それは自分だけの武器だったハズだった

2004/10/07

CEATEC JAPAN 2004:ブルーレイは大好きだがコピーワンスは大嫌い
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0410/06/news077.html
麻倉氏がこのような話をある会合で語った時に、
とある在京キー局の人がこう語ったという。
 
「放送は生で見るものです。アサクラさん」

CCCDは消費者から完膚無きまでに否定されました。次はコピーワンスの番です。
 
この「とある在京キー局の人」の言葉は、おそらく本音でしょう。
コピーワンスは、番組コンテンツを視聴者のモノにさせない
ために作られたのですから。
 
「高いお金出して作った番組を、録画ボタン1つで 自分のモノに
 しようなんてムシが良すぎやしませんか? 「番組そのもの」を視聴者に
 あげるつもりは更々無いんですよ。見る度にお金を払ってくださいな」
 
という主張こそが、コピーワンスの根幹です。この部分は誰しもが知識としては
理解していることですが、何故か議論になるとその点を避け、「コピーは何回
できるようにすれば満足か」といった機能の議論に矛先を逸らされがちです。
 
CCCDの件もそうでしたが、「娯楽としての商品価値」が明らかに低下するのを
承知でこうした制約を課してくる背景には、自身のビジネスの存続が危うい
という壮絶な悲壮感が隠されています。
 
今までは放送データを自由に切り貼りしたり、永久保存したりといった作業は
 
 プロの技と、プロの機材を使って
 
初めて成し得るものでした。。しかし、それが今や技術の発展によって、誰
でも簡単に出来るようになってしまったのです。例えばドラマの放映が
1クール終わった後、ビデオを1巻から順に発売しようとしても、視聴者は
既に CMを綺麗にカットした録画DVD を持っている・・・、
ワールドカップの名場面集を発売しようとしても、視聴者は既に自分の
好みにピッタリ合った名場面集 を作って持っている・・・。
 
「コンテンツを自由にさせたら、自分の食い扶ちが奪われる?!」
コピーワンスはそうした映像編集系の仕事に従事する人々の危機感の産物であり、
レコード会社のCCCDと同じく「追い詰められた選択」だと言えましょう。
 
私達はハッキリと態度に示さなければいけません。
 
「もう映像の切り貼だけなら誰にでもできるんだ。
 その仕事で食って行くことはできないんだ。
 その仕事を延命させるためだけに、不自由な制約を課すというのなら、
 私達は「TVよりもっと楽しい娯楽」を見つけていくしかないんだ・・」
 
仕事の延命に関連して、デジカメの例え話をしましょうか。
フィルムの現像をしていた「街の写真屋さん」は、今最大の危機に瀕しています。
デジカメが普及し、自宅でプリントする人が急増、あるいは自宅でなくても
コンビニで自動プリントできるサービスが台頭し始めました。
こうなると「街の写真屋さん」は、もう仕事として成り立ちません。
 
街の写真屋さんを食わせていってあげるには、方法は1つしかありません。
デジカメ・プリント・コントロール を導入して、デジカメで
撮った写真はパソコンに転送できないようにするのです。プリンタと
ダイレクト接続する場合なら 3回まで 印刷できるようにします。
それ以外は、街の写真屋さん以外は印刷許可を与えないようにすれば、
今まで通りみんな街の写真屋さんで印刷を頼んでくれるハズですよね?
 
・・・コピーワンスがやろうとしていることは、そういうことなのです。
そんな制約を付けることが前提だったら、誰も「デジタル」を便利だなんて
思ったりしませんでした。MP3プレイヤーも、デジカメも、HDDレコーダも、
コピー制御が強くなればなるほど「つまらない商品」になってしまいます。
 
 「つまらない商品には、お金を出す気は無いからね?」
 
このメッセージはいつまでも継続的に発信していきたいものです。
コンテンツがいくら「面白く」ても、鑑賞手段が「つまらない」
のであれば、総合して「楽しい」娯楽には成り得ないのですから。


2004/10/07 [updated : 2004/10/07 18:36]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
ブログ「デジモノに埋もれる日々」「アニメレーダー」「コミックダッシュ!」管理人。デジモノ、アニメ、ゲーム等の雑多な情報をツイートします。




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