iTMSのEU進出に立ちはだかった問題は、やはり権利清算?

2004/06/23

以前も[iPodとiTunes music storeは如何にしてクリエイタの理解を得たのか]で
ご紹介したSteve JobsのiPodビジネス論。再び梅田さんが取り上げています。

■[梅田望夫・英語で読むITトレンド]
 「オンラインミュージックは儲からない」と競合を牽制するスティーブ・ジョブズ
 http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001330.html

対象となっている原文はコチラ。iTMS (iTunes Music Store)の欧州進出に
関する英国でのインタビュー記事と、その補足記事(blog)です。

■Pump up the volume
 http://www.guardian.co.uk/online/story/0,3605,1239982,00.html
■More on Steve Jobs
 http://blogs.guardian.co.uk/online/archives/digital_music/2004/06/more_on_steve_jobs.html

梅田さんのblogで大まかな内容を理解しつつ、英語が苦手でない方は原文も楽しまれると
良いでしょう。Jobs氏は、iTMSという音楽配信が「儲けの少ないサービス」であって、
iPod販売で利益を出すための手駒にすぎないということを、これでもかと強調しています。
「音楽配信だけでビジネスになると信じている人の気が知れない」
とでも言いたげです。

ところでそのJobs氏の「16曲しか入らない50ドルプレイヤーなんてタダでも要らない」
という一節がありますが、50ドルプレイヤーといえば、何かと話題になったのはこんな話。

■「iPod対抗プレーヤーは50ドル」とMS幹部
 http://www.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0405/28/news019.html

「MSがiPodビジネスを潰すために50ドルiPodを?!」という噂が流れましたが、
これは後にうそぴょんちゃんであることが判っています。

■Yusuf Mehdi Address to Institutional Investors at Goldman Sachs 5th Annual Internet Conference
 http://www.microsoft.com/msft/speech/FY04/Mehdi052604.mspx
多くのメーカと協力して、iPodに負けないカッコよいプレイヤーが出るだろう。
我々が作るワケではないが、iPodより若干お買い得であったり、
あるいは映像まで見られる(でもちょっと高価な)デバイスもあるだろうし、
50ドル程度のお手軽なものだって出るだろう。
(意訳)

つまり何か秘策があるわけではなく、数あるハードメーカと協力して
「WMA陣営」がiPodに勝るように頑張るよ、というお話のように見えます。

ちなみにJobs氏が「16曲」という例えを出していますが、128Kbpsの場合、4分の曲を
16曲入れるために必要な容量は64MB。「50ドルプレイヤーなんてメモリは64MB、
せいぜい128MB積むのが限界でしょう?」というワケですが、この数字は、128MBメモリ
を搭載したプレイヤーが概ね1万円程度な現在の状況を正しく反映しています。

もう1つは、梅田さんのblogで取り上げられていない部分をPickUpしてみましょうか。
欧州でiTMSを立ち上げる交渉は難航したのかという質問について、Jobs氏の回答。
ある曲について、米国ではある企業が配布権を持っていたとする。
でも同じ曲について、英国では違う企業が配布権を持っている
ドイツでも、また別の企業が配布権を持っていたりする。
そしてこれらの間には中央データベースは存在しないから、
ある曲を売るときに誰に支払いをすれば良いのかがさっぱり判らない。
我々はレーベルとじっくり話し合い、この問題をクリアにしていった。
こうした権利関係の問題を解決するのが、一番時間の掛かった部分だ。
(意訳)

国内で輸入権に翻弄されている私たちにとっても、とてもとてもタイムリーな話題
だとは思いませんか( ̄▽ ̄;) 何処の国にでも既得権者は居て、同じことが問題に
なっているのです。ただし、「解決に時間が掛かった」とはいうものの、
双方が「どんな条件で納得したのか」については言及されていません。
他社のサービスでは、あらゆる曲が、曲ごとに違う権利範囲を持っている。
我々はそんなものは望んでいないし、ユーザは決してそんなことを
気に掛けたくない。例えばCDを購入するときに、どんな権利を
買ったかなんて気にしている人はいない。そしてどのCDでも(権利は)一緒だ。
思うにiTunesも、権利の扱い(と値段)がどの曲でも全て一緒だということが、
大きなブレイクスルーをもたらしているのだ。
(意訳)

難しい権利条件をユーザに意識させている時点でサービスとして失格だ、というワケです。
しかし、権利を一定にして判りやすくするのはとっても簡単です。本当に難しいのは
利用者の利便性を損なわない位置に権利を固定して、且つ既得権者を納得させるコトなの
ですが、iTMSが英独仏を丸め込んだ「カード」は、果たしてどんなものなのでしょうか?


2004/06/23 [updated : 2004/06/23 11:14]


この記事を書いたのは・・・。
CK@デジモノに埋もれる日々 @ckom
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