういろうさんがおっしゃっていたお言葉です。
 
 「通りすがりが多いサイトは、ページビュー(PV)に対するユニークユーザ(UU)の比率が高い」
 
実は先日5/8~5/9あたりにデジ埋でも、BCNネタで通りすがりの方が大勢来てくださったときがありましたが、
そのときの グラフを見ると、UU比率の高さはかつて無いほどでした。
これは確かに、UUの比率はサイトの特色を知る良い指標になるかもしれませんね。


No.1223   投稿者 : 松岡美樹   2005年5月21日 02:57

初めまして。松岡と申します。

貴エントリーを拝読し、
思いついたことをつらつらと書きましたので、
トラバ送らせていただきました。

よろしくお願い致します。


No.1226   投稿者 : CK   2005年5月22日 03:40

●松岡美樹さん
はじめまして(・▽・)ノ ご覧頂きましてありがとうございます。トラックバック記事も拝見致しました。
RSSの移転通知自動化については、案外近い将来にあっさり実装されたりするかもしれませんね。
 
「足でかせぐ」「汗をかく」を減らす便利さがもたらした影響というのもとても興味深いです。そうした時代に
パフォーマンスを発揮できる人とは、便利なツールを汗をかかずに使う人ではなく、昔ながらの汗っかきに回帰する人でもなく、
便利なツールを人の何十倍も使いこなす方向に「汗をかく」人なのかなと、漠然と考えたりしています。
 
今後とも宜しくお願いいたします。


No.1233   投稿者 : 松岡美樹   2005年5月23日 04:11

レス、ありがとうございます。

私はモノ系のウンチクがないので、こちらのブログはすっかり教科書になっていたりします(^^; 特に「コラム」カテゴリーは読み物として秀逸ですね。モノを切り口にしながら、これだけ新しい視点で「現象」を分析されているブログはほかにないのではないかと思います。こちらこそ今後ともよろしくお願い致します。


No.1241   投稿者 : CK   2005年5月23日 18:54

●松岡美樹さん
ありがとうございます。コラムについては、いつも頭のヒューズが飛びそうになりながらも書いております(苦笑
 
ちなみに、実は今回トラックバックを頂く前にも、松岡さんのブログは拝見させて頂いたことがありました。
確かネットの匿名発言に関する議論を辿ってたどり着いたものと記憶しています。
ネット人格論と匿名発言の織り成す価値について、私もまた大変強い興味を持っている一人です。
(過去記事: 「私たちがネットを通して見ているもの・築いていくもの」、等)
いずれこのテーマについてもコラムで再び書き綴る機会があると思いますので、宜しくお願いいたします(・▽・)ノ



★コミックダッシュ! 10,000人突破ありがとうキャンペーン!(9/18~10/23)
 
デジモノに埋もれる日々 : (C) CKWorks