ネットで自分の場所を”作る”ということ

2004/02/27

関連するblog:梅田望夫・英語で読むITトレンド
「Blogでバーンアウトする人と、しない人の違い」
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001044.html
先週梅田さんの代役として書かれていた村山さんという方のblogと併せて、数回ほど
blogのバーンアウトのあり方に関する考察がなされています。大変興味深いお話です。
 
マイクロソフトのRobert Scoble氏のblogがバーンアウト(燃え尽きた ^_^;)事例を取り上げ、
「disparate audiences」すなわち人生に於ける背景が全く重ならない赤の他人の大群
と向き合うことがどれほどパワーの要ることか、ということを教えてくれます。
 
もう1つ、似ているような似ていないようなテーマが別の場所で話題となっています。
それが「儀礼的無関心」と呼ばれる議論です。これまた大変興味深い内容です。
関連するblog: blue&gold02さん[「儀礼的無関心」に関するエントリーを読んで思ったこと]
 
こちらの議論は「小さくのんびりと運営していたblogが、突然何かのきっかけで
巨大BBSや大手ニュースサイトなどからリンクされた途端にバーンアウトする」
という事態を問題視しているものです。村山さん、梅田さん流の表現をすれば
「ある日突然、予期していなかったdisparate audiencesに踏み潰される」
という危険性がすべてのサイトにある、と言うことができるでしょう。
 
 
普段、のほほんと他愛ないblogを綴っているように見える私ですが、実は
バーンアウトを発生させないことには最大限の注意を払っています。
そして管理者自身が望む「サイトの活発度」を如何に「狙い通り」
度合いに維持できるか、それがblogに限らず全てのサイトの管理者の
腕の見せ所であると感じています。ちょっとエラソウでもあり、(スミマセン・・)
またちょっと空論のようにも聞こえるかもしれません。こうした考え方は、私がblogを
「個人の望んだ関係を繋ぐネットの小窓」と称したこととも関係します。
 
まず少し単純なお話をすると、私は、断続的に訪れる「disparate audiences」に対しても、
管理者の平常心さえ保ち続けられれば、バーンアウトに至らないようにすることができる
と考えています。逆に言えば、「disparate audiences」によるバーンアウトというのは
管理者が、自身の望む規模を超えた対処を試みようとした場合に発生するのでは
ないか、という持論を持っています。blogに限らず、サイト運営者の方はおそらく何度かは、
自分が望まない方向へのflaming(激論から醜い罵りあいに発展するコト、荒れること)が
起きそうになった経験があると思いますが、その場合多くの管理者の方は、たいていは
「flamingを抑え鎮めること」に躍起になるでしょう。しかし私は少し違う考えを
持っています。それは、「鎮めること」自体は本質ではなく、本来考えるべきこととは
「自身が望む活発度に近づけること」だというコトです。
 
真剣な議論を燃え尽きるまでしたいblogもあれば、のほほんと個人の愚痴を撒きたいblogも
あります。それを「blogだから」と括るのは、いわば草野球からプロ野球まで
同じ「野球をやっている人」として括っているのと変わりありません。
「blogなんだから他者と真面目に議論をすべきで、云々」というのは、商店街の草野球チームに
「野球やるからには朝練でランニングを、云々」と言っていることと同じようなものです・・。
そんな風に考えてみると、自分がサイト上でどんな”場所”を持ちたいのか、自覚することが
できると思います。試合の日だけひょこっと集まって楽しくバットを振り回したいチーム?
それとも勝利の為に全力で頑張って汗を流すことが楽しいチーム? ネットの「サイト」も、
そんな「チーム・カラー」と同じです。そんな「カラー」(=望む活発度)が
見えてくれば管理者がすべきことは自ずと判ってきます。草野球チームがプロ野球チームに
試合を申し込んでも双方つまらないだけでしょう。逆に何故かプロ野球チームから試合を
挑まれたとしても、ムキになって応戦することは悲惨な結果を招くに違いありません。
そんな状況では、おそらく「できるだけ穏便に断る」といった行動が最適なのでしょう。
 
長年「disparate audiences」に囲まれた経験の有る人は、そうした「ニオイ」を嗅ぎ取る
ことができるようになってきます。そしてそれがサイト管理の行動にも繋がってきます。
「あ、ここで踏み込んで反論すると、flamingのトリガを引いちゃうかな?」
といった微妙な一線が実はあちこちに転がっているということを、次第に
実感できるようになります。blogで言えば、「記事」「コメント」「トラックバック」といった
自身の取った行動すべてに対して「影響範囲」がイメージできることが重要です。
 
ここで急に話を元に戻しますが、サイト管理で重要なのは「自身が望む活発度」を保つ
ことだというお話をしました。そのコントロールに最も必要なのが実は、すぐ上でお話した
「自身の行動に対する影響範囲をイメージすること」だと考えています。私の印象では、
「望まないdisparate audiences」の動きは、力を加えなければ時間と共に発散します。
(エントロピー?^_^;) そこで管理者があらぬ影響を持つ方向に力を加えてしまうと、
自身の望まない巨大な活発度が維持される、あるいは増加の一途を辿ってしまう可能性があります。
すなわち「自サイトのカラーを保つ」という目的を忘れて「来訪者に対してキメ細かく対応する」
という原則のみを徹底させた場合こそが、バーンアウトの最大の危機というワケです。
 
ちょっと難しいお話になりました。あまり日常で真面目に考える必要はないと思いますが、
「サイトという小窓を通じた、関係のつくりかた」というテーマにドキッと
した方は(笑)、ときどきこんなことも考えてみても良いのではないでしょうか。
 
最後に1つ補足すると、「望む活発度を維持する」という言葉を、バーンアウトしない
ように抑えるという意味だけで使っていたように見えますが、現実にもっと難しいのは
「望む活発度まで持ち上げる」ことですね( ̄▽ ̄;) サイトは力を加えつづけないと
発散していきます。サイト管理者はやはり「マトリックスの電池」なのですね~。


2004/02/27 [updated : 2004/02/27 11:39]


この記事を書いたのは・・・。
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webmugi 2006/01/02
 バーンアウト disparate audiences サイトの活発度
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